脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
早期公開論文
早期公開論文の31件中1~31を表示しています
  • 芝崎 謙作, 涌谷 陽介, 髙尾 芳樹
    論文ID: 10868
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/05/14
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:【背景と目的】急性期脳梗塞患者における骨格筋量の経時的変化を調べ,サルコペニアの実態を明らかにする.【方法】2019年1月~2020年9月に入院した発症48時間以内の脳梗塞患者101例を登録した.骨格筋量は入院時と約2週間後(follow-up)に測定した.Follow-up時に握力と歩行速度を評価し,サルコペニアの頻度と関連因子を後方視的に検討した.【結果】サルコペニアは58例(57%)で,入院中に低骨格筋量へ進展したのは3例のみであった.年齢(OR 1.2,95% CI 1.060–1.267),body mass index(OR 0.7,95% CI 0.526–0.881),Food Intake LEVEL Scale(OR 0.3,95% CI 0.117–0.841)がサルコペニアの独立した関連因子だった.【結論】入院中に低骨格筋量へ進展した患者は少なかった.

  • 村瀬 翔, 牧 貴紀, 福村 匡央, 黒田 雄三, 権 泰史, 中澤 和智
    論文ID: 10870
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/05/14
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は83歳男性.意識障害にて救急搬送となった.来院時NIHSSは17点で,頭部MRAで左MCA閉塞(M1遠位部)を認めた.頭部CT,MRIで早期虚血変化を認めず,血管内再開通療法の適応があると判断した.血液検査で Hb 3.8 g/dl,MCV 144 flと高度大球性貧血を認め,活動性消化管出血が否定できないことから,rt-PA静注療法は施行しなかった.輸血療法および機械的血栓回収療法を迅速に施行し,左中大脳動脈の完全再開通を得た.上部消化管内視鏡検査にて慢性萎縮性胃炎を認め,血清 vitamin B12 値の低下を認めたことから,悪性貧血による高度大球性貧血と診断した.入院後,抗凝固療法および vitamin B12 補充療法を導入の上,第13病日に後遺症なく退院した.脳梗塞急性期において,血管内再開通療法の適応を判断する際にも,貧血を含めた基礎疾患の確認と全身管理を並行して行うことが重要である.

  • 白石 渉
    論文ID: 10873
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/05/14
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は48歳女性.母親と母方祖母に難聴と糖尿病がある.5年前に糖尿病を指摘された.来院6カ月前からメトホルミンの導入を開始され,その後増量された.この頃から難聴を自覚していた.X日,突然発症の運動性失語で前医に緊急入院し,ヘルペス脳炎の診断で加療され X+15日に退院となった.その翌日に運動性失語と右同名半盲,右半側空間無視が出現し,当院に入院した.頭部MRIで,左の側頭葉,後頭葉,頭頂葉病変を認め,同部位は MR spectroscopy で乳酸ピークを認めた.血清と髄液の乳酸,ピルビン酸値とL/P比の上昇も認め,ミトコンドリア病と診断した.本症例は,メトホルミン導入後に難聴,脳卒中様発作を生じたが,メトホルミンは乳酸上昇を介してミトコンドリア病を悪化させる.難聴,抗体陰性の1型糖尿病,低身長などが母系遺伝する糖尿病患者では,ミトコンドリア病の可能性を考え,乳酸値の測定等を検討することが望ましい.

  • 金沢 優, 下田 健太郎, 倉田 原哉, 加納 利和, 古市 眞, 吉野 篤緒
    論文ID: 10842
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/04/28
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:【目的】埼玉県は脳血管内治療専門医が全国平均より少なく,脳梗塞患者を迅速に搬送するために2018年から埼玉県急性期脳梗塞治療ネットワーク(Saitama Stroke Network: SSN)を開始した.川口市立医療センターはSSNに参加し,患者数増加に備えて診療体制を整備した.診療体制整備の成果と問題点を明らかにするため,急性期血行再建術の成績を調査した.【方法】2016年1月~2017年12月の35例を前期群,2018年1月~2019年12月の27例を後期群として,SSN前後での発症から再開通までの時間と転帰を比較した.【結果】後期群で穿刺から再開通までの時間が有意に短縮し,再開通率も良好であった.来院から穿刺までの時間は有意差がなかった.【結語】更なる時間短縮のために,症例毎に問題点を評価する仕組みと脳卒中診療に対するコメディカルスタッフの習熟が必要であった.

