脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
早期公開論文
早期公開論文の32件中1~32を表示しています
  • 村松 倫, 田中 早貴, 水口 寛子
    論文ID: 11019
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/06/24
    ジャーナル フリー 早期公開

    急性期病院において,小脳損傷による言語障害に気づくことは多くない.我々は,右小脳出血に伴う失語様の言語障害を呈した1例を経験した.失調性構音障害や上肢失調による書字障害だけでなく,錯語や錯書,語想起困難などにも留意する必要があると考えられた.

  • 山路 千明, 前島 伸一郎, 永井 将太, 渡邉 誠, 稲本 陽子, 園田 茂
    論文ID: 11015
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/06/07
    ジャーナル フリー 早期公開

    【背景および目的】回復期における左被殻出血によって生じた失語症の書字・発話・言語理解の改善に影響を与える要因を検討した.【方法】対象者70名の診療録から,年齢,性別,入院期間,血腫型,血腫量,NIHSS, レーヴン色彩マトリシス検査(以下,RCPM),失語タイプ,失語症重症度を後方視的に調査した.標準失語症検査総合評価尺度の下位項目である書字・発話・言語理解の得点の改善群と非改善群において差のある要因を検討した.【結果】両群において,発話は年齢,NIHSS, RCPMに有意差を認め,書字では発話と同様の要因に加えて血腫量に有意差を認めた.言語理解は2群間で差のあった要因は認められなかった.【結論】書字や発話といった表出面の改善には,脳卒中の重症度および知的機能の保持が寄与し,言語理解は要因にかかわらず,改善しやすい言語モダリティであることが示唆された.

  • 後藤 克宏, 堤 貴大, 深水 豊, 高崎 実, 田中 厚生, 庄野 禎久, 森岡 隆人
    論文ID: 11017
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/06/07
    ジャーナル フリー 早期公開

    低酸素脳症のMRI診断において,拡散強調画像(DWI)の有用性が報告されているが,arterial spin labeling(ASL)による灌流画像がより有用であった症例を報告する.症例は72歳,糖尿病治療中の女性.上腕骨・肘頭骨折で入院となった翌日に心肺蘇生が施行された(Day 1)が,遷延性意識障害を呈した.Day 11のDWIでは両側線状体はごく軽度に高信号を呈するのみであったが,ASLでは同部に血流増加がみられた.Day 33と61のT1強調画像で,両側線状体に高信号域が出現し,ASLでは同部の血流は経時的に低下していった.これはFujiokaらが提唱した大脳半球の一過性あるいは軽度の虚血後に,同側線状体に遅発性にT1高信号が出現する病態が,両側に生じたものと考えた.MRIの通常撮像法にASLを加えることで,低酸素脳症に対する画像評価の精度が上がる可能性が示された.

  • 吉本 祐介, 藤原 賢次郎
    論文ID: 11022
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/06/03
    ジャーナル フリー 早期公開

    症例は74歳男性.突然の左片麻痺にて発症し,発症から1時間後の当院救急外来搬入時には麻痺は消失していた.麻痺出現の3日前より軽微な左後頚部痛を認めた.頭部CT, MRIで異常なく,一過性脳虚血発作(TIA)の診断のもと抗血小板剤投与が開始された.発症翌日に退院し,外来経過観察となったが,その後,頚部痛の存在から頚椎頚髄疾患の可能性が再考されるに至り,患者に再受診してもらい,頚椎MRIを施行した.その結果,C4–7レベルに頚髄を左背側から圧排する頚髄硬膜外血腫があることが判明した.血腫はその外側で信号強度の異なる部分が混在し,出血時期の異なる成分から成ると思われ,初回出血により後頚部痛を生じ,その後の出血で片麻痺を来したと推測された.その後のMRIで,血腫はわずか3日間で急速に退縮していることが確認された.頚髄硬膜外血腫が軽微な頚部痛とTIA様症状で発症する場合があり,注意が必要である.

  • 川村 晋司, 遠藤 岳朗, 古田 泰之, 吉野 正紀
    論文ID: 11005
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/05/20
    ジャーナル フリー 早期公開

    症例は57歳女性.特記すべき誘因なく,数時間で改善する激しい両側性頭痛が突発性に出現し,寛解増悪を繰り返したため,近医にて頭部CT, MRIを施行するも特記すべき異常なしと判断され,経過観察された.発症13日目に左頭頂後頭葉に約46 mlの皮質下出血を認めたため,当院へ紹介され,緊急開頭血腫除去術を施行した.術前頭部CTでは血腫周囲に低吸収域を認め,病理検査で血腫に接する脳組織の融解壊死を認めた.術後のMRAでは両側中大脳動脈,後大脳動脈に多発する狭窄所見を認め,後に改善したことより可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)による出血性脳梗塞と診断した.RCVSの多くは予後良好だが,一部には本症例のような予後不良な経過をたどる症例があるため,原因不明の急性発症の重度の頭痛患者に対しては,常にRCVSの可能性を考慮して慎重に対応することが重要である.

