2023 年 9 巻 4 号 p. B_8-B_15
新型コロナウイルス感染症の流行以降,わが国で普及している在宅勤務を中心としたテレワークについては,業種等によって利用状況が異なることが報告されているが,これらの状況が地区毎の人口分布に及ぼしている影響は明らかにされていない.本研究では企業の本社機能等が集積している東京都心 5 区を対象に,携帯電話の基地局データに基づく人口統計であるモバイル空間統計を用いて,感染流行前後での滞在人口の変化を 500 m メッシュ単位で把握した.その結果,都心地区(大手町,丸の内,日本橋等)や副都心地区(新宿,渋谷)で減少が大きいことが確認された.また,経済センサスの産業別従業者数を用いて滞在人口の変化との関係を分析した結果,情報通信業及び金融業・保険業が都心 5 区の滞在人口の対感染流行前比の低下に寄与していることが示された.