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p.
program1-program2
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
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萩田 賢司, 横関 俊也, 木平 真, 新井 棟大, 森 健二, 矢野 伸裕
p.
1-5
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
千葉県柏市内の信号交差点を対象として、千葉県警で管理されている信号階梯図と模式図を元に、交 GIS を活用して交通事故データと統合して分析するために、GIS で利用可能な形式の信号制御情報を作成した。一定のアルゴリズムに従って、交通事故・交通規制・DRM 統合分析システムと信号制御情報を統合したところ、90%以上の交通事故の第 1 当事者が従うべき信号灯器に接続することができた。右折事故に着目して交通事故分析を実施したところ、第 1 当事者の右折運転者が男性や若年者である場合には、他の属性と比較して、流入道路を制御する信号灯器に右折矢印が設置されている割合がやや高いことが示された。男性や若年者は、右折矢印があるにも関わらず、右折矢印を利用せずに右折して、右折事故を起こす割合がやや高いことが窺えた。
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前田 大樹, 島﨑 秋伸, 村上 舞穂, 大橋 幸子, 中村 孝一
p.
6-13
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
路側カメラで撮影された動画は、交通事故やヒヤリハットの発生過程を記録し、発生要因の把握や効果的な交通安全対策の立案に資すると考えられるが、膨大な量の動画からヒヤリハット発生時の動画を目視で抽出するには多大な時間や労力を要するため、AI の活用による動画抽出の効率化が課題となっている。こうした状況を踏まえ、既往研究では、ヒヤリハット発生時の動画を AI 画像認識技術により効率的に抽出する手法の研究が行われており、これまでに 2 つのモデルが構築されている。本研究では、ヒヤリハット動画を効率的に抽出する手法に適したモデルを選定する際の参考となるよう、既往研究で構築された 2 つのモデルについて、精度や実用性の観点から比較を行った。
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米澤 咲希, 細江 美欧, 桑野 将司, 南野 友香
p.
14-19
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
効果的な交通事故対策のためには,定量的根拠に基づく施策の立案が必要である.本研究では,交通事故リスク予測モデルを構築し,施策効果の定量的な把握を目的とする.実証分析において,鳥取県鳥取市中心部を対象に,顕在的危険を表す交通事故発生箇所データと潜在的危険を表す自動車の急減速発生箇所データを用いて交通事故リスクを定義する.そのうえで,ニューラルネットワークを用いて,交通事故リスクに道路周辺環境が与える複合的な影響をモデル化する.そして,構築したモデルにより,交通事故リスク低減に対するゾーン 30 設置効果を定量化する.分析の結果,交通事故リスクが高い小学校周辺地区における顕著な効果が明らかとなり,児童の登下校時の安全性向上に資する施策としてのゾーン 30 の有効性を定量的に把握できた.
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長谷川 裕修, 小松 出海, 葛西 誠
p.
20-27
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
近年,交通事故そのものの発生件数は減少傾向にあるが,生活道路での交通事故比率が高まっている.また,生活道路では児童や高齢者の死傷が多く,更なる対策が必要となっている.ゾーン30をはじめとした速度抑制策が有効に機能する一方で,通学中の児童に飲酒運転車両が衝突するといった事前想定が困難な事故が発生している.このような事故の対策として,道路状況の改善・飲酒運転対策の強化など行われたが,歩行者自身が自ら危険を察知し,回避することも必要である.本研究では歩行者自身の危険回避能力の上昇を図る実験の一環として,生活道路空間における車両に対しての不安感が車両速度と歩車間距離の二つの要素に関係すると仮定し,高専生を対象に実験を行った.その結果,車両速度は不安感に関係すること,歩車間距離は不安感に関係しないことが分かった.
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-広島市西区南観音地区を対象として-
橋本 成仁, 門司 諒平, 林 晟太郎, 氏原 岳人, 海野 遥香
p.
28-33
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
生活道路において、ゾーン 30 の設置や法定速度を一律 30km/h とする施行令の改正が閣議決定されるなど、速度規制の導入が進められており、その効果としてゾーン 30 実施直後における平均通過速度や交通事故発生件数の減少について報告がされている。しかし、速度規制の実施による自動車速度の中長期的な変化や、時系列変化については明らかになっていない。そこで本研究では、広島市西区南観音地区のゾーン 30 を対象とし、ETC2.0 プローブデータを用いて検証を行った。その結果、ゾーン 30 導入前後における自動車速度の変化として、特定の時期に大きな変化を生じさせるものではなく中長期的な期間を経てその効果が表れること、速度抑制効果は通勤・通学時間帯において発揮されることや単路部よりも交差点部で発揮されることを示した。
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暴露量と事故類型に着目して
森田 祐生, 松尾 幸二郎, 加藤 秀樹, 杉木 直
p.
34-39
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
地点別の事故危険性評価や優先対策地点の抽出を的確に行うため、事故データやプローブデータといった客観的な情報活用する取り組みや、市民による経験的な情報を活用する取り組みが、それぞれ行われている。しかしながら、これらを適切かつ効果的に組み合わせて活用するための知見は十分には蓄積されていない。本研究では、歩行者・自転車事故危険地点抽出を念頭において、暴露量や事故類型に着目した客観情報と経験情報の比較を行った。その結果、事故件数よりもヒヤリハット件数の方が暴露量の影響を受けることが示唆された。また、市道交差点における事故類型別の事故件数には、対応する事故類型のヒヤリハット件数が関連していることも示された。
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樋口 恵一, 堀 康次, 加藤 秀樹, 山岸 未沙子
p.
