公共交通が充実した大都市においても鉄道駅やバス停から離れた場所における公共交通不便地域の解消が課題となっている。住民が望むより豊かな生活を実現し、適切な地域公共交通の導入を進めるには、住民が公共交通に対して形成する満足度について理解を深めることが重要である。本研究では駅・バス停までの徒歩時間や鉄道・バスの運行間隔といった客観的な要素のみならず、主観的な要素にも注目し、公共交通のサービス水準に対する満足度に影響を与える要素の分析を行った。その結果、公共交通の利便性が高い東京都のような大都市において満足度は客観的な要素によってのみから決定されるのではなく、徒歩時間と運行間隔(待ち時間)に対する抵抗感や、過去との時間視点と他地域との空間視点での比較意識といった主観的な要素によっても左右されることが明らかになった。