2019 年 14 巻 3 号 p. 55-62
【目 的】 非喫煙の妻が夫からの環境タバコ煙(ETS)にどの程度曝露するとCOPD発症リスクが上昇するのか検討すること。
【方 法】 対象は2015年5月~2016年12月の間に長崎県内で実施されたCOPD検診の参加者1,633名のうち、夫が喫煙経験者と答えた40歳以上の非喫煙女性とした。調査項目はCOPD問診票(IPAG)、ETS曝露歴指数(夫の1日の喫煙本数×喫煙中の同居年数)、呼吸機能(FEV1/FVC)とし、IPAGが17点以上かつFEV1/FVCが70%未満の者をCOPD疑いとした。
【結 果】 解析対象者は308名、COPD疑いは20名(6.5%)であった。ETS曝露歴指数において、COPD疑いとなるカットオフ値は735となり、有意な判別能を検出した(感度:0.80、特異度:0.78、曲線下面積:0.85、p<0.001)。このカットオフ値は他の交絡因子を調整した後もCOPD疑いに影響を与える有意な因子であった(オッズ比:13.12、95%信頼区間:4.11–41.86)。
【考 察】 妻のETS曝露歴指数が735を超えるとCOPD疑いの可能性が高く、本指数が妻のCOPD発症リスクの有用な指標となることが示唆された。