40-43
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
登下校中の子どもが巻き込まれる事故を削減するには、環境・工学・規制に加えて安全教育の推進が必要である。さらに、その過程において保護者や地域関係者と連携して進めることが求められている。そこで本研究ではデジタルヒヤリハット地図づくりを行う交通安全教育プログラムを通じて、児童の主体性や他主体との連携の可能性について確認した。その結果、コロナ禍の経験でデジタル教材の使用スキルや使用環境が整っていることによりヒヤリハット箇所の具体的な状況認知が図りやすく、効果的な授業運用に繋がることを明らかにした。さらに、通学団を対象とすることにより、教育活動全体を見通すことができるうえ交通安全教育成果の蓄積が期待でき、地域の実情に合わせて地域組織との連携も図りやすくなることも期待できる。
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久保 孝幸, 寺内 義典
p.
44-50
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
本研究は、摩耗しにくく安全性を備えた無信号横断歩道の構造を明らかにすることを目的とする。「道路標識、区画線および道路標示に関する命令」の一部改正によって横断歩道の白線の間隔が 45cm から 90cm へ拡大されたことを念頭に、白線と自動車の軌跡が重ならない白線設置間隔を分析した。また、狭さくとセンターボラードを用いることで車両走行位置のコントロールを行い、より安全で白線の摩耗速度が緩徐な横断歩道構造を明らかにした。さらに、歩行者と運転者の視点からアンケートを行い、横断歩道の安全性、分かりやすさ、横断のしやすさの感じ方を評価し分析した。最後に複数の横断歩道構造において、走行位置の違いと構造によるハンドル操作の判断について分析した。
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鈴木 雄, 山口 周佑
p.
51-56
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
本研究では、積雪期のドライバー意識に着目し、交通事故との関係について分析を行った。その結果、積雪期では「スピードを抑えめにする」など、多くの交通安全行動がみられた。その一方で、自身の車が埋まらないようになるべく止まらないようにするや、止まりきれない可能性から赤信号でも止まらずに進むなどの行動もみられた。積雪期の事故への影響では、最高速度超過違反や、車間が短い運転が示された。非積雪期では、自身の「運転動作の速さ」の認識が事故を減らす傾向の一方、積雪期では、「運転時の判断能力」の認識が事故を減らす傾向が示された。交通事故とドライバー意識について、非積雪期・積雪期でともに、交通違反や積雪期のヒヤリハットが事故に影響する構造が示された。また、積雪期の安全運転意識が積雪期の事故を減らす構造も示された。
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高橋 翔, 福井 千菜美, 多田 昌裕, 森本 貴大, 洪 性敏, 萩原 亨, 浜岡 秀勝
p.
57-63
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
冬のレジャーを北海道で楽しむ訪日外国人が、レンタカー利用することが増えている。しかし、訪日外国人ドライバは冬道に不慣れであり、冬道特有の事故を起こすことが懸念される。このため、訪日外国人ドライバに冬道での安全な運転方法を伝えることが重要となっている。本研究では、冬道での運転方法を訪日ドライバに伝えるため、交差点におけるすべりやすい路面での停止と吹雪による視界不良での先行車の見え方を Virtual Reality(以降、VR)上で再現した。VR 上で停止開始を参加者に操作してもらい、自分の感覚と冬道環境での感覚の違いを体験してもらった。体験後のアンケートから、冬道でどう運転すべきかを冬道の不慣れな訪日外国人ドライバに理解してもらえることが明らかとなった。
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山下 隆司, 鶴 元史, 早河 辰郎, 瀨谷 啓介
p.
64-70
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
交通事故抑制を目的に施工される事故対策工の評価には、通常「事故件数」や「事故率」等の指標が用いられることが多い。しかしながら、高速道路における事故は偶発的な事象であり、事故件数や事故率により統計的に評価するためには、評価期間として対策後数年の期間を設ける必要があり、事業評価に関する速報性の点で課題があった。そのため近年では、取得されるサンプル数が比較的多く速報性の点で有利である ETC2.0 プローブデータの速度データや挙動データを使用した評価が行われているが、その評価手法についても、閾値の定め方や経時的なデータ変動の影響といった課題を抱えている。そこで、本研究では、従来の評価手法に「効果量」及び「相対危険度」という指標を加えることを提案し、より客観的な評価が可能になることを示した。
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飯田 克弘, 阪本 浩章, 山本 敬太
p.
71-78
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
効果的な事故対策の立案には,事故実態のみならず事故に繋がる危険な状況の把握が重要である.これまでもビデオ解析による車両挙動把握が行われ,近年では,CCTV や遠赤外線カメラ等を活用した事故の自動検出が試みられているが,事故に繋がる可能性のある車両挙動を任意の時間・空間範囲で簡便に把握する手法は確立されていない.本研究では,テレマティクスデータに対し,オートエンコーダと LSTM の 2 つの機械学習による異常検知を行うことで,高リスク車両挙動の抽出を試みた.松山自動車道・川内 IC を対象に試行した結果,料金所ブース手前での急な進路変更,本線から出口への分流部での急な進路変更を含む走行軌跡のふらつきや路肩停車等が抽出できた.また,オートエンコーダの方が,高リスク車両挙動の抽出に適している可能性を見出した.
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須川 清諒, 中山 裕昭, 石川 光, 織田 穣
p.