  • 上田 凌大, 今井 啓輔, 山田 丈弘, 山本 敦史, 猪奥 徹也, 樋野 陽子, 德田 直輝
    論文ID: 11010
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/05/20
    ジャーナル フリー 早期公開

    症例は87歳女性.意識障害と右片麻痺をみとめ,当院に搬送された.頭部CTおよびCT angiographyにて左中大脳動脈(MCA)閉塞による脳梗塞と診断し,rt-PA静注先行のもと,血栓回収術を実施した.左MCA水平部(M1)はステントリトリーバー(SR)と吸引カテーテルにて1passで再開通するも,島部(M2)は再閉塞を繰り返した.最終的にSRにて3passしたが,部分再開通にとどまった.左大脳半球は広範囲梗塞に陥り,第4病日に死亡した.病理解剖にて,複数の頭蓋内動脈での強い動脈硬化性変化とともに,左M1遠位部の粥腫と同部位の動脈解離をみとめた.後者は,動脈硬化の強い血管に対してSRを使用したことによる医原性脳動脈解離と考えられた.動脈硬化の強い高齢者の血栓回収術中に再閉塞を繰り返す場合は,術中の医原性脳動脈解離に留意すべきである.

  • 江島 泰志, 稲石 佳子, 金子 陽一
    論文ID: 10992
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/05/18
    ジャーナル フリー 早期公開

    【目的】覚醒剤乱用後に発症した脳血管障害の2例を経験したので,文献的考察を加え報告する.【症例1】36歳男性.数年来の覚醒剤常用者.覚醒剤を加熱吸引後,しばらくして突然右上下肢脱力が出現した.来院時は昏睡状態で,頭部CTで左大脳半球に巨大出血を認めた.来院3時間後には心呼吸停止状態となり,入院69日目に死亡した.【症例2】57歳男性.20代から覚醒剤を常用.覚醒剤静注後から倦怠感と体動困難を訴え始めた.2日後,意識障害と発熱(38.7°C)で入院.尿トライエージ検査は,アンフェタミン陽性だった.頭部MRIでは,小脳と脳幹に多発性梗塞を認めた.敗血症および菌塊塞栓による脳梗塞と診断され,抗菌薬治療を行った.しかし,全身状態は徐々に悪化し,入院10日目に死亡した.【結論】年齢が若く,高血圧や糖尿病等の基礎疾患のない脳血管障害症例では,覚醒剤乱用が原因となった可能性を考慮する必要がある.

  • 入江 研一, 三輪 佳織, 池之内 初, 千葉 哲也, 細木 聡, 吉村 壮平, 猪原 匡史, 豊田 一則, 古賀 政利
    論文ID: 11002
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/05/18
    ジャーナル フリー 早期公開

    【目的】椎骨動脈解離患者における延髄梗塞の臨床的および画像的特徴を検討した.【方法】2011年11月~2018年3月における急性期延髄単独梗塞連続例を調査した.MRIで延髄梗塞の形態的評価を行った.機能的転帰は3カ月後mRSで評価した.【結果】延髄単独梗塞の57例が対象となった.延髄梗塞のうち椎骨動脈解離15例,非解離42例であった.椎骨動脈解離群では非解離群と比較して,若年発症(51±7歳vs 70±13歳,p<0.001)であり,延髄外側梗塞は椎骨動脈解離群で有意に多く(100% vs 71%, p=0.02),延髄内側梗塞は全例で非椎骨動脈解離群であった(0%).機能的転帰不良(mRS≥3)は非解離群が椎骨動脈解離群に比して多かった(0% vs 24%, p=0.049).【結語】椎骨動脈解離による延髄単独梗塞は若年発症で,延髄外側梗塞を来しやすく,機能的転帰は良好である.

