脳卒中
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早期公開論文
早期公開論文の39件中1~39を表示しています
  • 佐藤 慎平, 久保 慶高, 村上 寿孝, 赤松 洋祐, 上杉 憲幸, 杉本 亮, 幸治 孝裕, 吉田 研二, 菅井 有, 小笠原 邦昭
    論文ID: 10772
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/05/20
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は9歳男児.突然,頭痛と嘔気が出現したが,様子をみていた.頭痛が改善しないため3日目にCT を施行したところ,右シルビウス裂のくも膜下出血と右側頭葉の脳内血腫を認めた.造影CT と脳血管撮影で右中大脳動脈M3部に20mmの血栓化動脈瘤を認めた.翌日に右浅側頭動脈(STA)-M4バイパスとトラッピングを行い,動脈瘤を摘出した.動脈瘤は紡錘状で,破裂部位は流入動脈の近傍に存在した.病理学的には明らかな解離を認めず,中膜に炎症性細胞の集簇と膠原線維の増加を認めた.また,内弾性板の消失と中膜の粘液変性を認めた.術後経過は良好で,新たな虚血病変は認めず,バイパスの開存と動脈瘤の消失を認めた.

  • 日野 宇太郎, 片山 正輝, 井上 賢, 久保 創, 菅 貞郎
    論文ID: 10783
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/05/20
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:【目的】治療中に別のshunted pouchの存在が明らかになり,その同定に各流入動脈からの選択的血管撮影が有用であった1例を報告する.【症例】72歳男性.脳梗塞後の経過観察目的の頭部MRA で硬膜動静脈瘻を認め経静脈的塞栓術を行った.術前血管撮影では左横・S状静脈洞接合部付近に複数のshunted pouchを認めていた.左後頭動脈と左椎骨動脈に撮影用カテーテルを留置し,術前に同定したshunted pouchおよび静脈洞を塞栓したところ,新たに別のshunted pouchを同定した.これを塞栓することでシャントは消失した.【結論】異なる流入血管の選択的撮影を正確に比較することは,複数の異なるshunted pouchの同定に有用である.

  • 橋本 黎, 大塚 喜久, 米田 行宏, 塩見 悠真, 関谷 博顕, 森本 貴昭, 山田 圭介, 影山 恭史
    論文ID: 10792
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/05/20
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:69歳男性.入院10日前に難治性吃逆を発症し,その後,排尿障害と歩行障害が出現した.MRIで最後野を含む延髄病変を認め,異常なflow voidや血管は明らかでなく,視神経脊髄炎スペクトラム障害が疑われた.しかし,3D-CT angiography(CTA)で右椎骨動脈の硬膜貫通部近傍に異常血管を認め,さらに4D-CTAで経時的に異常血行を確認し,頭蓋頸椎移行部硬膜動静脈瘻(CCJDAVF)と診断した.流出路遮断術を行い病変は縮小した.脊髄硬膜動静脈瘻ではステロイドにより病状が悪化する場合があり,MRIで異常血管を認めない場合でもCTAで精査することが重要である.とくに4D-CTAは継時的に血行動態を評価できることからCCJDAVFの診断に有用である.

  • 渡部 真志, 二宮 怜子, 近藤 総一, 鴨川 賢二, 冨田 仁美, 藤原 聡, 奥田 文悟, 岡本 憲省
    論文ID: 10714
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/04/24
    ジャーナル フリー 早期公開

     要旨:症例は41 歳男性.習慣的に行っていた頸部回旋直後に後頸部痛を自覚した後,ふらつき,呂律困難,右半身の脱力が順に出現した.意識はJCS 1 で,右同名半盲,構音障害,右片麻痺,左上下肢の運動失調がみられた.頭部MRI,DWI で左小脳と左視床内側に急性期脳梗塞を認めた.頭頸部MRA ならびに造影CT にて右椎骨動脈解離による動脈原性塞栓症と診断した.脳血管撮影では左回旋位で右椎骨動脈の血流の途絶がみられた.撮影中,右頸部回旋時に後頸部痛を生じた.左椎骨動脈に狭窄性変化と右回旋位で血流の途絶を認めた.検査後から一過性の浮動感が出現した.翌日の頭部MRA にて新たに左椎骨動脈解離を認めたため,両側椎骨動脈解離によるbow hunter 症候群(BHS)と診断した.抗血小板剤内服と頸部硬性カラー装着にてBHS に関連する症状は速やかに改善した.頭蓋頸椎移行部における椎骨動脈解離を疑って脳血管撮影を行う際には,頸部回旋により新たな動脈解離を来す恐れがあることに最大限の注意を払うべきと考える.

  • 布施 彰久, 北薗 久雄, 長田 奈緒美, 内 孝文, 植田 良, 野崎 博之
    論文ID: 10773
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/04/24
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は17 歳・男性.急性発症の頭痛,嘔吐で搬送された.神経学的所見では,髄膜刺激症候,右外転神経麻痺を認めた.頭部CT で,右乳突蜂巣の発育不良,右横静脈洞から上矢状静脈洞に高吸収域を認めた.脳血管造影では,右S 状静脈洞から描出はなく,上矢状静脈洞まで血栓が多発していた.以上より,脳静脈洞血栓症と診断した.血液凝固検査で血栓傾向を起こす原因は特定できなかった.しかし,入院後に右耳漏を認めたため,精査を行い,右真珠腫性中耳炎と診断した.脳静脈洞血栓症の原因として真珠腫性中耳炎が関与していると考え,治療を開始し,その後症状は消失したため,神経脱落症状なく退院した.脳静脈洞血栓症においては,頭部CT で乳突蜂巣の発育不良を認めたら,真珠腫性中耳炎が原因である可能性を考えるべきである.