79-83
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
高速道路本線や出入口での逆走や誤進入は,交通事故に直結する重大事案である.その発生を正確に検知し,速やかにお客様に警告することができれば,事故や二次被害を抑制することが可能となる.著者らは都市部の高速道路出入口に,三次元レーザレーダを用いて逆走・誤進入を検知するシステムを設置し実証実験を行った.この実験では,逆走・誤進入の検知や誤進入者を識別するロジックを構築し,その結果,逆走や誤進入を実用上十分な精度で検知できることを確認した.また,誤進入者に警告する機能の構築,逆走や誤進入の発生を交通管制室や料金所に通知する機能の構築を行い,これらシステム導入が高速道路の安全性向上に寄与していることを確認した.
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市村 康平, 佐野 昌嗣, 稲吉 龍一, 青木 隆志
p.
84-88
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
中央自動車道下り線勝沼 IC 付近は長い下り坂と左右のカーブが連続する区間であり、事故が多発していた。対策は講じているものの 2023 年 10 月に多重事故と死亡事故が連続的に発生した。事故データや ETC2.0 プローブデータを用いて事故の特徴を分析した結果、当該区間全域の速度抑制が効果的であると考えドット標示と V 字導流レーンマーク、滑り抑制として薄層舗装を施工することとした。効果検証の結果、区間全体では平均 95.5km/h から 93.9km/h(-1.6km/h)の速度低下効果があった。前後加速度の急減速回数は対策前より長い区間で発生しており、路面標示を追加したことでブレーキを踏む場面が増えたことが考えられる。当該区間全体の速度が低下し、ドライバーの運転挙動の安定性向上を図ることができた。
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足立 国大, 伊藤 大貴, 牧野 修久, 須川 清諒, 中山 裕昭, 中村 俊之, 三輪 富生
p.
89-93
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
追突事故などの車両相互事故が多く発生している名古屋高速道路 3 号大高線上り笠寺入口付近を対象として,非常停車帯に簡易情報板を設置した交通事故リスク情報提供の実証実験を行い,車頭時間の観点からその効果を検証した.実証実験は,リアルタイムで取得した情報から 5 分後の交通事故リスクを予測し,交通事故リスクが高まった際に,前方車との車間距離や前方車のブレーキに対する注意を促す 3 パターンを簡易情報板で表示し,ドライバーに対して交通事故リスクが高まっている旨を情報提供した.その結果,情報提供により簡易情報板を確認しやすい第 1 車線で車頭時間の増加が確認され,特に「前方車との車頭距離注意」という案内が交通の整流化に寄与することが明らかとなった.
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倉内 慎也, 増田 賢志朗, 佐武 龍一, 白柳 洋俊
p.
94-101
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
本研究では、高速道路運転中の眠気を継続的に抑制する手法として、ドライバーの運転技術評価をリアルタイムでフィードバックする手法を考案し、その効果をドライビングシミュレータによる実験で検証した。具体的には、著者らの先行研究において有効性が確認された運転技術を評価し競争させるゲームにおいて、競争相手の設定が眠気や運転中の感情等に及ぼす影響を把握した。その結果、競争相手を過去の自分に設定した条件において最もポジティブ感情が喚起され、運転中の眠気が継続的に抑制されることが確認された。加えて、ドライバーが競争によるストレス等を抱くことなく、自己の努力や改善を前向きに捉える傾向が強まり、結果として達成感や運転スキルの成長の実感につながる可能性があることが明らかとなった。
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-都内における整備事例を対象として-
石丸 卓朗, 五十嵐 千叡, 加藤 芳隆, 海老澤 綾一
p.
102-107
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
横断中歩行者の交通事故防止対策として各地で整備が進められている無信号二段階横断歩道について、横断歩道の設置形状に着目すると、横断歩行者が接近車両に自然と対面できるよう、くい違い状に設置している事例が知られている中で、沿道条件によっては直線状に設置している事例もある。しかしながら、横断歩道の設置形状の違いによる影響は未だ不明瞭であり、無信号二段階横断歩道を多様な条件下で検討していくためには、横断歩道の設置形状に関する知見を深める必要がある。そこで、横断歩道の設置形状が異なる東京都内の 3 箇所を対象として調査を実施したところ、横断歩道の設置形状の違いによる歩行者優先率の差は認められず、円滑性の観点でも、近接の信号機付き横断歩道での最大待ち時間よりも短い時間で歩行者が横断できているとの結果が得られた。
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石川 拓, 井料 美帆, Muhammad Faizan ul HAQ
p.
108-115
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
食い違いの無信号二段階横断施設は,横断歩行者が中央島で車両と正対することで車両を視認しやすくなる一方,迂回距離が長くなるため横断歩道外横断(乱横断)増加が懸念される.本研究は,単路部二車線道路の二段階横断施設の形状が歩行者の乱横断や安全確認に与える影響を定量的に明らかにすることを目的とし,バーチャルリアリティ環境にて被験者実験を行った.結果,横断後半で安全確認のための首振りの角度が小さいと危険な横断につながること,乱横断では構造によらず横断歩道横断時より横断後半直前での首振り角度が小さくなること,食い違いでは,横断歩道横断時は首振り角度が大きくなるが,迂回による乱横断を誘発することがわかった.また,乱横断を考慮すると,食い違いにすることで首振り角度が不十分な人の割合が高くなる場合も見られた.
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尾谷 壮哉, 大枝 良直, 外井 哲志, 梶田 佳孝, 清田 勝
p.