  • 井上 佑樹, 大河原 真美, 木附 宏
    論文ID: 11009
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/05/18
    ジャーナル フリー 早期公開

    症例は52歳,男性.脳底動脈閉塞を発症し,rt-PA静注療法と機械的血栓回収(mechanical thrombectomy: MT)を施行して再開通を得た.発症時に感染を疑う所見や症状はなかったが.MT術中に悪寒戦慄が出現したため菌血症を疑い,MTで得た栓子と血液を培養するとともに心エコー検査を行ってStreptococcus sanguinisS. sanguinis)による感染性心内膜炎(Infective endocarditis: IE)が原因の脳主幹動脈閉塞(large vessel occlusion: LVO)と診断した.S. sanguinisは口腔内の健康維持に重要な常在菌で,亜急性IEの原因にもなる.亜急性IEの存在やその症状,亜急性IEによるLVOのリスクについて,認知度が低い可能性があり,急性期脳梗塞治療において注意すべき疾患と考えられる.

  • 有竹 洵, 林 健太郎, 岩佐 憲一, 金井 由貴枝, 田原 奈生, 加藤 芳恵, 安部 哲史, 三瀧 真悟, 長井 篤
    論文ID: 10996
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/04/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    脳動脈解離は,若年発症の脳梗塞の原因となり得る病態であるが,微細な変化にとどまり,診断に難渋することがある.症例は40歳男性.視野障害で来院した.MRI拡散強調像で後方循環に点状の高信号を散在性に認めたが,MRAでは異常はみられなかった.抗血栓療法を行ったが,後方循環に1カ月間に3度の脳梗塞を繰り返した.その間に生理検査や画像検査を行ったが,原因を同定できなかった.血液検査では抗リン脂質抗体が陽性であった.血管造影検査を行い,右椎骨動脈V2–3移行部の膨隆を認め,動脈解離と診断した.解剖学的に右椎骨動脈が横突起孔を通過する部分で,頸部回旋などに際して損傷したものと判断した.同一血管へ脳梗塞を繰り返している場合には,経時的に血管造影を含めた画像診断を行う必要性があると考えられた.

  • 伊藤 章子, 片山 正輝, 松本 公宏, 釜本 大, 井上 賢, 佐々木 文, 岡本 真一郎, 菅 貞郎
    論文ID: 10989
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー 早期公開

    63歳男性,慢性ITPの経過観察中に意識障害を発症し,頭部MRI/Aにて急性期左内頚動脈閉塞と診断した.来院時血小板数1.9万/µlと低値で,rt-PA静注療法は禁忌であった.しかし,MRAでは前交通動脈を介した患側大脳半球の血流が維持されていたため,時間的猶予があると判断し,血小板輸血を先行した後に経皮的脳血栓回収術を実施し,TICI 3の再開通を得た.血栓の病理所見から脳塞栓症と判断し,二次予防は抗凝固療法を選択して17病日に独歩退院した.

  • 松崎 丞, 吉田 智子, 西居 純平, 辻 明宏, 柳原 武彦
    論文ID: 10999
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー 早期公開

    69歳,女性,言動異常のため受診した.上矢状静脈洞血栓症と診断し,緊急で血行再建療法を行った.再開通が非常に困難であったが,静脈灌流は改善し,53日目に自宅退院した.ワルファリン(PT-INR=2.0~2.5)で再発予防をしていたが,術後244日目に再発したため再治療を行い,前回同様,再開通が非常に困難であったが,静脈灌流は改善し,32日目に自宅退院した.ワルファリン(PT-INR=2.5~3.0)を継続し,約2年経過後の現在,再発なく経過している.精査の結果,アンチトロンビン(antithrombin: AT)活性低下,およびATをコードする遺伝子部位に既知のミスセンス変異を認め,先天性AT欠損症と診断した.血行再建術は困難であったが再灌流が得られ,術後PT-INR=2.5~3.0と高めに設定することで良好な結果が得られている.

  • 砂田 芳宏, 八木 謙次, 松原 俊二, 宇野 昌明
    論文ID: 11000
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー 早期公開

    【目的】自然血栓化・閉塞する過程を造影CTで追跡し得た前交通動脈瘤の症例を報告する.【症例】71歳の女性.偶発的に発見された大型右前交通動脈瘤で当院を紹介受診した.底部に石灰化とblebを伴う長径20.7 mmの動脈瘤を認めたが,治療希望がなく,年1回の造影CTAで経過観察となった.3年後に動脈瘤の母血管(右A1)末梢部の狭窄進行を認めたが,動脈瘤に大きな変化はなかった.しかし,4年後には動脈瘤は完全に消失し,右A1の全体的な描出不良進行を認めた.この経過中は無症状で経過し,MRIでも脳梗塞は認めなかった.その後も再発なく経過した.【結論】母血管狭窄進行を伴って自然完全血栓化した,稀な大型前交通動脈瘤の症例を経験した.造影CTアンギオグラフィーやMRI/MRAによって,経時的かつ長期のフォローアップが有効であった.