  • 吉田 真一郎, 花山 寛明, 山浦 生也, 南 浩昭, 吉田 泰久
    論文ID: 10860
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/04/28
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:出血発症の解離性脳底動脈瘤において,LVISを複数枚併用したコイル塞栓術によって良好な経過をたどった症例を経験したので報告する.症例は69歳女性.くも膜下出血で当院に搬送された.同日の脳血管造影検査では脳底動脈本幹部に軽度の拡張を認めるのみで出血源の同定はできず保存的加療となった.入院から1週間後に脳底動脈の拡張部は明らかに増大し,その近位部に数珠状狭窄を認め,出血源は解離性脳底動脈瘤であると診断された.再破裂の危険性が高いと判断し,瘤様拡大部分のコイル塞栓術と脳底動脈解離全体を覆うために複数枚のステント留置を施行した.術後早期および術後2年経過した現在も再発を認めていない.出血性解離性動脈瘤は短期間で増大および形態変化するため,短い間隔での経時的な経過観察が重要であり,治療手段としてLVISを複数枚併用したコイル塞栓術が有用であると考えられた.

  • 松本 泰子, 山口 和由
    論文ID: 10856
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/04/16
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は,開眼困難,発語不明瞭にて搬送された76歳,女性である.入院時,意識清明,両側開眼困難,垂直性注視麻痺,発語不明瞭であった.MRIにて両側視床内側梗塞と診断し,急性期加療を施行し,第2病日には開眼可能,神経症状は垂直性注視麻痺のみとなった.日常生活動作自立状態となった第5病日,病室で意識障害を発見され,それ以来,歩行中などでも急激な意識障害を繰り返すようになった.原因検索で原疾患以外の疾患を見出せず,原疾患に伴う発作性睡眠と診断.対症的にアマンタジンを投与し,著効した.傍正中視床病変では意識障害遷延を主体としてさまざまな症候が報告されているが,本疾患では,亜急性期にナルコレプシー類似の発作性睡眠を繰り返すという特徴的な症候で,本症候が傍正中視床梗塞の一つの症候として認識されるべきであること,また,アマンタジンが同疾患の意識障害の治療として期待できることを報告する.

  • 前田 拓真, 堀川 弘吏, 星野 純一, 長谷川 詠子, 有澤 慶, 吉田 馨次朗, 神田 朋樹, 原 貴行
    論文ID: 10865
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/04/16
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:好酸球性肉芽腫性血管炎(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis: EGPA)に高安動脈炎を合併するのは稀である.今回,EGPAに合併した高安動脈炎の患者で,総頸動脈閉塞を生じ外科的に血行再建術を施行した1 例を経験した.症例は49歳女性,12年前よりEGPAに対しステロイド内服加療中.突然の左片麻痺を主訴に救急搬送となり,右多発脳梗塞,右総頸動脈閉塞の診断で入院となった.PET-CTでは右総頸動脈分岐部から大動脈弓部にかけて18F-fluorodeoxyglucose(FDG)の集積を認め,高安動脈炎の診断となった.脳血流検査において右大脳半球の血流低下を認め,原疾患の治療後に右鎖骨下動脈─右内頸動脈バイパス術を施行した.術後経過は良好で自宅退院となった.EGPAに高安動脈炎が合併した総頸動脈閉塞例においても,血管炎の活動性が低下した時期では血行再建術を安全に施行可能と考えられた.

  • 高野 裕樹, 阿部 圭市, 野村 誠, 米山 琢, 比嘉 隆, 川俣 貴一
    論文ID: 10844
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/04/06
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:階段状に症状増悪を認める progressive stroke は,一般的に予後が悪く,治療に難渋することが多い.内科的治療に抵抗性であり内頸動脈高度狭窄を認めた場合,急性期に carotid artery stenting(CAS)を行うことがあるが,過灌流による出血の危険性がある.慢性期の内頸動脈狭窄症に対するCASの際,過灌流予防目的に staged angioplasty という治療戦略が取られることがある.この構想に基づき,今回過灌流予防目的で急性期に staged angioplasty を施行した2例を経験した.症状増悪を認めたところで,まず percutaneous transluminal angioplasty(PTA)を施行し,24時間空けたのちCASを施行した.いずれの症例も過灌流は生じず,良好な転帰を辿ったため報告する.