116-119
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
わが国での単路部における人対車両の事故のうち横断中の事故は少なくなく,この大半は乱横断による事故が占めている.また,このような事故は高齢者に多い.このような事故の対策として本研究では横断帯を検討した.横断帯は歩行者の安全性と利便性を確保した横断空間を提供できると考えられるが,横断帯に関しての十分な知見がない.そこで本研究では,どのような道路環境であれば横断帯を設置できるかについて数値計算により検討を行った.その結果,横断帯幅に影響を与える要因の一つとしては横断速度とサイクル長であること,その影響はサイクル長の方が大きいことが示唆された.また,横断帯設置の検討により,サイクル長が長い場合には広い横断帯が確保できるが,交通量や右左折車両に注意が必要なこともわかった.
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―登下校時間帯に着目して―
橋本 成仁, 磯山 亜純, 廣瀬 暖, 氏原 岳人, 海野 遥香
p.
120-125
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
近年の交通事故の現状から歩行環境の安全性が求められる中、幅員の狭い生活道路においては歩道のような物理的な歩車分離構造を設置できない場合があり、代替として路側帯を設けることで視覚的な歩車分離を図っている場合が多く見受けられる。しかし、道路環境、歩行特性といった様々な要因によって歩行者は路側帯をはみ出す場合があり、この挙動は交通安全上危険なものの一つとして考えられる。そこで、本研究では登下校時の小学生に着目し、ドライブレコーダーによる撮影調査から路側帯歩行中における車道へのはみ出し挙動の実態とその要因について分析した。その結果、横並び歩行人数が多いほどはみ出しが発生しやすいことやはみ出しをしていた場合でもカラー舗装によってはみ出し幅が抑制されることなどを統計的に示した。
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吉城 秀治, 中村 唯人, 辰巳 浩, 田部井 優也
p.
126-133
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
近年、子どもの熱中症による救急搬送件数は増加傾向にある。特に通学時における熱中症リスクを低減するには、児童の通学状況・通学環境を把握する必要があるが、その実態は十分には明らかにされていない。そこで本研究では、全国の小学生をもつ保護者8,700名を対象としたアンケート調査を基に、通学路における熱中症リスクと環境要因の関連性を分析した。通学時間や交通手段に加え、歩道整備や交通・防犯に関する物理的環境要因との関連を検討した結果、これらが熱中症経験と有意に関係していることが明らかとなった。特に、「犯罪に対する安全性」の評価が低い地域では、熱中症経験者の割合が高い傾向が見られた。これらの結果は、通学路における暑熱対策において、通学状況・通学環境も考慮した取り組みの重要性を示している。
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―長野市中央通り歩行者優先街路を対象として―
轟 直希, 柳沢 吉保, 大山 慶, 佐藤 詩恵
p.
134-140
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
近年、地方都市では歩行者中心の空間整備による魅力的なまちづくりが求められている。本研究の対象地域である長野市では、中心市街地活性化の一環として中央通りが歩行者優先道路化され、整備は高く評価された一方、未整備区間との連続性や景観の統一感等に課題があり、整備効果の検証が求められている。これら街路空間整備の評価手法として主に用いられるアンケートやヒアリング等は、時間・精度の課題があり、実空間に近い条件のもと主観的評価が行える新たな手法が必要である。そこで本研究では、心拍変動や瞳孔反応といった生体情報によるストレス値よって街路空間における評価を得る方法を検討するとともに、実街路空間を表現する手法として 2D モニターと HMD を活用した 3D による視聴方法を導入し、従来手法に比べてそれら手法の適用性を検証する。
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元田 良孝, 宇佐美 誠史
p.
141-144
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
盲導犬による歩行誘導は白杖と比べて優れていると言われているが、定量的な研究は少ない。本研究では盲導犬使用者の歩行実態に注目し、アンケート調査により盲導犬使用者の白杖使用時との自己比較から盲導犬の歩行誘導状況について調査した。さらに被験者を用いて実際の道路で盲導犬使用者の歩行速度等の測定を行い、併せて盲導犬使用者と白杖使用者の歩行実態について比較考察を行った。その結果、盲導犬使用者は自身の白杖使用時代と比べて歩行速度、障害物との接触回数減少、疲労度の軽減、外出機会の増加等のパフォーマンスが向上したと認識していることが判明した。被験者による歩行実験では盲導犬使用者の歩行速度は晴眼者に近く、白杖使用者より速くて直進性があり安定していることが明らかとなった。
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満田 慎之裕, 塩見 康博
p.
145-151
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
高速道路における交通渋滞および交通事故は、社会に負の影響をもたらす重要な課題である。本研究では、動的交通流管理(ATM)のメニューである可変制限速度制御(VSL)に着目し、深層強化学習を用いることで渋滞リスクの低減および旅行時間短縮を実現する制御手法を構築した。異なる交通条件下において学習モデルを構築し、その有効性を評価した。分析の結果、従来の固定された制限速度設定と比較して、本研究で提案する学習モデルによる制御では平均旅行時間が短縮されることが確認された。また、モデルの学習精度は学習時の交通量設定に依存することが明らかとなった。さらに、報酬の設計において、個別リンクではなく路線全体の旅行時間を採用することで、より高精度なモデルの構築が可能であることが示された。
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沈 宇用, 松本 圭史, 井ノ口 弘昭
p.