  • 市川 大, 深谷 浩史, 石田 俊哉, 提嶋 眞人, 大川 聡
    論文ID: 11003
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/04/05
    ジャーナル フリー 早期公開

    症例は56歳男性.左下1/4同名半盲で発症し,脳MRIで多皮質領域に新旧梗塞巣を認めた.Dダイマー値正常で,各種検査にて塞栓源は検出されず,1月後に運動性失語で再発した.CTで膀胱腫瘍を認め,摘出後の病理で多量ムチン粘液を伴う腺癌組織から,尿膜管癌と診断された.ヘパリン投与中に再発がなく,腫瘍摘出後長期間再発がない経過から,本例は尿膜管癌関連脳卒中と考えられた.Dダイマー値上昇を示さない癌関連脳卒中は非典型的と考えられるが,本例では,凝固系活性化よりも多量に存在したムチン粘液を介する血栓形成が,優位に働いた機序が推測された.癌関連血栓症における静脈血栓塞栓症と脳梗塞の病態は,必ずしも同一ではないと考えられ,診断におけるDダイマー値以外の新たな指標や,脳梗塞治療のエビデンスの確立が待たれる.

  • 池村 涼吾, 上野 英明, 足立 知司, 中尾 保秋, 山本 拓史
    論文ID: 11007
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー 早期公開

    急性期脳梗塞は,正確な診断と適切な治療介入が重要だが,脳卒中以外の疾患と鑑別困難な場合がある.本稿では,ミオパチーによるstroke mimics症例を報告する.69歳男性,突然の右上下肢麻痺で発症し,3時間後に救急搬送された.採血にてカリウム低値(K 1.8 mEq/l)およびクレアチンキナーゼ高値(CPK 2,403 U/l)を認め,ミオパチーによる筋力低下が疑われた.MRIでは急性期脳梗塞巣は認めず,rt-PAは投与せず入院とした.72時間以降も麻痺が持続したが,急性期脳梗塞巣は認めず,カリウム補正で麻痺の改善を認め,低カリウム血症性ミオパチーと診断した.通常,低カリウム血症性ミオパチーは,左右対称性の四肢麻痺で発症するが,稀に片麻痺や非対称性に発症することがある.特にアルコール多飲者では,慢性的なカリウム欠乏に伴うstroke mimicsを鑑別すべきである.

  • 川上 治, 古池 保雄, 杉浦 真, 加藤 博子, 加藤 隼康, 伊藤 翔太, 伊藤 悠祐, 大村 政人
    論文ID: 10995
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/03/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    【背景および目的】脳梗塞に伴う急性症候性発作(ASS)の臨床的特徴と発症リスクを明らかにする目的で,脳梗塞多数例に対し,後ろ向きに検討した.【方法】当院に入院した脳梗塞急性期(TIAを除く)患者2,152名を対象に,7日以内にてんかん性発作を発症した例をASSとして抽出した.年齢,性別,既往歴,発症前mRSと退院時mRS,入院時NIHSS,脳梗塞病型(NINDS),発作型を評価項目とした.【結果】ASSは42例(2%)発症,けいれん発作83%,非けいれん発作17%,けいれんから非けいれん重積状態(NCSE)が32%であった.ASSの過半数は,脳梗塞発症24時間以内に発症した.ASS発症の独立したリスクは,入院時NIHSS≥10,感染症,入院前mRS 3–5であった.【結論】脳梗塞急性期のASSを早期に診断するため,積極的に脳波測定を考慮すべきである.

  • 佐原 和真, 松下 展久, 佐藤 裕一, 鈴江 淳彦, 蔭山 彩人, 羽星 辰哉, 泉谷 智彦
    論文ID: 10998
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/03/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    真の後交通動脈瘤(true posterior communicating artery aneurysm: true PcomA aneurysm)の発生頻度は比較的稀とされている.今回我々は,内頚動脈閉塞後17年の経過で徐々に増大し,破裂した真の後交通動脈瘤の1例を経験した.症例は,73歳女性で,受診6日前に嘔吐で発症し,血管攣縮による運動性失語の増悪で受診した.脳血管撮影で,左後交通動脈に真の動脈瘤が認められた.発症6日後であり,血管攣縮も認められたため,コイル塞栓術を行った.結果的にはPcomAの一部が閉塞したが,前方循環からの灌流により明らかな脳梗塞が認められなかった.内頚動脈閉塞後に真の後交通動脈瘤が発生する報告はいくつかあり,内頚動脈閉塞例では長期にわたってフォローアップが必要であると考えられる.