  • 花山 寛朗, 南 浩昭, 松本 淳志, 荻田 誠司, 津田 快, 友金 祐介, 増田 敦, 富永 正吾, 山浦 生也, 吉田 泰久, 平田 ...
    論文ID: 10780
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/04/24
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は74 歳男性.ふらつきの精査にて先行性頭痛のない脳底動脈本幹部解離性脳動脈瘤を偶発的に発見した.経過観察の選択肢もあったが最大径7 mm を超えており,治療を強く希望されたため,ステント支援下コイル塞栓術を計画した.VER: 23%で治療終了し,術3 時間後に麻酔から覚醒良好となったが,構音障害と左片麻痺が認められ,MRI を撮影すると橋右側の新規脳梗塞を認めた.Retrospective に術中血管造影を確認すると,ステント展開直後から脳幹を栄養する穿通枝の描出が消失していた.ステントによる解離の治療は偽腔へのentry を消失させることが目的だが,その一方で偽腔を圧排することによって起こる穿通枝梗塞の可能性を十分念頭に置かなければならない.

  • 室井 よしみ, 森島 安里, 鈴木 理恵, 井之川 真寿美, 齋藤 尚代, 野村 美穂, 永岡 美穂, 森川 美香, 庭田 愛那, 風間 友 ...
    論文ID: 10760
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/04/13
    ジャーナル フリー 早期公開

     要旨:【目的】入院初期に意識障害や嚥下障害などにより経口摂取困難な脳卒中患者に,当院独自の栄養量需給管理システム「NSTManager」の有用性を検討した.【方法】対象は急性期脳卒中症例で,入院3 日目の段階でGCS 12 点以下または食事摂取量が7 割未満で,28 日間連続観察可能な症例とした.同システムの導入前(対照群,30 症例)と導入後(NSTManager 群,39 症例)とで,入院後の栄養状態,エネルギー量充足率,絶食期間,消化管有害事象を比較検討した.【結果】NSTManager 群は,対照群と比較して,絶食期間の短縮(p=0.00022),消化管有害事象の減少(p=0.019),体重変化率の制御(p=0.032)が有意に得られた.また,入院21,28 日目のエネルギー量充足率が有意に高かった(p=0.027,p=0.019).【結論】脳卒中患者にNSTManager を使用した栄養管理は有用である.

  • 太田 昭生, 山縣 然太朗
    論文ID: 10774
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/04/13
    ジャーナル フリー 早期公開

     要旨:【背景および目的】無料低額診療事業を利用して脳卒中治療を受けた患者を調査することで,貧困者の脳卒中の特徴を明らかにすることを目的とする.【方法】2010 年10 月~2018 年3 月に無料低額診療事業を活用して受診した113 人のうち,脳卒中の治療で回復期リハビリテーション目的に入院した患者を無低群,当該患者の次に入院してきて無料低額診療事業を利用しなかった脳卒中患者を対照群とした.【結果】無低群は27 人.無低群では収入の対生活保護率は64%,平均年齢は72.0 歳,男性は18 人,全入院期間は143.7 日だった.対照群は,平均年齢78.9 歳,男性14 人,全入院期間は95.1 日だった.【結論】貧困状況で生活している人たちは,非貧困者と比べ若年時に脳血管障害に罹患する危険性が高く,発症した際には入院期間が長期化する.

  • 岡田 敬史, 井上 学, 山上 宏, 田中 寛大, 塩澤 真之, 園田 和隆, 池之内 初, 福田 哲也, 佐藤 徹, 猪原 匡史, 工藤 ...
    論文ID: 10781
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/04/13
    ジャーナル フリー 早期公開

     要旨:【目的】全国の脳梗塞診療施設で行われている画像診断の現状をアンケート調査で明らかにする.【方法】日本脳卒中学会認定研修教育病院,日本神経学会認定施設,日本脳神経外科学会専門医所属病院を対象に,Web 回答によるアンケート調査を行った.【結果】回答率は26%(556/2112)で,507 施設が急性期脳卒中診療を行っていた.急性期脳卒中診療施設のうち,CT/MRI 両方を評価していたのが61%と最多であり,来院から画像診断開始までの時間は20 分以内が61%であった.血管内治療(EVT)施行施設(322 施設)のうち263 施設(82%)が発症6 時間超でもEVT を施行しており,そのうち発症6 時間超のEVT 適応判定に脳灌流画像を用いて評価しているのは12%であった.【結論】本邦ではCT,MRI 両方を組み合わせて画像診断を行っている施設が多く,脳灌流画像による診断は十分普及していなかった.

  • 加藤 寛之, 今井 資, 廣瀬 俊明, 近藤 正規, 川端 哲平, 野田 智之, 槇 英樹
    論文ID: 10768
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:77 歳の男性.突然の右半身麻痺失語で発症し救急搬送された.来院時NIHSS は17 点.頭部MRA/MRI で左中大脳動脈M1 遠位部閉塞と同領域にDWI で高信号(DWI-ASPECTS 8 点)を認めた.血液検査上は白血球およびCRP 高値で,心電図上は心房細動を認めなかった.急性期脳梗塞と診断し,rt-PA 静注療法後,機械的血栓回収術を行い,4pass でTICI2b の再開通を得た.回収した塞栓子の病理学的および細菌学的検査結果から感染性心内膜炎による急性期脳塞栓症と診断し,抗血栓療法は行わず抗生剤単独で治療を行った.脳梗塞の再発なく,mRS 4 でリハビリテーション転院した.感染性心内膜炎に起因する主血管閉塞型急性期脳梗塞の機械的血栓回収療法は,塞栓子の組成が通常と異なるため,手技回数が増加する傾向があり,また使用デバイスの見解も一定でない.一方,塞栓子の病理学的および細菌学診断が後療法の選択に有用となることがある.

