日本禁煙学会雑誌
Online ISSN : 1882-6806
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調査報告
受動喫煙症外来設置医療機関の現状についての調査研究
倉田 文秋鈴木 悦朗今野 郁子内田 久仁子相沢 淳勝亦 琢磨湯浅 章平森 壽生
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2018 年 13 巻 2 号 p. 22-28

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抄録

【目 的】 日本国内医療機関における受動喫煙症外来の現状と受動喫煙対策の今後の課題を明らかにする。

【方 法】 受動喫煙症外来設置医療機関(79施設)を対象にアンケート調査を施行した。

【結 果】 回答件数は48件、回収率60.7%であった。延べ受診者数は1,399例で、医療機関別延べ受診患者数は0~486例であった。外来開設時期は2004 年以前が3施設、受動喫煙症の診断基準が発表された2005年以降が45施設であった。2005〜2006年に15件、2010〜2011年に10件と多かった理由として、2010年3月に日本禁煙学会が総理大臣他に受動喫煙防止法制の請願を行ったこと、さらに、2010年2月25日に実施された厚労省保険局長通知「受動喫煙防止対策について」との関連が推測された。外来開設の最多理由は受動喫煙により苦しみ、悩む患者のためであった。診断書については「作成あり」が37例(77.1%)、「健康増進法25条違反の附記あり」が18例(37.5%)、「経過観察の実施あり」が10例(20.8%)、「メンタルケア実施あり」が17例(35.4%)であった。

【結 論】 全国の受動喫煙症外来設置医療機関数は学会ホームページ上81施設であるが、実働外来数は少なかった。また外来を設置しているものの受診者数が少ないのが現状であった。既存外来の標準化、活性化および新規開設を促進するには「受動喫煙症外来のための標準手順書」の作成が緊急の課題と考えられた。

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