2015 年 37 巻 6 号 p. 409-416
要旨:【目的および方法】血栓塞栓症発症7 日以内に経食道心エコー検査(TEE)が施行された非弁膜症性心房細動(NVAF)237 例を対象に,左房内血栓,抗凝固療法と血栓塞栓症再発との関連性を後ろ向きに検討した.【結果】TEE による左房内血栓は73 例(31%)に検出された.TEE 施行後から血栓塞栓症発症1 カ月以内の再発は,左房内血栓陽性73 例中10 例(13.7%),血栓陰性164 例中8 例(4.9%)に認められた(p<0.05).左房内血栓陽性群にて抗凝固療法施行40 例の再発率は未施行33 例の再発率より有意に低率であった(5.0% vs 24.2%,p<0.05).一方,左房内血栓陰性群にて抗凝固療法施行102 例の再発率は3.9%と未施行62 例の6.5%と有意差がなかった.【結論】血栓塞栓症発症急性期のNVAF 患者において左房内血栓は再発率を増加させ,早期の抗凝固療法はその再発率を有意に減少させた.