  • 小笠原 邦昭, 久保 慶高
    論文ID: 10858
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/04/06
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:頸動脈内膜剝離術(CEA)前後の認知機能変化に関し,臨床的に意味のある定義づけをするために,主観的評価および神経心理検査データから,各症例を「術後機能改善」および「術後機能悪化」と定義した.その結果,「術後改善」は11%,「術後悪化」は11%,「術後不変」は78%であった.SPECT,PET,MRI等を用いた検討から,「CEAによる脳血流改善→脳代謝改善→大脳皮質神経受容体機能・大脳白質微細構造の改善→認知機能改善」という流れがあることがわかった.術前に存在する大脳半球白質病変の程度が認知機能改善の律速になっていた.また,同検討から,「CEA後過灌流→脳代謝低下・大脳皮質神経受容体機能低下・大脳白質微細構造障害→認知機能悪化」という流れがあることがわかった.「CEA後過灌流が脳血液関門を破壊し,microbleeds をはじめとした神経毒が流出し,神経組織を障害し,認知機能低下を来す」ことが示唆された.

  • 高井 洋樹, 松原 俊二, 木下 景太, 宮崎 裕子, 船橋 卯, 南 祐佳里, 平井 聡, 原 慶次郎, 八木 謙次, 宇野 昌明
    論文ID: 10852
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/03/26
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:【目的】多数の破格を合併した internal carotid-infraoptic course of anterior cerebral artery(IC-IOA)分岐部動脈瘤症例を報告する.【症例】37歳女性.頭痛精査の頭部MRIで右内頸動脈瘤,脳血管撮影で両側IOAと,その血管と右内頸動脈分岐部に動脈瘤を認めた.他に plexiform of anterior communicating artery complex と bihemispheric anterior cerebral artery,外頸動脈からの眼動脈描出,左後頭動脈の内頸動脈分岐,両側椎骨動脈の非典型的走行を認めた.また,脳梁は軽度形成不全であった.脳動脈瘤に対しステント支援下コイル塞栓術を施行したが,本血管は温存され,合併症はなかった.【結語】本疾患は破格を合併することが多く,詳細な画像読影が必要と考えられた.

  • 福本 博順, 吉永 貴哉, 森下 登史, 福田 健治, 安部 洋, 佐藤 公則, 東 登志夫, 河野 義久, 井上 亨
    論文ID: 10854
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/03/26
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は41歳の女性で,10年前に左中大脳動脈閉塞症を発症し,その後も複数回にわたり右上下肢の脱力や構音障害を自覚していた.今回,再度左中大脳動脈閉塞症を発症し,血栓回収療法中に carotid web を発見した.その後,再発予防を目的に頸動脈ステント留置術を行った.特に若年における危険因子のない脳梗塞において,carotid web は鑑別すべき重要な疾患と考えられた.

  • 中島 一夫, 仲 元司, 西山 修, 高濱 充貴, 西森 栄太
    論文ID: 10838
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:【目的および方法】腎機能障害(推定糸球体濾過量 <60 ml/min/1.73 m2)を有する非弁膜症性心房細動(NVAF)患者中,ワルファリン(Wa)投与166例(79±8歳)および直接阻害型経口抗凝固薬(DOAC)投与196例(80±10 歳)の有害臨床イベント発症率を後ろ向きに検討した.【結果】WaおよびDOAC投与群の虚血性脳卒中または全身性塞栓症率は各々 3.41,1.75/100人年,大出血発症率は各々 3.70,1.09/100人年,全死亡発症率は各々 7.39,5.02/100人年であった.多変量解析にて,Wa群と比較してDOAC群の虚血性脳卒中/全身性塞栓症,大出血発症率は有意に低率(ともに P<0.05),全死亡発症率に有意差はなかった.【結論】実臨床下での腎機能障害合併NVAF患者において,DOAC投与群の有害臨床イベント発症は,Wa群のそれより低率ないし同等であった.