  • 林 裕樹, 鳥飼 武司, 出村光 一朗, 梅津 正成, 市橋 鋭一, 間瀬 光人
    論文ID: 10771
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は84 歳女性.心房細動と大動脈弁置換術の既往がある.消化管出血を主訴に当院を受診し,腹部CT で大腸癌からの出血が疑われたため入院した.ワルファリンを内服していたが,PT-INRが過剰に延長しており休薬した.第3 病日に意識障害と左片麻痺を発症し,緊急でMRI 検査を施行した.その結果,DWI で右被殻と放線冠に虚血を認め,MRA で右MCA が閉塞していた.T2*ではsusceptibility vessel sign(SVS)は認めなかった.血栓回収療法を施行し,MCA は完全再開通し,白色血栓が回収された.回収された白色血栓から病理学的に細菌塊が証明され,最終的に感染性心内膜炎による脳塞栓症と診断した.予めSVS の有無により血栓の性状を予測し,回収された血栓が白色であれば病理検査に提出することが重要であると考えられた.

  • 古賀 政利, 井上 学, 園田 和隆, 田中 寛大, 塩澤 真之, 岡田 敬史, 池之内 初, 福田 哲也, 佐藤 徹, 猪原 匡史, 板橋 ...
    論文ID: 10776
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:脳梗塞の診断にはCT もしくはMRI による画像評価が必須である.再開通療法の可能性があれば速やかに最低限必要な画像評価で再灌流療法の適応を決定することが重要である.2018 年に改訂された米国のガイドラインでは,来院から20 分以内に画像診断を行うことが推奨されたが,わが国のガイドラインには画像診断までの時間の推奨はない.わが国では普及率が高いMRI で急性期脳梗塞を評価している施設が多い.機械的血栓回収療法の適応判定には脳実質の評価に引き続き速やかな頭頸部血管評価が必要である.米国では発症6 時間超の脳梗塞に対してCT もしくはMRI を使用した脳虚血コア体積や灌流異常の評価による機械的血栓回収療法の適応を推奨しているが,わが国では灌流画像評価や迅速解析に対応した自動画像解析ソフトウェアが普及していない.急性期脳梗塞に対する適切な再灌流療法を行うための,わが国の医療環境にあわせた画像診断指針が必要であろう.

  • 遠藤 岳朗, 丹羽 良子, 國井 尚人, 松橋 阿子, 石川 治, 中冨 浩文, 斉藤 延人
    論文ID: 10747
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/02/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:可逆性後頭葉白質脳症(PRES)は,意識障害,痙攣,視野障害などの神経症状を伴い,主に両側の頭頂葉,側頭葉,後頭葉に可逆性の浮腫性変化を呈する病態である.今回我々は頸動脈内膜剝離術(CEA)後にPRES を発症した稀な症例を経験したため報告する.症例は69 歳男性で,左右ともにNASCET 法で85%以上の両側頸部内頸動脈狭窄症を指摘され,まず左CEA を施行し,その2カ月後に右CEA を施行した.術後過灌流が遷延していたところ,意識障害,痙攣,左同名半盲を発症し,MRI で右側頭葉優位に浮腫性変化を認めた.浮腫性変化はその後に両側大脳全域に広がり,症状とともに改善傾向を示した.症状,画像上所見ともに可逆性であり,PRES と診断した.CEA術後過灌流が遷延している状態に発症したこと,浮腫性変化が術側から始まり両側に広がったことから,CEA 術後過灌流がPRES 発症に大きく関与したと考えられた.

  • 田中 健一郎, 坂本 誠, 渡辺 保裕, 黒﨑 雅道, 花島 律子
    論文ID: 10754
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/02/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:【目的】鳥取県内におけるt-PA 静注療法の全例調査を行い,その結果および地域別,医療機関毎の医師数との関連を検討した.【方法】鳥取県内のt-PA 実施可能なすべての医療機関の実績調査を行い,それぞれの医療機関の2016~2018 年の3 年間のt-PA 実施件数を年毎に調査し,地域別の各医療機関の常勤医数,脳血管内治療医数を含めて検討した.【結果】t-PA 実施件数は年々減少傾向にあるが(2016 年:110 件,2017 年:90 件,2018 年:73 件),二次医療圏毎のどの地区も全国平均以上のt-PA を実施していた.一方で,医療機関毎ではt-PA 実施件数の差を認め(35 件~0 件/年),脳血管内治療が可能な医療機関でt-PA 実施件数が多い傾向にあった.【結語】2016 年から2018 年にかけ県内のt-PA 実施件数は減少したが,医師数の異なる医療機関でt-PA 実施件数に差がみられた.