  • 麻生 大吾, 久光 慶紀, 松田 浩幸, 森重 真毅, 武田 裕, 久保 毅, 藤木 稔
    論文ID: 10991
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/03/11
    ジャーナル フリー 早期公開

    症例は26歳男性,繰り返す右上肢脱力発作の精査にて左内頚動脈高度狭窄と多発性脳梗塞を認めた.急性期加療を行いながら,若年性脳梗塞の原因精査で右冠動脈末梢の狭窄と,腹部大動脈に血栓を疑う陰影欠損を認めた.さらに血球増多があり,JAK2遺伝子変異を検出し,真性多血症と診断した.ルキソリチニブの内服開始後,頚動脈プラークの速やかな退縮が得られた.今回の症例経験からJAK2遺伝子変異陽性例では,脳梗塞予防には抗血小板薬だけでなく,抗腫瘍薬使用も有用と考えられる.真性多血症での多発性の血栓塞栓症の報告は多いが,塞栓源に対する経時的画像変化を捉えた報告は貴重であると考え,報告する.

  • 金谷 優広, 松本 正太, 吉本 祐子, 楠見 公義
    論文ID: 10993
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/03/11
    ジャーナル フリー 早期公開

    症例は80歳男性.入浴後に意識障害,眼振,構音障害,右上下肢麻痺を発症し救急搬送となった.頭部MRIでは左頭頂葉皮質下の微小急性期梗塞を認め,magnetic resonance angiography(MRA)では左内頸動脈狭窄を認めたため,アテローム血栓性脳梗塞と診断し入院となった.入院翌日,吸痰中に突然意識レベルがJCSIII-300に低下し呼吸停止となった.気管挿管,人工呼吸器管理を開始し意識レベルの改善を認めたが,四肢麻痺が持続した.入院4日目に施行した頭頸部MRIでは右延髄~上位頸髄にかけての長軸進展病変を認め,computed tomography angiography(CTA)で右椎骨動脈閉塞の所見があり,梗塞と診断した.片側椎骨動脈閉塞で上位頸髄梗塞を来す可能性があり,注意が必要である.

  • 追塩 雅人, 柴橋 慶多, 宝田 秀憲, 杉山 和宏, 濱邉 祐一
    論文ID: 10931
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/02/28
    ジャーナル フリー 早期公開

    症例は28歳男性.突然の意識障害で発症して救急搬送された.来院時GCSはE1V1M2であった.頭部MRI/MRAで脳底動脈遠位部の途絶と両側小脳半球のDWI高信号域を認めた.心臓超音波検査で左房内に有茎性高輝度腫瘤を認めたため,心臓粘液腫に起因する脳塞栓症を疑った.急性期脳梗塞に対してIV-tPAは投与せずに,ステント型血栓回収デバイスを用いて血栓回収術を施行し,TICI3の再開通を得た.待機的に心臓腫瘍に対して腫瘍切除術を施行し,塞栓子と腫瘍の病理学的検査から,心臓粘液腫に起因する脳塞栓症と診断した.心臓粘液腫に起因する脳塞栓症は血栓もしくは腫瘍による塞栓で,機械的血栓回収術はいずれの場合にも回収が可能である.また,塞栓子の病理学的検査から,診断や再発予防において重要な情報を得ることができる.心臓粘液腫に起因する脳塞栓症に対して,機械的血栓回収術が有効かもしれない.

  • 黒須 咲良, 中居 康展, 池田 剛, 中条 朋子, 日下部 みどり, 山田 悟志, 佐島 毅, 上村 和也
    論文ID: 10988
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/02/18
    ジャーナル フリー 早期公開

    【背景および目的】頸動脈狭窄症に対する血行再建術の周術期に有用な高次脳機能検査について検討した.【方法】CEAおよびCASの術前および術後7日以内に高次脳機能の検査を行い得た33例を対象とした.検査は,Montreal Cognitive Assessment-日本版(MoCA),Raven色彩マトリクス検査(RCPM),Kohs立方体組み合わせテスト(KBDT),Trail Making Test-A・B(TMT-A・B),Rey-Osterrieth複雑図形検査(ROCFT),S-PA標準言語性対連合学習検査(S-PA)を用い,治療手技や病態等との関連を解析した.【結果】全群でMoCA, KBDT, TMT-A・B, ROCFTは改善したが,症候性群でS-PAが有意に低下した.【結論】S-PAは従来の臨床症状や画像診断で検出しきれない脳機能低下の検出に有用と考えられた.