  • 青木 淳哉, 鈴木 健太郎, 金丸 拓也, 片野 雄大, 沓名 章仁, 西 佑治, 竹子 優歩, 中上 徹, 沼尾 紳一郎, 木村 龍太郎, ...
    論文ID: 10845
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:【背景と目的】動脈硬化性内頸動脈閉塞例では,閉塞部をガイドワイヤーで通過(lesion cross)することが求められる.頸動脈エコーは lesion cross 部位を描出できる可能性がある.【方法】2015年4月から2019年5月までの血栓回収療法例中,内頸動脈起始部の動脈硬化性閉塞例を対象とした.再開通療法後に,術前に施行した頸動脈エコー所見を再評価した.【結果】8例のデータを解析でき,6例で lesion cross 部位を頸動脈エコーで描出できていた.Lesion cross 部位は,周囲の高輝度から等輝度のプラークと区別でき,低輝度を呈する血管腔として捉えられた.Color Doppler 法では3例で血流が入り込む像を描出していた.5例の lesion cross 部位は,内頸動脈の前面に位置していた.【結論】頸動脈エコーは,動脈硬化性内頸動脈の急性閉塞部の同定に有用な可能性がある.

  • 髙原 正樹, 福田 健治, 神崎 貴充, 吉永 進太郎, 堀尾 欣伸, 岩朝 光利, 井上 亨
    論文ID: 10826
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/02/10
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:70歳男性.1年前に症候性左内頸動脈狭窄症に対して頸動脈内膜剝離術を施行されたが,再狭窄を認め,頸動脈ステント留置術を行う方針とした.クロピドグレル 75 mg内服中であり,バイアスピリン 100 mgを追加した.血小板凝集能検査でcollagenの凝集能抑制が不十分であり,術当日はバイアスピリンを 200 mgに増量しステントを留置した.5日目に右上肢の麻痺,失語が出現し,ステント内血栓を認め,stent-in-stenting を施行した.バイアスピリンをシロスタゾール 200 mgに変更し,アルガトロバン・ヘパリン投与を行ったが,再治療5日目に再度右上肢麻痺が出現した.ステント内血栓の再発を認め,プラスグレル 20 mgの内服を行った.10分後に血栓は消退傾向となり,2日後には血栓の消失を認めた.プラスグレル投与後の再発は認めていない.プラスグレルはステント内血栓の治療選択肢の一つになりうると考えられた.

  • 井中 康史, 森本 将史, 疋田 ちよ恵, 岩崎 充宏, 前田 昌宏, 山崎 英一, 福田 慎也, 長澤 潤平, 佐藤 浩明
    論文ID: 10851
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/02/10
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:【はじめに】脳梗塞急性期の治療で,rt-PA投与と血栓回収術は確立された治療だが,抗凝固薬内服中の患者に関しては十分な安全性が確立していない.今回,ダビガトラン内服中の急性期脳梗塞患者に対し,イダルシズマブ投与後にrt-PA投与と血栓回収術を行い,幸いにも良好な転帰を得た2例を経験したので報告する.【症例】(1)74歳男性.失語症状にて発症,左MCAの閉塞を認めた.Afでダビガトランを内服中.拮抗薬投与後にrt-PA静注,血栓回収術を施行した.術後CTで少量の出血性梗塞を認めたが増大なく経過.(2)89歳女性.左上下肢麻痺で発症.Afでダビガトラン内服中.左MCAの閉塞に対し拮抗薬投与した後,rt-PA静注,血栓回収術を行った.術後CTで出血なく経過した.【まとめ】ダビガトラン内服中患者の急性期脳梗塞に対して,拮抗薬投与後にrt-PA静注療法および血栓回収術を安全に施行することができた2例を報告した.