  • 小椋 貴文, 紙谷 秀規, 宇野 哲史
    論文ID: 10766
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/02/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:肺癌手術後に術後心房細動(postoperative atrial fibrillation: POAF)を生じ,洞調律への回復を認めたが,その約1 年後に心房細動が再発して脳塞栓症を呈した症例を経験した.症例は75 歳女性.肺癌に対する左肺全摘術施行後の周術期にPOAF を呈したが,Ca 拮抗薬とβ 遮断薬の投与により洞調律を得た.約1 年後に心房細動を再発して抗凝固療法が開始となったが,その翌日に構音障害,右不全片麻痺を呈し,左中大脳動脈M1 部急性閉塞を認めた.rt-PA 静注療法と機械的血栓回収療法にて再開通を得て,modified Rankin Scale 0 で退院した.胸部外科術直後のPOAF の管理については,レートコントロールや抗凝固療法などがなされるが,未だ心房細動の長期的な転帰の詳細は不明である.今回,教訓的な症例として報告する.

  • 大垣 福太朗, 周藤 高, 戸村 九月, 松永 成生, 小林 夏樹, 石川 幸輔, 五林 優子
    論文ID: 10748
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/01/27
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は29 歳女性.突然の激しい頭痛を発症し,次第に左下肢のしびれを伴ったため,発症3 日後に近医を受診され,当科紹介となった.頭部CT で右側頭頭頂葉に浮腫性変化を伴う出血性病変を認め,頭部MRI ではT1 強調画像において脳底静脈から直静脈洞にかけて連続する高信号を認めた.経口避妊薬の内服歴と臨床経過から静脈洞血栓症が疑われた.発症後より頭痛は改善傾向にあり,出血発症を考慮して経口避妊薬の中止と血圧管理のみで経過観察とした.入院7 日後の脳血管撮影では,動脈相後期にumbrella sign と共に表在静脈への流出所見を認め,developmental venous anomaly(DVA)が脳出血に関与していたことが示唆された.血管撮影での静脈鬱滞所見が軽度であったため保存的治療を継続したところ,良好な転帰が得られた.DVA の自然経過は一般に良好とされるが,症候性例では血管奇形の合併や血栓症の併発など血行動態の変化を伴う場合があり,病態評価が治療方針の決定に有用である.

  • 芝崎 謙作, 涌谷 陽介, 髙尾 芳樹
    論文ID: 10749
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/01/27
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:心房細動(AF)患者において経胸壁心臓超音波(TTE)での左室拡張機能の評価は,心房収縮波の欠如により困難である.本研究の目的は,発症7 日以内のAF による心原性脳塞栓症患者31 例の左室拡張機能を検討することである.始めに,TTE 時に洞調律であった発作性AF 患者の左室拡張障害(left ventricular diastolic dysfunction: LVDD)の頻度と重症度を調べた.LVDD は11 例(100%)にみられ,中等度以上は8 例(82%)であった.次に,発作性AF と持続性AF の2 群に分け,背景因子を比較した.LVDD のパラメーターであるE/e′ に差はなく,多変量解析の結果左房容積係数のみが持続性AF の独立した関連因子であった.AF による心原性脳塞栓症患者は,中等度以上のLVDD を有する.

  • 五十嵐 晃平, 久下 淳史, 近藤 礼, 下川 友侑, 山木 哲, 齋藤 伸二郎, 園田 順彦
    論文ID: 10757
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/01/27
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:74 歳,女性.アルツハイマー型認知症と診断を受けており,施設に入所中であった.転倒後に頭痛の訴えがあり,頭部CT でくも膜下出血を認めた.問診にて病歴聴取と頭痛の性状等を尋ねるも,認知症の影響により情報収集が困難であった.3D-CT angiography を施行したところ,前交通動脈に囊状動脈瘤を認めた.外傷性くも膜下出血との鑑別目的に造影MR vessel wall imaging を施行したところ,脳動脈瘤壁に強い増強効果を認めた.病歴聴取はままならなかったが,脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の可能性が高いと判断し,血管内治療を施行した.新たな合併症・神経脱落症状を呈することなく発症前の状態で独歩退院した.病歴聴取が困難であった高齢認知症患者のくも膜下出血の治療方針の決定に造影MR vessel wall imaging が有用であった1 例を経験したので報告する.

  • 古田 泰之, 藤谷 茂太, 大垣 福太朗, 小川 正太郎, 水田 亮佑, 藤本 蒼, 上田 雅之, 太田 貴裕
    論文ID: 10759
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/01/27
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:両側主幹動脈塞栓症は全虚血性脳卒中の0.34%に生じたとの報告があり,治療例に関する報告は少数で予後も不良である.両側内頸動脈系塞栓症に対し機械的血栓回収療法が奏功した症例を報告する.心房細動未治療の69 歳男性,意識障害,右共同偏視,左上下肢麻痺,失語で救急搬送となった.来院時,JCS 20,NIHSS 28 点.ASPECTS-DWI は右が7 点,左が10 点であった.MRA では後交通動脈分岐遠位の右内頸動脈,左中大脳動脈閉塞を認めた.rt-PA 静注し両側一期的血栓回収術を施行.ASPECTS がより低値で症状が重い右側から治療した.右側mTICI3,左側2a の再開通を得た.術翌日MRI で脳梗塞の進行を認めずNIHSS は1 点に改善,mRS 0 で自宅退院した.両側内頸動脈系塞栓症は保存的加療の予後が悪いが,症例によって治療順序(左右)の選択を適切に行い,迅速に血管内治療を遂行すれば良好な予後が見込める可能性がある.

