2023 年 9 巻 4 号 p. A_18-A_26
近年、我が国における刑法犯の認知件数は減少傾向にあるが、犯罪に対する国民の不安は依然として高い。特に自転車盗は発生件数が多いが、検挙率が極めて低い値となっているため、自転車盗発生の対策を講じることは重要な課題である。そこで本研究では、過去約 7 年分の自転車盗発生データを用いて自転車盗の発生推定モデルを構築し、自転車盗発生と関係のある都市構成要素を明らかにした。まず、カーネル密度推定法において自転車盗発生密度の予測に最適なバンド幅を検証し、40m が最適であることを示した。その上で重回帰分析を行った結果、無料市営駐輪場の収容台数や駅の乗降客数、商業地域面積が自転車盗の発生密度に対して特に関係性が強いことを明らかにした。