  • 堀野 雅祥, 吉田 賢作, 宇藤 優, 菅 康郎, 肥後 拓磨, 後藤 英昭
    論文ID: 10964
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/02/16
    ジャーナル フリー 早期公開

    東京都立広尾病院は,東京都島しょ診療所と画像伝送システムを利用した診療支援を行っており,急を要する場合は当院へ航空搬送する.今回,当院から約1,000 km離れた小笠原村父島で発症した脳梗塞患者に対し“Drip, Ship, and Retrieve”を行った1例を経験した.症例は60代男性,小笠原村診療所に救急搬送され,頭部CT検査で脳梗塞急性期と診断された.当院脳卒中専従医に確認し,発症2時間後にrt-PA投与し航空搬送となった.発症12時間30分後に血管造影室に入室し血管内治療を行った.第30病日にmRS 5で回復期リハビリテーション病院へ転院,発症後5カ月mRS 4で自宅退院した.本例は諸家の報告と比べ長距離だが,島しょ診療所との協力で成し得た約1,000 kmの“Drip, Ship, and Retrieve”と血栓回収療法の適応時間拡充により血管内治療を行え,脳梗塞患者の予後を改善した.

  • 岩下 英紀, 鈴山 堅志, 中城 博子, 高口 素史
    論文ID: 10975
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/02/16
    ジャーナル フリー 早期公開

    50歳代の男性が意識障害のため搬送された.画像精査で右椎骨動脈解離によるくも膜下出血・両側頚部内頚動脈解離と診断した.右椎骨動脈の解離性動脈瘤に対して速やかにendovascular internal trappingを施行した.手術翌日に左上肢麻痺があり,画像精査で多発性脳梗塞を認め,頚部内頚動脈解離による脳梗塞と診断した.遅発性脳血管攣縮予防の治療にアスピリンを追加して頻回に画像検査を行い,頚部内頚動脈解離の狭窄は改善し,脳梗塞の再発はなかった.頚部内頚動脈には解離性動脈瘤が形成され,発症から3カ月の時点では残存したままであった.くも膜下出血の遅発性脳血管攣縮好発期に脳動脈解離による脳梗塞を合併した場合は,虚血症状の病態が複雑になる.遅発性脳血管攣縮予防の治療と抗血栓療法の強化を行いながら,画像検査による慎重な経過観察を行い,病状の変化に臨機応変に対応し,治療する必要がある.

  • 中村 秀, 片桐 彰久, 星野 達哉, 森澤 華子, 草野 良, 厚地 正子, 富永 禎弼, 米山 琢, 三浦 直久
    論文ID: 10982
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/02/16
    ジャーナル フリー 早期公開

    ヨード造影剤の重度アレルギーを持つ症例では,通常の造影剤を用いた頚動脈ステント留置術が困難となる.我々はヨード造影剤を全く用いずに奏功した頚動脈ステント留置術の1例を経験したため報告する.83歳,男性,高位の症候性頚部内頚動脈狭窄症に対して頚動脈ステント留置術を計画したが,精査の過程でヨード造影剤による粘膜疹が出現し,内科加療での再発予防を行った.しかし,脳梗塞再発を認め,ヨード造影剤を用いない頚動脈ステント留置術を施行した.Canon社製AlphenixとワークステーションAWSを用いて,透視画像に頚部MRI time-of-flight画像をfusionすることで,ヨード造影剤を使用せずに頚動脈ステント留置術が可能となった.本手技はワークステーションを利用すること以外は,従来の手法と技術的側面がほとんど変わらないため,造影剤を使用しない頚動脈ステント留置術のための有効な手段であると考えられた.

  • 武地 蒼太, 熊川 貴大, 須磨 健, 西出 拓馬, 梶原 遼, 塩川 諒治, 花島 裕也, 山室 俊, 吉野 篤緒
    論文ID: 10985
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/02/16
    ジャーナル フリー 早期公開

    症例は80歳男性.前医で胸膜生検後に意識障害,片麻痺,共同偏視を来し,急性期脳梗塞の疑いで当院に搬送された.症状からlarge vessel occlusion(LVO)によるacute ischemic stroke(AIS)が疑われたため,機械的血栓回収療法を考慮し,緊急で脳血管撮影を施行したがLVOは認めなかった.頭部CTを見直すと頭蓋内に空気泡を認めたため,脳空気塞栓症と診断した.症状は自然軽快し,第9病日に前医に転院した.脳空気塞栓症は多くが医原性合併症として起こる.脳空気塞栓症は,空気泡により障害された脳血管の支配領域によるため,様々な症状を来す.そのため,症状から血栓性のAISと鑑別することはできない.胸膜生検後にLVOを疑う症状を来した場合には,脳空気塞栓症によるAISも鑑別疾患に挙げる必要がある.