  • 三善 健矢, 久保 慶高, 南波 孝昌, 三﨑 俊斉, 柴内 一夫, 菊池 登志雄, 片桐 克則, 幸治 孝裕, 小笠原 邦昭
    論文ID: 10762
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/01/27
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は神経線維腫症1 型の25 歳女性.左頸部腫脹と呼吸困難が3 日間の経過で進行し,気道閉塞を来したため当院へ搬送された.CT 上左頸部皮下軟部組織全体にわたる血腫を認め,正中偏位を来していた.血管撮影では左頸部内頸動脈の紡錘状の動脈瘤とともに左顔面動脈から血管外漏出を認めた.後者に対し,コイル塞栓を施行した.しかし,術11 時間後から左頸部の腫脹がさらに増大し,CTA 上左頸部内頸動脈の紡錘状動脈瘤が増大していたため,動脈瘤の末梢側および中枢側内頸動脈をコイル塞栓し,動脈瘤のトラッピングを行った.術後虚血合併症はなく経過したが,術1カ月半後に左頸部の皮下膿瘍,皮膚の自壊を認め,血腫除去および皮下郭清を施行した.その後の経過は良好であった.本症例は,頸部内頸動脈の血栓化動脈瘤が急速に増大して顔面動脈を物理的に損傷して皮下出血を来し,出血源である顔面動脈の処置後も動脈瘤が増大し続けたと思われた.

  • 長島 良, 大井田 知彌, 有屋田 健一, 堤 恭介, 田中 健太郎, 柳橋 万隆, 中村 安伸, 花川 一郎, 村尾 昌彦, 井手 隆文
    論文ID: 10680
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/12/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は67 歳の男性.10 年来の高血圧と糖尿病で近医内科に通院していたが,血圧や血糖のコントロールは不良であった.右片麻痺,失語で発症した左被殻出血で入院し,身体所見から先端巨大症を疑い確定診断に至った.リハビリテーションを優先してから下垂体腫瘍の手術を行った.その後も脳梗塞やTIA を反復し,加療とリハビリテーションを要した.当患者の脳出血や脳虚血の背景には,GH 過剰分泌が関与する二次性の高血圧や糖尿病の影響が推定された.コントロール不良の高血圧や糖尿病では,二次性の病態である可能性を再考して鑑別診断すれば,原疾患の診断と治療に繋がり,予後の改善に寄与すると考えられた.先端巨大症患者の脳血管障害についての報告では,その死亡率は通常よりも高いとされており,高血圧や糖尿病の背景疾患の鑑別による先端巨大症の早期発見と早期治療介入は,先端巨大症の予後改善に繋がることが予測され重要と考えられた.

  • 田中 愛実, 三間 洋平, 安部 裕子, 礒田 健太郎, 井村 隼, 大原 真理子, 上田 直子, 池田 充, 庄田 武司, 森川 雅史, ...
    論文ID: 10729
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/12/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は21 歳女性.入院1 週間前より発熱,頭痛,腹痛,血便がみられるようになった.入院当日に左不全片麻痺を来し,来院した.入院時検査で血小板減少,凝固線溶系の異常を認め,画像検査で多発性出血性脳梗塞と脳静脈,上腸間膜静脈,右大腿静脈の血栓症を認めた.劇症型抗リン脂質抗体症候群を疑い,ステロイドパルス療法とヘパリンによる抗凝固療法を開始した.入院3日目に右前頭葉および側頭葉の血腫増大を認めたため緊急開頭術を行った.抗リン脂質抗体陽性が判明し,劇症型抗リン脂質抗体症候群と診断した.血漿交換,リツキシマブ,シクロホスファミド静注療法を追加した.その後疾患活動性は低下し,プレドニゾロンとワルファリンによる維持療法に移行し再燃なく経過した.1 週間以内に複数臓器に静脈血栓症を来し,急激に重篤化する症例では,劇症型抗リン脂質抗体症候群を念頭に置き,迅速な精査加療を行う必要がある.

  • 古賀 嵩久, 竹本 光一郎, 堀尾 欣伸, 阪元 政三郎, 井上 亨
    論文ID: 10740
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/12/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は52 歳女性.2013 年に両上肢感覚異常を主訴に頭部MRI を施行し,もやもや病の診断となった.2017 年,MRI にて左側脳室近傍の深部白質に動脈瘤および同部に微小な脳出血を認め入院となった.無症候性脳出血を呈した後脈絡叢動脈瘤であり,治療方針(直達手術,血管内治療,血行再建術)について説明した上で,保存的治療を希望された.その後,再出血はなく,2 カ月後のMRI で動脈瘤血栓化を示唆する所見があり,発症5 カ月の血管撮影で動脈瘤の閉塞を認めた.もやもや病関連の末梢動脈瘤の治療方針は確立されていない.再出血が多く,積極的治療が望ましいが,治療リスクも高く,未破裂や本例のような無症候性病変では治療方針決定に難渋すると思われる.もやもや病関連の後脈絡叢動脈瘤の治療方針について文献的考察を加え報告する.

  • 三宅 勇平, 清水 信行, 山本 哲哉
    論文ID: 10743
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/12/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:42 歳男性.誘因なく頭痛,めまい,嘔吐が出現した.頭部MRI 検査では両側椎骨動脈(VA)から脳底動脈の描出不良を認め,両側小脳,脳幹に梗塞巣を認めた.左VA は大動脈弓部から起始していた.患者は抗血栓療法により増悪なく経過し,両側VA は経時的変化により再開通したことなどから,両側VA 解離と診断した.両側VA 解離は比較的稀であり,左VA 大動脈起始に合併した例は渉猟した限り認めなかった.両側発生の原因として,一側の解離の対側進展や,一側の解離による血流低下が対側の血流増加をもたらし解離を誘発することが推測されている.さらに,大動脈弓から起始している左VA は解離の危険性が高いことが報告されている.このことから,特に左VA 大動脈起始例では,右VA 解離により左VA 解離を起こす可能性もしくは潜在性に起こしている可能性が推測され,本例はそれを支持する症例と考えられた.