152-157
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
高速道路における交通量の増加は、交通渋滞を招き、高速道路各社は渋滞対策を進めている。本研究は、車線数の増加などの交通渋滞対策が困難である都市高速道路を対象として、合流部付近の車線変更の抑制が渋滞対策として効果があるかどうかを検証する。対象地域は、実際に渋滞対策として車線変更禁止措置が実施されている、阪神高速道路 11 号池田線上り塚本合流付近および 13 号東大阪線下り森之宮合流付近である。効果検証にあたっては、阪神高速道路の車両軌跡データ ZTD とロジスティック回帰分析を用いる。この結果、車線変更禁止措置が両地点において渋滞抑制に有効である可能性が示された。また、両地域の比較結果から、車線変更禁止区間の配置や範囲設定が渋滞抑制効果の発揮に重要であることが示された。
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伊丹 真緒, 柳原 正実, 小根山 裕之
p.
158-164
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
アメリカでは反転交差点(Alternative Intersection)と呼ばれる交差点形式の一種である Continuous Flow Intersection(以下、CFI)の導入が進んでいるが、2025 年現在、日本での導入実績はない。本研究では、CFI の日本への導入に向けた検討の一環として、当該交差点の日本人ドライバーへの受容性評価を行う。具体的には、日本は面積の制約や歩行者の状況がアメリカとは異なるため、日本に適用可能な CFI の構造を提案し、その構造に対してドライビングシミュレータによる走行実験とアンケートによるドライバーの主観的な受容性の調査を行った。その結果、従来型の交差点と構造が大きく異なる箇所で誤進入が発生し、ドライバーにとって迷いや不安感も大きいことが明らかとなった。また、導入の際には CFI 構造の事前周知と誤進入対策が非常に重要であるなどの今後の課題を明らかにした。
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端山 智也, 柳原 正美, 小根山 裕之
p.
165-171
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
現在、U-turn 制御手法と呼ばれる新たな平面交差点制御手法の日本への導入が検討されている。この構造は、右折車と対向直進車の交錯を排除することができるため、安全性と円滑性が向上する可能性がある。しかし、この構造では右に進行方向を変えたいときに、走行車線が頻繁に変化するため、ドライバーが迷いを感じる可能性がある。その迷いに着目した研究は未だ行われていない。そこで本研究では U-turn 制御手法の一種である MUT において、日本人を対象とした DS 実験及びアンケートを実施し、走行経路の誤りや車線の迷い、MUT 専用の標識の効果、MUT 導入への賛否を把握することで、日本人からの受容性を把握した。その結果、MUT に関する事前周知や標識の改良、車線変更箇所や右折禁止部分への対策の検討を入念に行えば、日本人からの受容性が高いことが示唆された。
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塚田 悟之
p.
172-176
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
本研究は、わが国の右直事故対策にどう取り組んでいけばよいかを右側通行国である米国の左直事故対策を事例に論じたものである。まず、右直事故の発生メカニズムと対策の現状を整理しながら、その主要な事故原因であるドライバーの認知ミス、もっと言うと、認知ミスを招く思い込みや思い込みを誘発する諸要因を排除する観点が必要であることを論じた。そのうえで、この観点から導入されている米国ミシガン州の左直事故対策『ミシガンターン』を取り上げ、現地観測調査を通じて、その役割と効果を明らかにした。そして、右直事故低減に向けては、右折車と対向直進車との動線交錯の排除だけでなく、右折ドライバーから右折待ち時間を排除するという円滑性の追求も重要であることを述べた。
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本田 玲美, 田中 伸治
p.
177-184
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
我が国の幹線道路では階層が明確に区分されずに幹線道路に面して店舗が立地するため,平面交差点における歩行者の自転車の横断が多く,交通事故や渋滞が依然発生し社会問題となっている.海外では自動車どうしの交錯が削減される,反転交差点という新たな交差点形式が導入されており,交差点の安全性と円滑性の向上効果が報告されている.本研究では,反転交差点のうちRCUTの制御手法に着目し,シミュレーションを用いて現況交差点とRCUTの制御手法での歩行者および自転車の横断形式を比較分析した.分析の結果,我が国の平面交差点にRCUTを適用すると幹線道路の円滑性が高まり,条件により横断形式を検討すれば歩行者や自転車が安全かつ円滑に通行可能とされるため,RCUTを我が国へ適用する有効性が明らかになった.
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バトウール アノジン, 北原 拓真, 赤羽 弘和
p.
185-189
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
本研究では千葉県船橋市の跨線道路下の過飽和信号交差点を対象とし、ビデオ観測データと ETC2.0 プローブ情報を適用した交通需要推定等の分析に基づき、歩行者二段階横断による円滑化効果を定量的に検討した。同横断方式の東西方向への導入により、歩行者現示長は大幅短縮できるため、青時間スプリットの設定自由度が高まる。この結果、立体部側道からの直進左折および右折各交通を同一現示で処理し、右折車線容量による右折交通容量の制約を排除できる。また、東西方向で歩車分離して安全性を向上させるとともに、左折車と横断歩行者の錯綜を回避して飽和交通流率を 10%程度改善できる。これらにより信号サイクル長を 15 秒短縮したうえでスプリット配分を最適化すると、渋滞を解消できる見込であることを定量的に示した。
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山崎 颯太, 吉岡 慶祐, 桑原 雅夫, 轟 朝幸
p.