  • 眞野 唯, 佐々木 貴史, 安齋 高穂, 吉原 章王, 齋藤 直史, 松本 康史, 冨永 悌二
    論文ID: 10977
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/02/14
    ジャーナル フリー 早期公開

    【目的】脳血管内治療専門医の着任に伴い,未経験の施設で脳血管内治療を開始した.その導入と機械的血栓回収療法の初期治療成績を報告する.【方法】2020年4月に着任,各部署と準備を進めた.一部看護師,放射線技師は専門施設で研修を行った.また,開始前後における,来院からrt-PA投与までの時間を比較した.【結果】2020年5月から2021年3月までに12件の機械的血栓回収療法を実施した.所要時間は,来院からrt-PA投与までが50.5分(中央値),来院から再開通までが107.5分であった.TICI grade 2b–3は11/12件(91.6%)で達成され,退院時mRS 0–2は4/11症例(36.3%)であった.機械的血栓回収療法開始前はrt-PA投与まで78.5分であり,有意に短縮された.【結論】各部署の協働により,1カ月の準備期間で治療を開始できた.施設規模を鑑みるに,良好な初期治療成績と考える.

  • 廣瀬 俊明, 今井 資, 西田 恭優, 山本 俊, 伊藤 豪規, 平松 拓, 川端 哲平, 坪井 重樹, 野田 智之, 槇 英樹
    論文ID: 10979
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/02/14
    ジャーナル フリー 早期公開

    症例は67歳女性,後頸部痛後の意識障害,呼吸障害が出現し,発症から60分で当院搬送された.頭部CT, CT angiography後に意識状態は改善したが,高度右上下肢麻痺を認めた.頭蓋内出血,主血管閉塞は認めなかったが,急性期脳梗塞と診断しrt-PAを投与した.その後,再度呼吸状態が悪化し,四肢麻痺が出現したため挿管し,胸腹部CTを再検すると頸胸髄硬膜外血腫を認めた.rt-PA投与より7時間で第3頸椎から第2胸椎までの多椎間右半椎弓切除術および頸髄硬膜外血腫除去術を施行した.術後,自発呼吸出現,麻痺改善を認め,術後3カ月で右上肢巧緻運動障害が残存し,社会復帰した.幸いにも手術にて良好な経過を得たが,脊髄硬膜外血腫は時に脳卒中類似症状で発症し,脳梗塞と誤診し抗血栓療法を行った場合,重篤な転帰をたどる.疼痛発症,症状の動揺など通常の急性期脳梗塞と異なる経過では,早期の治療開始を急ぐより,正確な診断を優先すべきである.

  • 小山 佳輝, 岡田 秀雄, 辻 栄作, 林 宣秀, 桑田 俊和
    論文ID: 10965
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/02/08
    ジャーナル フリー 早期公開

    症例は69歳男性.頭痛・嘔吐症状を発症し救急搬送された.頭部CTにて後頭蓋窩に優位のくも膜下出血を認めた.CT Angiography(CTA)で脳底動脈高位右側に動脈瘤を疑う所見があるものの,脳血管撮影検査にて同部位での明確な動脈瘤の描出は認めなかった.3日後の脳血管撮影検査にてCTAで動脈瘤様陰影が疑われた部位に最大直径約2 mmの穿通枝動脈瘤を認め,出血源の診断確定に至った.急性期の厳密な鎮静・血圧管理による保存的加療を行い,動脈瘤の拡大傾向や再破裂なく経過し,リハビリテーションを施行して介助歩行可能となった.発症1年後の血管撮影検査で,動脈瘤消失を確認した.脳底動脈穿通枝動脈瘤は初期診断の比較的難しい動脈瘤とされているが,CTAが初期診断に有用である可能性があり,文献的考察を踏まえて報告する.