  • 篠藤 祐也, 高橋 牧郎
    論文ID: 10744
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/12/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:甲状腺腫瘍が総頸動脈解離の原因となった既報はなく,脳卒中科のみならず耳鼻科領域においても臨床上重要と思われるため報告する.症例は76 歳女性,72 歳時に左甲状腺腫瘍を指摘されたが,吸引細胞診で悪性所見なく経過観察となった.76 歳時,突然の意識障害と右片麻痺で搬送され,NIHSS スコアは22 点だった.MRI で左総頸~内頸動脈に解離を認めたが急性期脳梗塞巣はなく,検査中に症状は寛解した.ヘパリンナトリウムで治療開始し翌日には無症状となったが,頭部前屈に伴い意識消失と右片麻痺が出現するTIA を2 回生じた.入院第5 病日よりTIA は消失し,MRI で動脈解離の改善を確認し,第29 病日に退院した.後日腫瘍は摘出され,頸動脈への浸潤は認めなかったが,病理検査で濾胞癌と診断された.本例では左総頸動脈が長径約5 cm の甲状腺腫瘍に圧排され,血管の過伸展や屈曲,血管分岐部の牽引力により外傷性動脈解離を発症したと考えられた.

  • 高柳 猛彦, 田中 久, 竹本 将也
    論文ID: 10721
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/12/16
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は74 歳,男性.MRI 拡散強調画像(DWI)にて左大脳半球に多発性脳梗塞を認め,入院となった.抗血小板療法が直ちに開始されたが,経過中,段階的に脳梗塞が進行した.画像上はartery to artery 塞栓症が考えられ,検索が行われた.頸動脈エコー図での再検で,病変部位としてはかなり稀な左の総頸動脈の近位部の甲状軟骨の高さに,不安定で一部潰瘍形成を伴う不安定プラークを認めた.繰り返し同部位から血栓塞栓が生じている可能性があると考えられた.抗血小板薬を2剤から3剤に増量したが,脳梗塞が進行したため外科手術となった.本症例のように不安定な症候性頸動脈狭窄症に対する治療において,外科的な治療が良いのか内科的治療を優先させるのかは確固としたエビデンスは出ておらず,臨床症状を見ながら注意深く治療戦略を検討する必要があると考えられた.また,頸動脈狭窄症は内外頸動脈分岐部や内頸動脈に多く,本症例のように総頸動脈近位部にできることは我々の知る限りは稀であり,ピットフォールであると考えられた.

  • 戸塚 剛彰, 赤嶺 壮一, 黒田 直生人, 佐藤 晴彦
    論文ID: 10727
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/12/16
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:CTA spot sign を有する脳出血で,リバーロキサバン中和のために高用量の4F-PCC を投与し良好な転帰が得られた1 例を報告する.症例は69 歳女性,非弁膜症性心房細動のためにリバーロキサバンを内服中であった.院内で突然の意識障害を発症,頭部CT で正中偏位を伴う右側頭葉皮質下出血を認め,頭部CTA ではspot sign を認めた.血腫増大リスクが高く,脳ヘルニアを来していた.4F-PCC を2000 IU(50 IU/kg)投与したところ,速やかにPT,PT-INR が正常化した.その後血腫除去術を行い,術後は症状の改善を認め,mRS2 で回復期リハビリテーション病院へ転院となった.CTA spot sign をもつXa 阻害薬内服中の脳出血に対しては高用量4F-PCC 投与が良い適応となる可能性がある.

  • 今泉 俊雄, 稲村 茂, 吉藤 和久, 丹羽 潤
    論文ID: 10737
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/12/16
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:Cerebral microbleeds (CMBs)は,高血圧,cerebral amyloid angiopathy,高齢,遺伝などの脳卒中危険因子に加え,慢性閉塞性肺疾患,片頭痛,虫歯菌などとの関連が新たにわかった.CMBsは,deep CMBs(後頭蓋窩を含む)とlobar CMBs に分類して検討されるが,deep,lobar 領域両方に微小血管障害があると,相乗的な悪化が指摘されている.CMBs 保有者は,脳卒中の発症率,再発率が非保有者に比較して有意に高く,CMBs は脳卒中のバイオマーカーとして重要である.脳出血発症率が高いCMBs 保有者の抗血栓療法についての明確な指針はないが,CMBs を5 以上保有する虚血性脳卒中例では再発として脳梗塞より脳出血発症が上回るため,抗血小板剤,抗凝固剤使用を慎重にすべきである.CMBs と認知症との関連がさらに詳細に検討された.Lobar CMBs はアルツハイマー型認知症との関連はあるが,本邦ではdeep CMBs が認知症と強く関連し,脳血管性認知機能障害のマーカーでもある.西洋と東洋ではCMBs の分布に差があり,認知症や脳卒中への関与に違いがある可能性も指摘されている.