190-196
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
複雑な交通状況の変化に対して,動的に最適な信号制御パラメータを数理的に解くことは困難であるが,その対応策として強化学習が挙げられる.しかし,強化学習によって得られる信号制御パラメータについては,理論上の最適値との整合性や実用上の妥当性について検証が十分とは言い難い.そこで本研究では,右折専用現示を含む 4 現示制御の単独交差点を対象に,複数の交通量および右折車線長の条件において,深層強化学習により信号制御パラメータを導出した.その結果,概ねサイクル長と青時間は理論値に整合する一方で,交通量や右折車線長の条件によっては,学習の収束性に影響が生じることが明らかとなった.また,現示の順番を指定しなければ,一般的な現示の順番に囚われない柔軟な表示順を導出し,遅れが大幅に改善されることも明らかとなった.
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兵頭 知, 大塚 陽斗, 奥嶋 政嗣
p.
197-203
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
本研究では,徳島市の自転車ネットワークを対象に単路部と信号交差点といった異なる道路構造がもたらす事故特性を明示的に分離した形で自転車事故要因分析を実施した.具体的には,単路部 74 区間および交差点 125 箇所の自転車関連事故要因の分析を行った.分析の結果,単路部においては,自転車通行空間の整備形態,自転車走行台キロ,無信号交差点密度,小規模信号交差点密度および店舗出入口密度が有意な関連を示し,車道通行を原則とした整備形態と自転車歩行者道を活用した整備形態によって,自転車と自動車が交錯するアクセス箇所の影響が異なる結果を得た.信号交差点部では,自転車人流,鋭角交差点,歩車分離式信号など 11 変数が事故発生に影響することが明らかとなり,特に交差点規模や形状が大きな影響を与える可能性が示唆された.
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新林 秀斗, 鈴木 弘司
p.
204-208
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
名古屋市では「名古屋市自転車利用環境推進計画」に基づき,歩道内の自転車通行空間整備が進められてきたが,近年の歩道上の歩行者と自転車の接触事故増加等の背景を受けて,現在,車道混在型自転車通行空間整備である矢羽根設置が推進されている.本研究では,2024 年 9 月に整備された名古屋市熱田区の堀川東線を対象とし,矢羽根設置前後における自転車の通行位置,車道利用率の変化や影響要因,自転車と自動車の接触危険性,単路部を走行する自動車の平均速度を分析した.その結果,矢羽根設置により自転車の車道利用率が上昇し,都市型側溝や自転車の進行方向が車道利用率に影響を与えることが分かった.また,自転車と自動車の交錯箇所は車道部側にシフトすることや単路部を走行する自動車の平均速度は矢羽根設置後に低下傾向にあることが分かった.
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矢間 寛汰, 吉田 長裕
p.
209-213
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
サイクルツーリズムの推進に向け、ナショナルサイクルルート制度を創設し、その指定要件の一つとして誰もが安全で快適に利用できる走行環境の整備が求められている。このようなルートは、地方部道路を含み、自転車通行環境として矢羽根等が整備されることが多いが、その安全性、快適性に関しては十分に検証されていない。本研究では、ナショナルサイクルルートに指定されているしまなみ海道を対象に、プローブ自転車による実態調査を行い、矢羽根等の路面表示が自転車走行時の自動車の追越行動に与える影響を分析した。その結果、矢羽根の設置による追越速度の抑制効果が示されたものの、離隔距離の拡大には影響が見られなかった。したがって、ドライバーに適切な離隔距離の確保を促すため、路面表示の改良が重要であると考えられる。
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山本 由太, 中山 裕介, 松本 修一, 小嶋 文
p.
214-220
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
自転車の重大事故率は、単路部などと較べトンネルの内部では非常に高いことが指摘されている。本研究では、トンネル内での自転車走行においてハンドルライトの効果を検証するため、ハンドルライトの有無の2条件において、プローブ自転車を用いた比較実験を行った。具体的にはトンネル内の自動車の自転車追越し時の離隔距離、衝突余裕時間(TTC)などのデータを収集し、分析を行った。その結果、ハンドルライト有りでの走行の方が、追越し時の離隔距離が長くなり、TTCも大きくなった。このことは、ハンドルライトの装着により、自転車と自動車の追突リスクが軽減されることを示唆している。
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吉川 美祈, 中野 拓紀, 山本 由太, 松本 修一, 宇佐美 誠史
p.
221-226
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
寒冷地においてはバスなどの公共交通機関が発達していないため,冬季でも自転車を使用せざるをえない地域が存在する.そのような中,積雪・凍結路面上での自転車の走行挙動が乾燥路面上と比較してどれだけ変化するかは明らかになっていない.本研究では,冬季路面上で自転車を走行した際の路面状態と制動距離の関係を明らかにするとともに,乾燥路面上での走行データと比較することによって,冬季寒冷地路面上での自転車の制動距離に関するデータ分析を行った.その結果,制動距離は,乾燥路面と比較すると,湿潤路面では4~6倍,積雪路面では3~6倍,凍結路面では8~10倍程長くなっていることが分かった.また,路面状態が制動距離に与える影響は,速度・加速度が制動距離に与える影響よりも大きい傾向にあることが分かった.
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伊藤 大貴, 國井 大輔, 田口 大輔
p.