  • 望月 悠一, 杉浦 誠, 中谷 幸太郎, 丹羽 章浩, 金 吉秀, 中村 彰一, 川俣 貴一
    論文ID: 10831
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/01/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:【背景】熱海伊東医療圏では,mechanical thrombectomy(MT)症例の転送率が66.7%であったため,2018年9月から,FACE2ADが3点以上の症例はMT可能な施設へ直接搬送とする stroke bypass 型機械的血栓回収体制(AISB)が導入された.【対象および方法】(1)2015年6月~2020年4月の期間に救急搬送後血栓回収を行った,AISB導入前後の49例を比較した.(2)2018年9月~2020年4月の期間にAISB搬送された54例を解析した.【結果】(1)転送率は66.7%から27.3%(P=0.03)へ有意に低下していた.(2)FACE2AD が3点以上の症例におけるLVO陽性的中率は55%であり,MT 施設への搬送増加は平均1.28件/月であった.【結論】AISBはMT症例の転送率を有意に低下させ,搬送増加は許容範囲内と考えられた.

  • 竹下 康平, 髙尾 洋之, 坂井 健一郎, 井口 保之, 村山 雄一
    論文ID: 10849
    発行日: 2021年
    [早期公開] 公開日: 2021/01/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:【背景および目的】医療財政は逼迫しており,医療を維持するためには,医学的妥当性のほか,効率性,経済合理性も重要である.今回,日本全国の施設を反映した急性期脳梗塞患者の入院期間に関連する因子について,rt-PA投与患者を対象に探索的に検討を行った.【方法】厚生労働省から入手したNDBサンプリングデータセットを用い,rt-PA投与患者を平均入院期間以上の退院遅延群および未満の早期退院群に分け,入院期間に関連する因子について検討を行った.【結果】退院遅延群に関連する因子として,入院時 JCS 2 桁,経腸栄養の実施,感染症および下剤/浣腸剤の処方が確認された.入院後に介入可能性のある感染症では,有無により3.8日間の入院期間延長が推定された.【結論】急性期脳卒中の入院期間短縮における感染症対策の重要性が全国のデータで改めて明らかになった.患者の利益と医療費の適正配分の観点で,感染症予防対策の推進が必要である.

  • 小祝 萌, 市川 剛, 鈴木 恭一, 渡部 洋一, 長井 健一郎, 菊田 春彦, 大和田 尊之
    論文ID: 10818
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/12/28
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:【目的】Percutaneous coronary intervention(PCI)周術期合併症の一つとして脳血管障害があることは知られているが,発生は稀である.今回我々は,PCI中に発症した中大脳動脈閉塞に対して機械的血栓回収術を行った症例を経験したので報告する.【症例】72歳男性.急性心筋梗塞の診断で近医より当院循環器内科に転送され,緊急PCIとなったが,PCI中に意識障害,全失語,右不全麻痺が出現し当科紹介となった.PCIを完遂した後,脳血管撮影を施行し,左中大脳動脈閉塞を認めた.機械的血栓回収術を施行し,発症から52分で再開通が得られた.術後,意識障害と麻痺は改善したが,高度な失語が残存し,第29病日に回復期病院へ転院した.【結語】PCI関連の脳塞栓症は稀な合併症であるが,重篤な転帰をとる場合が多い.迅速な対応が必要であり,循環器科と脳卒中関連科の連携が重要である.

  • 三好 浩之, 渡邊 陽祐, 梶原 佳則, 武智 昭彦
    論文ID: 10841
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/12/28
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:血栓回収療法において,MCA 窓形成部閉塞は pitfall となりうる.MCA窓形成部閉塞例にADAPTで血栓回収を行い再開通した1例を経験した.症例は71歳男性,搬送時,左片麻痺,構音障害を認めた.MRIで右MCA領域にDWIでの高信号域を認め,MRAで右M1より末梢の描出不良を認めた.最終健常確認より370分で血栓回収を行った.M1に線状の造影欠損部を認め,窓形成部の閉塞と診断し ADAPTでの血栓回収を行った.One pass で TICI 3の再開通が得られ,術後左片麻痺は改善した.術後MRAでもM1に窓形成を認めた.抗血小板薬で治療を行い,術後12日目にmRS 1で退院した.M1に線状の造影欠損部を認めた場合には,窓形成を疑い,superior limb からの再開通を優先して進めるべきである.