  • 福岡 泰子, 小倉 礼, 伊藤 泰広, 前 千登世, 冨田 佳代子, 大森 豊緑, 木村 和美, 松本 昌泰, 森山 美知子
    論文ID: 10741
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/12/16
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は65 歳男性.突然の左視野障害を自覚し,受診.頭部MRI 上,右後頭葉に梗塞巣を認め,塞栓性機序を疑ったが,発作性を含め心房細動は見いだされず,embolic stroke of undetermined source としてフォローした.脳梗塞再発予防の疾病管理プログラム研究へ参加し,疾病管理ナースが,不整脈の発見を目標に,血圧と脈拍の自己測定を含むセルフマネジメント教育を行った.発症後86 日目,患者自らが血圧と脈拍の異常に気づき,看護師に連絡した.看護師は心房細動を疑い直ちに受診を勧め,その結果,心房細動が確認され,翌日から抗凝固療法が導入された.Embolic stroke of undetermined source における発作性心房細動の検出には,患者へのセルフマネジメント教育が有用であることが示された.

  • 木附 信二, 上床 武史, 鴨川 徳彦, 杉森 宏
    論文ID: 10711
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/12/10
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は40 歳,男性.複視を主訴に受診し,橋右側の脳梗塞の診断で入院した.若年であり,血小板減少とactivated partial thromboplastin time(APTT)延長を認めたため抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome: APS)が疑われた.精査の結果,各種抗リン脂質抗体がいずれも高値であり,ワルファリン内服下で経過観察とした.初診4 カ月後に運動性失語と右片麻痺を発症し,MRIで左中大脳動脈閉塞による左基底核の脳梗塞再発を認めた.APS に伴う主幹動脈病変の経過と判断し,ヒドロキシクロロキンを追加し第14 病日に退院としたが,1 カ月後のMRI で,左視床に新規梗塞巣と後大脳動脈P1 に新たな狭窄を認めた.短期間のみ抗血小板薬を追加し,その後経時的に狭窄は改善し再発なく経過している.本例はAPS に急速に進展した多発性の主幹動脈病変を伴う脳梗塞を繰り返した稀な症例であり,文献的考察を加えて報告する.

  • 桝田 宏輔, 出原 誠, 萩原 靖
    論文ID: 10713
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/12/10
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:【目的】鉄欠乏性貧血による血小板増多症が原因であった脳静脈洞閉塞症を経験したので報告する.【症例】29 歳女性.子宮筋腫による不正出血のため慢性貧血を指摘されていた.突然の左片麻痺が出現.来院時ヘモグロビン濃度4.0 g/dL,血小板数142 万/μL.頭部MRI で両側前頭葉に脳腫脹を,脳血管撮影で上矢状洞閉塞を認めた.血栓回収療法により静脈洞閉塞は部分再開通が得られ,症状は徐々に改善した.第26 病日に子宮筋腫摘出術を行い貧血が改善.発症後9 カ月間で抗凝固療法を終了したが,その後1 年以上閉塞症の再発は起こしていない.【結論】高度貧血による血小板増多症は閉塞症の原因となる.血栓回収療法は脳動脈閉塞のみならず脳静脈洞閉塞に対しても有効な症例がある.

  • 河野 浩人, 卯津羅 泰徳, 齋藤 実, 西村 修, 松林 景二, 岡野 晃, 中島 正之
    論文ID: 10725
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/12/10
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は77 歳の女性で,特発性血小板減少性紫斑病による血小板減少や出血傾向に対し,入院時に,心房細動に対して内服していた直接経口抗凝固薬を休薬していた.入院中に突然発症の意識障害,左片麻痺,および右上肢の血色不良と橈骨動脈触知困難を認め,精査の結果,心原性脳塞栓症による右内頸動脈閉塞および右腋窩動脈急性閉塞,腎梗塞を認め,多発血栓塞栓症と診断した.rt-PA 静注療法に加え,血管内治療にて頸部および上肢血管の血栓除去術を行った.経過および症候は大動脈解離と共通点が多く,鑑別に注意を要すると考えられた.

  • 吉田 拓弘, 下島 吉雄, 桃井 浩樹
    論文ID: 10736
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/12/10
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:アルコール依存症で精神科入院歴のある45 歳男性.右片麻痺および痙攣で入院.両側頭頂葉皮質下に出血を認め,造影CT で上矢状静脈洞に血栓による閉塞を確認した.原因となり得る先天的酵素欠損や膠原病,血管炎,感染症,悪性腫瘍等を認めず,前医で処方されていたクエチアピンの関与を疑い,これを中止した.抗凝固療法を継続し,血栓の退縮を認め,第62 病日に転院.抗精神病薬の重大な副作用に静脈血栓塞栓症があり,近年は非定型抗精神病薬によるリスクが注目されている.特にクエチアピンのリスクの高さを指摘する報告があり,使用に当たっては常に静脈血栓塞栓症のリスクを念頭に置く必要がある.

  • 田尻 征治, 植田 裕, 長谷川 秀, 三浦 正毅, 武笠 晃丈
    論文ID: 10742
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/12/10
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:脳動脈瘤破裂後,長期間が経過して出血源の動脈瘤を手術したくも膜下出血例は稀であり,初診時に動脈瘤が見落とされた経緯が教訓的でもあり,報告する.症例は77 歳女性.突然の頭痛で発症し,4 日後に受診.CT で大脳縦裂間に薄いくも膜下出血を認めた.出血源検索を繰り返し施行したが同定できず,出血源不明のくも膜下出血と診断した.その後,外来で定期的に画像フォローをしたが,出血源は確認できなかった.発症6 年後,偶然にもMRA で前大脳動脈末梢部に囊状動脈瘤を指摘した.発症時の画像を再検証し,同部位を出血源と診断し,開頭クリッピング術を施行した.本症例は,SAH の分布が少量で不明瞭,末梢の小さな動脈瘤,脳血管攣縮,画像検査が不十分などから,初回入院時に破裂動脈瘤が見落とされたが,6 年間再破裂なく経過し出血源を処置できた稀な症例である.3DCTA やMRA のみの画像検査では,特にdistal ACA の動脈瘤は見落とされる可能性があり,撮像範囲が限定されていないかにも注意を要する.

