2024 年 10 巻 1 号 p. B_86-B_92
生活道路の安全対策として、ある区域一帯に最高速度 30km/h の速度規制を実施する「ゾーン 30」が積極的に設置されている。このゾーン 30 は、域内の通過交通を抑制する効果や、車両の走行速度を低下させる効果があり、この結果事故リスクを低減することが多くの研究で示されている。一方で、事故リスクへの影響の詳細については、効果の時間的変化など知られていないことも多い。本稿では、この効果を分析するため、千葉県内のゾーン 30 の位置データを用いて事故と紐づけを行い、事故の発生日とゾーンの設置日を比較できるようにすることによって、ゾーン設置前後における事故数の詳細な変化を示した。 その結果、ゾーン 30 は特に死亡・重傷事故の抑制に効果があること、またその効果は規制開始直後に高く、時間経過につれ徐々に低減していくことが確認された。