  • 川本 有輝, 馬塲 庸平, 芝野 克彦, 福永 貴典, 梅垣 昌士, 佐々木 学, 土田 泰昭, 宮本 誠, 松本 勝美
    論文ID: 10819
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は89歳女性.突然の意識障害を発症し,救急搬送された.MRIで急性脳底動脈閉塞を認め,intravenous tissue plasminogen activator を施行するも,再開通が得られなかった.引き続きステントリトリーバーと吸引カテーテルを併用した機械的血栓回収術を施行し,発症から2時間52分後に再開通を得た.回収された塞栓子は白色で,病理診断では心臓粘液腫様の組織を認めた.当初,心エコー・心臓MRIを施行するも,心房内に腫瘍は同定できなかったが,1カ月後の心エコーで左室内に腫瘍が判明し,同日緊急開心術により腫瘍を摘出,心臓粘液腫と確定診断した.塞栓子の病理診断により,先に粘液腫が診断されたにもかかわらず同時期に心臓粘液腫を見つけることができないことがあり,心エコーを密にフォローすることが再発予防には重要である.

  • 田中 陽平, 高野 弘基, 滑川 将気, 鈴木 倫明, 源甲斐 信行, 阿部 博史
    論文ID: 10825
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は47歳女性,廊下で倒れているところを発見され当院に救急搬送された.診察上左共同偏視,全失語,右重度片麻痺,右半側空間無視を認めた.頭部MRIは左中大脳動脈M1近位閉塞を認めた.経皮的血栓回収療法を行い完全再開通を得た.術後,3D-CTAで左内頸動脈起始部に突出する構造物を認め,carotid webと診断し,他に塞栓源を認めなかったため,この病変が塞栓源であると考えた.Carotid webに対し頸動脈ステント留置術(CAS)を行い,術後経過は良好である.Carotid webは頸部内頸動脈起始部後壁にできる棚状構造物で,脳梗塞の塞栓源の一つと考えられている.内科的治療単独では高率に脳梗塞を再発するといわれており,外科治療が考慮される.本例のように,carotid webに対するCASは安全に施行可能であり,有用な再発予防の選択肢の一つと考える.

  • 蒲生 直希, 外山 祐一郎, 松本 倫明, 本間 敏美, 舩越 匠, 種本 真将, 松下 隆司
    論文ID: 10839
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は34歳女性.子宮内膜症に対してノルエチステロン・エチニルエストラジオール配合錠を内服していた.起立直後に回転性めまいと嘔吐が出現し,当院へ救急搬送された.神経学的には左方視時の注視方向性眼振のみを認めた.頭部MRIでは左側頭葉,左小脳半球に散在する急性期脳梗塞を認め,頭頸部MRAでは主幹動脈に明らかな狭窄や閉塞は認めなかった.当科に入院し原因を検索したところ,経胸壁心エコーで肺高血圧症を疑う所見を,コントラスト経食道心エコーで卵円孔開存を介した右左シャントを認めた.深部静脈血栓は検出されなかった.当院循環器内科での精査により肺動脈性肺高血圧症と診断された.卵円孔開存症と肺動脈性肺高血圧症の合併により奇異性脳塞栓症を引き起こしたと考えられ,脳梗塞再発予防としてリバーロキサバンを開始した.卵円孔開存症を伴う奇異性脳塞栓症では,右左シャントの要因として肺高血圧症の合併も考慮する必要がある.

  • 阿部 泰明, 小松原 弘一郎, 板倉 太郎, 土井 宏, 新田 勇介, 藤塚 光幸, 山田 晋也
    論文ID: 10827
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:87歳男性.突然の意識障害,左片麻痺を主訴に搬送された.MRIで右視床および右後頭葉に多発する急性期脳梗塞像を認めた.心房細動を認めたが,胸部症状は認めなかった.Tissue plasminogen activator(t-PA)静脈内投与後に,脳血管撮影で右中大脳動脈閉塞の所見を認めた.ガイディングカテーテル誘導中に徐脈およびST上昇を認め,心筋下壁梗塞を疑った.循環器内科医の協力のもとで,右中大脳動脈閉塞に対し血栓回収術施行後に percutaneous coronary intervention(PCI)を施行した.周術期に心不全を合併し,第8病日に死亡退院となった.脳卒中患者の心疾患合併はしばしば認められる病態であり,脳卒中診療において循環器内科医チームとの連携と急性冠動脈閉塞の併発への注意が必要である.