  • 三木 健嗣, 野口 直樹, 森 恩, 山田 哲久, 有村 公一, 甲斐 康稔, 名取 良弘
    論文ID: 10708
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/11/26
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:急性期に診断がつかなかった破裂micro arteriovenous malformation(AVM)の1 例を報告する.症例は19 歳女性,小脳出血を認め,造影検査を施行するも出血源は認めなかった.時期をおいた血管造影検査で瘤状構造物を認め,術中のマイクロカテーテル造影で静脈の早期描出を認めたため,静脈瘤を伴う破裂micro AVM と診断した.同病変に対して栄養動脈塞栓を行い,血管奇形の描出はなくなった.破裂micro AVM では時期をおいた検査が必要であり,病態把握にはマイクロカテーテル造影が肝要である.また,治療はn-butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)を用いた栄養動脈塞栓術が有用である.

  • 山田 恵祐, 原 貴行, 鶴田 和太郎, 吉野 正紀, 細尾 久幸
    論文ID: 10717
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/11/26
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:発症40 日目のdigital subtraction angiography(DSA)で初めて出血源を同定できたsubarachnoid hemorrhage(SAH)の症例を経験したため報告する.症例は48 歳男性.突然発症の頭痛にて搬送となった.CT 上脳底槽に厚いSAH を認め,水頭症を呈していた.出血源精査としてDSA を発症14日以内に計4 回施行するも出血源を同定できず,40 日目のDSA にて初めて脳底動脈先端部近くに仮性動脈瘤を疑う所見を認めた.直達手術は困難と考え,整流効果に期待してbraided stent を留置したところ,良好な血栓化を確認でき,転帰良好で自宅退院となった.出血源不明のSAH にどこまでDSA を繰り返すかはコンセンサスがなく,経過も一般的には良好と言われているが,本症例のように出血量の多いSAH の場合,慢性期での出血源精査も必要と考えられた.

  • 豊田 章宏, 立道 昌幸, 小島原 典子, 星 佳芳
    論文ID: 10719
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/11/26
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:わが国の脳卒中大規模調査研究は少なく,特にくも膜下出血に関しては全体の6%程度であるため,疫学的に不明な点も多い.代表的な「脳卒中データバンク2015」でさえ,局在明瞭な破裂脳動脈瘤は4,153 例と少ないため,労災病院病職歴調査研究データから局在明瞭な破裂脳動脈瘤3,963 例を抽出し,その特徴を明らかにする目的で分析した.破裂脳動脈瘤は,女性が男性の2 倍多く,平均年齢は男性60.1 歳,女性68.9 歳で,ピークは男性60 歳代,女性70 歳代であった.局在はウィルス脳動脈輪前半が80%を占め,前交通動脈(29%)・中大脳動脈(27%)・内頸動脈周囲(23%)の順で多かった.局在比率は,脳卒中データバンクでは男性で明らかに前交通動脈が多いが,本研究では男女差を認めなかった.男性で中大脳動脈の発症年齢が若い傾向があった.さらに24 時間以内死亡例を抽出すると,中大脳動脈が多く,特に男性で有意であった.詳細解明には全国レベルでの全例調査が望まれる.

  • 久野 智之, 打田 佑人, 宇佐美 寿彦, 小林 晋, 高田 幸児, 大村 真弘, 松川 則之
    論文ID: 10722
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/11/26
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は21 歳の男性である.8 カ月前から男性型脱毛症に対してフィナステリドとミノキシジルを服用していた.ウエイトトレーニング中に突然,頭痛と視野異常を自覚した.視野検査では,左上四分盲を認め,画像検査では,右後頭葉に出血性脳梗塞を認めた.右後大脳動脈の塞栓症と考えられたが,塞栓源は明らかではなく,フィナステリドとミノキシジルの関与が疑われた.若年性脳梗塞を発症した場合,非認可薬を含めた服薬歴を詳細に問診する必要がある.

  • 渡辺 光太郎, 岡崎 周平, 谷口 茉利子, 柿ヶ野 藍子, 北野 貴也, 秀嶋 信, 石倉 照之, 中野 智仁, 神野 隼輝, 藤堂 謙一 ...
    論文ID: 10726
    発行日: 2019年
    [早期公開] 公開日: 2019/11/26
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)は稀ながら周産期脳卒中の原因として重要な疾患である.症例は37 歳の初産婦,妊娠40 週に緊急帝王切開で第一子を出産した.産褥3 日目に,頭痛,めまい,左手の使いにくさが出現し,当院に搬送された.頭部MRI で左小脳半球と橋に急性期脳梗塞,右前頭葉に皮質下出血を認めた.来院時のMRA では主幹動脈に異常を認めなかったが,第8 病日に脳底動脈・両側椎骨動脈に高度狭窄が新たに出現し,basi-parallel anatomical scanning(BPAS)および3 dementional-T1 weighted imaging(3D-T1WI)の所見から血管攣縮と考えられた.カルシウム拮抗薬で治療を行い,次第に狭窄は改善し,数カ月の経過で正常化した.本例では,MRA に加え,BPAS および3D-T1WI を経時的に撮影することにより,非侵襲的にRCVS の診断が可能であった.

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