  • 田原 奈生, 林 健太郎, 金井 由貴枝, 加藤 芳恵, 安部 哲史, 三瀧 真悟, 長井 篤
    論文ID: 10974
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/02/07
    ジャーナル フリー 早期公開

    症例は71歳女性.後頚部に一過性に疼痛が出現した.その翌日,自家用車運転中に頭部を右に回旋した際,複視と悪心を自覚した.左に回旋しても症状の出現はなかった.救急外来受診時には症状が持続したが,徐々に改善した.身体所見に特記所見はなかった.頭部MRI拡散強調像で両側小脳に梗塞巣を認めた.頭頚部CTA, 頭頚部MRAでは右椎骨動脈の低形成と蛇行を認めたが,明らかな異常は指摘できなかった.Bow hunter症候群を疑い,頭部を回旋し頚動脈エコーを行ったが,流速低下は認めなかった.左椎骨動脈造影動態撮影で第1頚椎–第2頚椎移行部で血流が途絶し,bow hunter症候群と診断した.臨床所見上,bow hunter症候群が疑われた場合には,血管造影動態撮影が有用である.

  • 森山 久瑠美, 八ツ繁 寛, 成相 直, 原 祥子, 稲次 基希, 田中 洋次, 前原 健寿
    論文ID: 10970
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/02/04
    ジャーナル フリー 早期公開

    無症候性もやもや病経過観察中に,貧血を契機に脳梗塞を発症した女性2例を報告する.1例目は31歳女性.頭痛で施行したMRIでもやもや病と診断.脳循環不全は軽度で,保存治療とした.4年後,流産の子宮内容物除去術で約1600 mlの出血があった.術2日目に左不全片麻痺を呈し,当院に搬送.Hb 7.9 g/dl, MRIで右前頭葉脳梗塞を認めた.2例目は37歳女性.めまい精査のMRIでもやもや病と診断.脳循環不全は軽度で,保存治療とした.7カ月後,一過性の発語困難を呈し,当院に搬送.過多月経あり,Hbは5.8 g/dlで,MRIで両側前頭葉脳梗塞を認めた.2例とも血管病変,循環不全の進行はなく,輸血を含む治療後は脳梗塞の再発はない.無症候性もやもや病は潜在的な血行力学的負荷のため,貧血が脳梗塞の契機になる可能性があり,閉経前女性の産婦人科疾患による出血に関しては,産婦人科医と連携して管理すべきと考えた.

  • 岡田 洋一郎, 橋本 大輝, 前田 和彦, 河野 隆一
    論文ID: 10972
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/02/04
    ジャーナル フリー 早期公開
    電子付録

    87歳女性.起立困難で当院救急搬送となった.神経学的には軽微な失調徴候のみで明らかな麻痺は認めなかったが,起立時に前後に動揺する著明な立位保持困難と左側への易転倒性を認めた.頭部MRIでは右視床後外側に急性期脳梗塞像を認めた.視床病変により失調と失立症を引き起こしたと考え,頭蓋内主幹動脈には多数の高度狭窄があることから,アテローム血栓性脳梗塞として加療を行った.第26病日には,失調徴候は変わらなかったが,起立,歩行が軽介助で可能となり,リハビリ病院へ転院となった.立位保持困難な症例において,頭部MRIで視床後外側病変を認めたら視床性失立症が原因である可能性があり,視床性失立症の特徴や発症機序について文献的考察を加えて報告する.

  • 吉村 正太, 大塚 寛朗, 小川 由夏, 塩崎 絵里, 諸藤 陽一, 日宇 健, 小野 智憲, 川原 一郎, 原口 渉, 堤 圭介
    論文ID: 10976
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/02/04
    ジャーナル フリー 早期公開

    離島発症脳主幹動脈閉塞症(LVO)に対する血栓回収療法(MT)の報告は少なく,全国的診療実態は明らかではない.今回,長崎県下最遠隔離島(対馬)発症のLVO(76歳男性:脳底動脈閉塞症)において,本土基幹施設と連携した,離島施設前脳卒中ホットラインシステム(I-SHOT)を介し,初のdrip, ship and retrieve(DSR)法を経験した.発症後約5時間で再開通し,転帰は良好であった.遠隔離島では,医療環境上の制約で専門的緊急治療が困難な現状があり,MT施行可能な機会は限られている.当院でも過去6例のLVOでDSR法によるMTを企図したが,時間超過や天候悪化・梗塞完成等の理由で断念した.近年,I-SHOTの時短効果により,MT可能な時間内に本土へ到着する例が増加している.対馬発症LVO例で初のDSR法が奏功した症例を提示し,過去のLVO例を踏まえて報告する.

feedback
Top