  • 鈴木 祐, 秋山 久尚, 星野 俊, 鹿島 悟, 原 大祐, 土橋 瑶子, 伊佐早 健司, 櫻井 謙三, 眞木 二葉, 長谷川 泰弘, 山野 ...
    論文ID: 10834
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:【目的】院内発症脳梗塞の診断・治療開始の遅延因子を明らかにする.【対象と方法】院内発症脳梗塞89例(平均年齢 73.6±9.0歳)を,最終未発症から専門医の診療開始までが3時間未満の早期群とそれ以降の遅延群に分け,遅延群に関連する因子を多変量解析により検討した.【結果】早期群は37例で,その62.2%はiv-tPA禁忌に該当した.早期群は心房細動を有する者が多く(17例, 45.9%),第一発見者の78.4%が看護師であった.遅延群では画像撮影までの時間が長かったが,早期群においても平均53.6±31.2分を要した.多変量解析の結果,第一発見者が医師である場合は有意な遅延因子(OR=8.572)で,心房細動の存在は有意な遅延回避因子(OR=0.140)であった.【結論】遅延因子として,発見場所,第一発見者の職種,依頼科医師の対応の3点が重要と思われ,これらに注目した院内トリアージの構築,医療従事者への啓発・教育が重要と考えられた.

  • 横山 貴裕, 濵砂 亮一
    論文ID: 10806
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/11/10
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は77歳女性.めまいを主訴に近医に搬送され,両側小脳半球の脳梗塞と診断された.翌日に意識障害が進行,小脳梗塞による閉塞性水頭症を認めたため,当院で緊急に脳室ドレナージおよび後頭蓋減圧術を行い,意識障害は改善した.MRAでは,頭蓋外の右椎骨動脈から分岐した後下小脳動脈が正中を頭側へ走行した後に両側の小脳半球へ分岐していた.本症例は未治療の心房細動を有していることから,両側支配の後下小脳動脈(bihemispheric PICA)を責任血管とする心原性脳塞栓症と診断した.両側支配の後下小脳動脈は稀な血管形態であり,何らかの閉塞機転が生じれば,両側小脳半球の広範な脳梗塞を発症し,緊急の外科治療を要するリスクがある.

  • 赤塚 和寛, 服部 直樹, 富田 稔, 池田 昇平, 森 悠
    論文ID: 10815
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/11/10
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は62歳女性.突然発症の下肢優位の右片麻痺と意識障害を主訴に当院へ救急搬送された.頭痛の訴えはなかった.頭部MRI画像では両側前大脳動脈領域に脳梗塞を認めた.MR angiography(MRA)にて,前大脳動脈に dilation and stenosis を認めたため,前大脳動脈解離を疑った.脳血管撮影検査や3次元CTアンギオグラフィー検査により,前大脳動脈の A2 segment から1本の共通幹となり,A2 segment に pearl and string sign を認めたことから,奇前大脳動脈解離と診断した.脳梗塞治療中にクモ膜下出血と出血性梗塞を併発した.両側前大脳動脈領域の脳梗塞では,非常に稀ではあるが奇前大脳動脈解離を考慮する必要がある.

  • 高橋 祐一, 越阪部 学, 東田 哲博, 内田 貴範, 金澤 隆三郎
    論文ID: 10810
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/10/19
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:脳卒中診療において脳虚血症状で発症した急性大動脈解離を鑑別することは,単に致死的疾患である大動脈解離を正しく診断することだけでなく,不適切なrt-PA静注療法を避けるといった点で非常に重要である.脳虚血症状を伴う急性大動脈解離は,頻度は低いが,意識障害や失語症といった神経症状を伴い,脳卒中疑いで搬送される可能性がある.大動脈解離は解離部位に応じて非特異的で多彩な症状を呈しうる.胸背部痛の訴えがなく脳虚血症状で発症した急性大動脈解離を見逃さないために,血圧低値や左右差,胸部X線の縦郭拡大,Dダイマー高値といった急性大動脈解離の臨床像を理解しておく必要がある.補助的画像検査の中で,頸部MRAは,脳梗塞の病態評価に有用である一方で,大動脈解離の補助的検査にもなり得る検査である.胸痛を伴わずに脳虚血症状で発症し,最終的に急性大動脈解離の診断に至った2例を文献的考察を交えて報告する.

