こころと文化
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特集 多文化共生社会における精神科救急医療の課題と展望
東京都における外国人患者の非自発的入院の現状と対応
川瀬 愛
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2026 年 24 巻 1 号 p. 27-33

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抄録

現在,外国人患者の精神科診療は特別な事例ではなく日常的なものとなっている.一方で制度運用は日本人を前提としたままであり,対応は現場の裁量に依存している.本稿では,先行調査を基にしながら,外国人患者の非自発的入院や,在留外国人に対する地域支援についての実務的課題を,架空症例を通じて制度的・文化的・言語的観点から検討する.外国人患者の医療保護入院において,文化的背景や言語の違いを背景として,診療現場では通訳の確保,家族関係の把握,治療や入院制度や手続きの理解や同意の形成に困難を伴うことが多い.特に医療保護入院の同意取得をめぐっては,日本の精神保健福祉法が前提とする“家族”の概念が多文化的状況にそぐわないため,誰を同意者とするか,どのように手続きを行うかの判断に苦慮し,患者の権利保障や公平性にも影響を及ぼすおそれがある.こうした課題に対しては,法制度や手続きの見直し,地域での多文化支援体制の整備が重要である.支援の入り口となる地域の相談窓口で「やさしい日本語」やふりがな付き資料を活用し,民間団体や他機関と連携するなど,既存の資源の中で非自発的入院の予防的対応が可能になる場合もある.多文化共生を見据えた精神科医療の実現には,精神科にも対応可能な通訳者の育成支援,平易かつ多言語の情報資源の整備,そして多分野をまたいだ包括的な連携体制の構築が期待される.

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