227-234
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
現在,全国各地で自転車通行空間の整備計画が策定され,計画に基づき整備がされている.整備検討にあたっては,対象地域の課題やニーズ,交通状況等を十分に踏まえる必要があるが,交通状況の把握には,現地による交通量調査や観測調査等を行う必要がある.しかし,このような交通量調査や観測調査は,調査箇所が限定的になりがちであり,作業負担も大きいなど検討上の課題を有する.そこで,本稿では,シェアサイクルのライド時の GPS データを活用し,交通状況として面的な通行量の把握,走行速度,急減速の発生状況などの実態把握や,自転車通行空間の整備効果の検証を行い,自転車関連施策の検討における GPS データの活用可能性の検証と活用上の課題を整理した.
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大瀬 恵利子, 森田 哲夫, 金井 雅弥
p.
235-241
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
シェアサイクルは一定の区域内に設置された複数のサイクルポートを相互に利用できる交通システムである。シェアサイクルは区域内の交通手段としての機能を有するとともに、区域外との移動の際の鉄道やバスの端末交通手段としての利用も想定される。本研究では,群馬県前橋市において供用されているシェアサイクルサービス cogbe の利用データを用い、シェアサイクルの利用特性を分析した。また、鉄道やバスの端末交通手段としての利用特性を検討した。分析においては、個人属性別、利用期間別の利用特性、発着地別利用特性、OD 交通特性を把握したうえで、鉄道駅やショッピングセンターに近接するポートに発着する利用特性を把握し、端末交通特性としての利用特性を考察した。
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福形 涼介, 吉田 長裕
p.
242-246
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
都市部の交差点設計では、多様な交通手段の安全性や円滑性の考慮が求められている。海外では、車道上の自転車専用通行帯や自転車道と他の交通参加者との交錯を制御するために自転車専用信号の整備が進められている。国内では導入例が少なく、特に自転車専用信号が他の信号と並列して設置されることで、利用者が誤認する可能性があり、配置や形状に十分な配慮が求められる。本研究では、自転車専用信号の配置や形状による自転車利用者への識別や反応時間に与える影響を検討するため、自転車シミュレータを用いた基礎的な実験を行った。その結果、1. 配置は、奥側より手前側の方が識別されやすい。2. 信号面にマークがあると識別性は向上するが、反応時間はやや長くなる傾向が見られた。これらの実験結果を受けて、本格実験に向けた課題について整理した。
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若目田 綾音, 松本 修一
p.
247-252
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
交差点における自転車事故の安全対策として、海外ではプロテクテッド交差点の導入が行われている。プロテクテッド交差点に関しては国内での研究事例が少なく、わが国では実用されていない。本研究では、プロテクテッド交差点における大型車両と自転車の錯綜時の安全性を評価するため、大型車両シミュレータを用いたシミュレーション実験を行った。手引き型および NACTO 型の 2 種類のプロテクテッド交差点形式を対象に、SB 距離の大小の 4 条件で比較した。その結果、大型車と自転車の最接近距離および大型車の速度には統計的に有意な差が見られなかったが、TTC の分析により、手引き型交差点ではニアミスの発生率が高い傾向にあった。このことから大型車の左折錯綜に限ると、手引き型の方が危険な状況が生じやすい傾向が示唆された。
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吉田 太一, 森本 章倫
p.
253-260
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
我が国では、自転車をはじめとする中速モードの利用が注目される中、2023 年 7 月の道路交通法の一部改正により、特定小型原動機付自転車の利用が増加している。今後、これらのような中速モードの交通が普及し、現状の自転車通行空間を走行すると、渋滞や交通事故の発生件数も増加すると考えられる。そこで本研究では、自動車と中速モードが共存する道路の在り方について、交差点形状に着目し、ミクロ交通シミュレーションを用いて、円滑性と安全性の観点から検討した。その結果、中速モード交通量が増加すると、日本型の交差点形状では円滑性及び安全性が低下し、自動車及び中速モードの円滑性の観点からは北米型の、安全性の観点からは欧州型の交差点形状が適していることが明らかになった。
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横関 俊也, 矢野 伸裕, 萩田 賢司, 木平 真, 新井 棟大, 森 健二
p.
261-267
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
2023 年 7 月の改正道路交通法の施行により、一定の基準を満たす電動キックボード等については特定小型原動機付自転車として交通ルールが規定されるとともに、16 歳以上であれば運転免許を所持していなくとも運転が可能となった。その後、普及がさらに進んだことにより公道を走行する電動キックボード等を目にする機会も増加しているが、電動キックボード等の交通量や交通ルールの遵守状況を調査した事例は少ない。そこで、電動キックボード等の交通量が多いと推定される東京都内の交差点において、電動キックボード等の交通量と信号の遵守状況について観測調査を行った。その結果、24 時以降における交通量の増加、車両用信号に従わず交差点に進入する信号無視等の特徴が確認された。
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矢野 伸裕, 横関 俊也, 木平 真, 萩田 賢司
p.
268-273
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
電動キックボードの普及とともに、その交通事故の増加も懸念されている。電動キックボードの普及が先行した海外では電動キックボードの事故に関する文献が豊富にある。本研究は、警察庁の交通事故統計データベースを用いて、電動キックボード運転者の損傷程度について、海外の研究知見に関連した事故統計分析を行った。電動キックボードと類似の交通モードとして一般原動機付自転車と普通自転車の分析も併せて行った。その結果、海外の研究知見とおおむね一致する特徴がみられた。すなわち、電動キックボード運転者の事故当事者は若い年齢層が過半を占めること、損傷程度を増加させる要因として夜間・深夜や飲酒が指摘できること、ヘルメット着用率が低いこと、多い損傷箇所として頭部、顔面、上肢(腕部)、下肢(脚部)があげられること、などであった。
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坪井 志朗, 宮部 朔, 三村 泰広, 嶋田 喜昭
p.