  • 伊藤 清佳, 深尾 繁治, 野々山 裕, 藤田 智昭, 辻 篤司, 野崎 和彦, 木戸岡 実
    論文ID: 10814
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/10/19
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:【背景および目的】くも膜下出血(SAH)急性期の病態はカテコラミン血中濃度(CA)の推移と関連があり,CAと血糖値(Glu)を血清K値(K)で除した値である stress index(SI)は相関する.本研究はSIとSAH重症度や転帰との関連を解析することを目的とした.【方法】4年間に2施設で治療したSAHを対象とし,重症度と転帰別に各々2群に分け,搬入時の生化学因子(K,Glu)を診療録より収集し,各群間,およびGrade(G)Vでの生化学因子の解析を行った.【結果】対象症例122例について,重症群(66例),転帰不良群(62例)は,それぞれ軽症群(56例),転帰良好群(60例)に比べ,GluとSIが有意に高値だった(いずれもp<0.01).GVではSI 56.00以下で転帰良好例を抽出することが可能だった.【結論】SIがSAH急性期における簡便な予後予測因子となる可能性が示唆された.

  • 佐野 博康, 赤嶺 壮一
    論文ID: 10811
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/10/10
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:73歳男性.1年ほど前に人間ドックで不整脈を指摘され,心房細動の診断でアピキサバン 10 mg/日を開始し,以後規則正しく内服していた.受診2日前に物の名称がうまく出てこず,症状は改善傾向であったが当科を受診.神経学的に異常を認めず,頭部MRIで多発する新規梗塞を認めた.採血では凝固・線溶系の異常高値があり,胸部CTにて腫瘤性病変を認め当院入院となった.入院時よりアピキサバンを未分画ヘパリンに変更し,自宅退院に向け皮下注へと変更した.生検の結果,肺腺癌と診断された.その後,外来通院となっているが脳梗塞の再発なく,凝固・線溶系マーカーも低値にて経過している.今回,アピキサバン内服下での脳梗塞を発症したTrousseau症候群が,ヘパリンの皮下注で良好にコントロールできている1例を経験したため報告する.

  • 赤塚 和寛, 服部 直樹, 伊藤 瑞規, 冨田 稔, 森 悠
    論文ID: 10809
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/09/18
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は44歳男性.言葉がうまく出てこないことを主訴に救急外来を受診した.頭部MRIでは左中大脳動脈領域に塞栓性脳梗塞所見を認めた.経胸壁心臓超音波検査で左心室心尖部に血栓所見を認めた.左心室収縮能は概ね正常であった.抗凝固療法開始後,血栓は縮小を認め,最終的に消失した.血液凝固線溶系異常を精査したところ,プロテインC抗原量43%,プロテインC活性39%と低下していた.遺伝子検索はされなかったが,年齢や稀な部位に血栓形成を認めたことから,先天性プロテインC欠損症と考えられた.先天性プロテインC欠損症は非常に稀ではあるが,心腔内血栓,塞栓性脳梗塞の原因となりうることを考慮する必要がある.

  • 辻 優一郎, 三木 貴徳, 垣田 寛人, 佐藤 公俊, 吉田 享司, 清水 史記
    論文ID: 10812
    発行日: 2020年
    [早期公開] 公開日: 2020/09/18
    ジャーナル フリー 早期公開

    要旨:症例は55歳女性で,小脳出血による意識障害で救急搬送となり,入院時の経胸壁心臓超音波にて,左室駆出率の低下および左室心尖部の収縮低下と心基部の過収縮を認めた.同日,開頭血腫除去術を施行した.第14病日には壁運動低下は消失しており,臨床経過および特徴的な経胸壁心臓超音波所見から,たこつぼ型心筋障害と診断した.脳内出血にたこつぼ心筋障害を合併した症例の報告は過去12例であり,小脳出血での合併例は本例が6例目である.

feedback
Top