274-279
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
現在、電動キックボードやシニアカー等のような一人乗り電動モビリティの利用が急速に進行している。本研究では、歩道を通行可能な一人乗り電動モビリティ同士や電動モビリティと歩行者の交錯を想定した実証実験を行い、様々な交錯時の条件下において、歩道通行者が感じる安全性・快適性を把握した。その結果、交錯パターンではすれ違いが安全・快適に感じ、追い抜きが危険・不快に感じることや、歩道幅員が広いほど安全・快適に感じること等を明らかにした。また、離隔距離に着目し、その他要因との交互作用を考慮した上で分析した結果、電動キックボードと電動車椅子の交錯では離隔距離が近いと危険・不快に感じること、個人属性では若者で離隔距離が近い場合や男性で離隔距離が近い場合において、危険・不快に感じること等を明らかにした。
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田部井 優也, 辰巳 浩, 吉城 秀治, 宮内 良輔
p.
280-285
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
本研究は,2023 年 7 月 1 日に施行された道路交通法の改正により新たに創設され,電動キックボードを特例特定小型原動機付自転車として歩道を 6km/h で走行できるようになったことを受け,6km/h 走行時の電動キックボードの車体の安定性について,自転車の徐行走行(6km/h 程度)と合わせ走行実験を行うことで評価を行った.その結果 6km/h の徐行走行下においては,段差区間も含め電動キックボードの方が自転車よりもふらつきの値が全体的に小さい結果が得らえた.また被験者の体感によるふらつきの評価においても,電動キックボードの方が全体的にふらつき感も小さい結果が得られた.以上から徐行で歩道を通行するという状況下においては,電動 KB の特例特定小型原動機付自転車としての走行安定性の方が高いことを示した.
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田中 大雅, 関原 敏裕, 張 馨, 中村 英樹
p.
286-291
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
高規格幹線道路ネットワークの骨格が整いつつあるわが国では、道路の量的な充足から質の充足へと転換する必要があるが、これには機能階層型道路ネットワークの考え方が重要である。本研究では、道路ネットワークがどの程度機能階層的に利用され得るかを評価するための指標である階層化度に対して、推定方法の簡略化を行い、国内各地域の実道路ネットワークに適用することで、地域の特徴と階層化度との関係を把握した。その結果、階層Aと階層Bの道路の量だけではなく、これらの道路の経路、産業売上額から求める重みの高い市町村との位置関係、対象地域の面積が、主に階層化度に関係することを確認した。
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宮﨑 耕平, 田中 淳, 山口 大輔, 苅谷 英祐, 中山 裕昭, 中村 英樹
p.
292-298
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
これまで、名古屋高速道路では渋滞の定義に基づき把握した渋滞多発箇所を対象に、各種の対策を検討・実施してきた。今後の更なる円滑性の向上には、渋滞多発箇所の対策に加え、ネットワークを時空間的に有効活用し、パフォーマンスを最大限発揮させることが重要である。本稿は、名古屋高速道路におけるネットワーク全体のパフォーマンスの状況を把握するため、交通状態や走行の自由度を交通密度で定量化し、時間別・箇所別・車線別のサービス水準として評価する手法の検討内容を報告するものである。結果として、並行する 3 号大高線と 4 号東海線でサービス水準に大きな偏りが生じていることや、車線数や分合流部が多い都心環状線では、時間帯・車線によりサービス水準に偏りが見られること等が確認できた。
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川島 陽子, 早河 辰郎, 近田 博之, 木村 真也, 石田 貴志, 中林 悠, 野中 康弘
p.
299-306
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
本稿では、中央自動車道(下り線)多治見 IC~小牧東 IC 間の登坂車線区間における「付加追越車線方式」への運用変更を対象に、交通状況を比較分析した結果の総括を報告する。付加追越車線運用方式では、左車線の車線利用率が上昇したが、右車線の車線利用率が低下した。特に、相対的に速度の低い大型車の左車線利用が顕著となった。また、全車線の平均速度に変化はないが、各車線の平均速度が上昇し、車線間速度階層が明確になった。さらに、相対的に速度が高い右車線において車群ができにくくなった。これにより、右車線を利用した追越行動が増加しており、追越の自由度が高まるとともに、法令違反となる左側からの追越行動が減少した。一方で、運用変更後に安全対策として実施した左側路肩 0.75m から 1.75m への変更による影響は限定的であった。
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早河 辰郎, 川島 陽子, 重原 大二朗, 近田 博之, 中林 悠, 石田 貴志
p.
307-314
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/10
会議録・要旨集
認証あり
本研究では、一宮 IC 付近(下)におけるファスナー合流促進による渋滞対策を対象に、合流可能延長を変化させた運用を行い、渋滞諸元、ボトルネック位置、渋滞延伸パターン、交通容量、車線利用率、合流位置の 6 項目を比較分析することで、より効果の発揮する合流可能延長を考察した。その結果、当該区間の合流可能延長を短縮したことにより、渋滞発生直前の車線利用率が改善するとともに、渋滞中に至る箇所での合流が抑制された。これによりボトルネック位置が下流に変化し、渋滞発生時交通流率と渋滞中交通流率ともに増加した可能性があることを示した。これを踏まえて、ファスナー合流促進による渋滞対策は、合流可能延長を短くした方がより対策効果を発揮することを改めて確認した。
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