脳卒中
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総説
  • 本田 和也, 森塚 倫也, 伊藤 健大, 松尾 彩香, 日宇 健, 川原 一郎, 小野 智憲, 原口 渉, 牛島 隆二郎, 堤 圭介
    原稿種別: 総説
    2021 年 43 巻 2 号 p. 101-108
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/25
    [早期公開] 公開日: 2020/08/31
    ジャーナル フリー

    要旨:日本における脳卒中診療は,患者数増加・高齢化等,多様な問題に直面しており,専門医不足に伴う過重労働や燃え尽き症候群が危惧されている.医師以外の人的資源を有効活用した診療システムが必要であり,高度実践看護の能力を持つ nurse practitioner(NP)はこの診療分野に貢献し得る.NPは医師の指導・協働下に,専門性の高い特定行為や医師業務の代行が可能であり,脳卒中チーム内の多職種ならびに患者・家族間をコーディネートする中核的存在としても活躍している.米国ではすでに半世紀前より,医師の過重労働を予防・緩和する解決策のひとつとして,NP制度が多方面の医療現場で積極的に導入されてきた.NPの能力・技量や果たし得る業務の可能性は,未だ医師の間で十分に認識されている状況ではない.日本版NPは,今後の本邦脳卒中診療システムを改革する医療職として期待される存在である.

原著
  • 西谷 和敏, 平光 宏行, 三浦 啓介, 岡田 義文, 林 祥史, 吉田 浩貴
    原稿種別: 原著
    2021 年 43 巻 2 号 p. 109-116
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/25
    [早期公開] 公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

    要旨:【背景と目的】後下小脳動脈に限局した動脈解離(isolated dissection of the posterior inferior cerebellar artery: IDPICA)は稀である.その臨床的特徴や転帰について報告する.【対象と方法】過去7年間における IDPICA の5症例の臨床像,画像所見,治療法と転帰について後方視的に検討した.【結果】全例男性で平均年齢50.8歳,発症はくも膜下出血(SAH)3例,小脳梗塞2例であった.全例に MRA が行われ,SAH 例では解離部は短く不整形の動脈瘤様拡張所見で,梗塞例では解離部は比較的長く pearl and string 様の所見であった.手術は3例に行われ,退院時は全5例中3例が m-RS 0–1,2例が m-RS 4 であった.【結語】IDPICA の診断・スクリーニング検査に MRA は有用であった.早期に IDPICA と診断し治療を行えば,転帰は比較的良好と考えられた.

  • 濵田 祐樹, 植田 敏浩, 大坪 治喜, 辰野 健太郎, 深野 崇之, 徳山 承明, 吉江 智秀, 髙石 智, 臼杵 乃理子, 高田 達郎, ...
    2021 年 43 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/25
    [早期公開] 公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

    要旨:【背景および目的】機械的血栓回収療法後に再開通が得られても急性脳腫脹を生じる例をしばしば経験するが,その中には比較的良好な転帰を示す例も存在する.そこで急性脳腫脹の関連因子および転帰への影響について後ろ向きに検討した.【方法】2013~2019 年に本治療を施行した ICA,M1 閉塞で,mTICI 2b 以上の再開通を得た101例を対象とし,急性脳腫脹を認めた群(急性脳腫脹群:S群)と認めなかった群(非脳腫脹群:N群)で比較検討した.【結果】急性脳腫脹は18例(17.8%)で認められた.S群はN群に比して入院時 NIHSS が高く,DWI-ASPECTS が低値であったが,3カ月後転帰良好の割合に有意差はなかった(27.8% vs 45.8%).S群では11例(61.1%)が開頭減圧術を受け,同群のうち5例が転帰良好(mRS≤2)であった.多変量解析では,DWI-ASPECTS 値が急性脳腫脹の出現と関連していた(オッズ比0.55,95%信頼区間0.39–0.72).【結論】急性脳腫脹を生じても,若年で ASPECT 高値例に開頭外減圧術を行えば良好な転帰が得られる可能性がある.

  • 山本 寛二, 田澤 浩一, 近藤 恭史, 草野 義和
    2021 年 43 巻 2 号 p. 124-131
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/25
    [早期公開] 公開日: 2020/10/10
    ジャーナル フリー

    要旨:【背景および目的】脳梗塞はしばしば再発し,日常生活活動の低下を招く.再発患者の初発梗塞の診断・治療を見直して再発原因を推定し,二次予防の課題を明確にする.【方法】過去6年間に当院に入院した急性期脳梗塞患者で,以前に脳梗塞入院歴のある患者を抽出し,初発梗塞時の病型診断(初期診断)とその後の抗血栓療法の妥当性を検討し,また再発原因を推定した.【結果】再発172件,実患者数154人について解析した.初期診断と再評価による病型診断(後診断)の不一致は27人(17.5%)であり,初発と再発で選択すべき抗血栓薬が異なる病型の患者は,初期診断で16人,後診断では9人だった.再発原因は,抗血栓薬怠薬,理由不明の抗血栓薬不使用・中断,ワルファリン効果不十分,初期診断の誤りで抗血栓薬選択が不適切だったものなどが合計18%を占めた.【結論】脳梗塞患者の診療では注意深い病型診断や患者指導の徹底を意識すべきである.

症例報告
  • 橋本 黎, 大塚 喜久, 米田 行宏, 塩見 悠真, 関谷 博顕, 森本 貴昭, 山田 圭介, 影山 恭史
    2021 年 43 巻 2 号 p. 132-136
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/25
    [早期公開] 公開日: 2020/05/20
    ジャーナル フリー

    要旨:69歳男性.入院10日前に難治性吃逆を発症し,その後,排尿障害と歩行障害が出現した.MRIで最後野を含む延髄病変を認め,異常なflow voidや血管は明らかでなく,視神経脊髄炎スペクトラム障害が疑われた.しかし,3D-CT angiography(CTA)で右椎骨動脈の硬膜貫通部近傍に異常血管を認め,さらに4D-CTAで経時的に異常血行を確認し,頭蓋頸椎移行部硬膜動静脈瘻(CCJDAVF)と診断した.流出路遮断術を行い病変は縮小した.脊髄硬膜動静脈瘻ではステロイドにより病状が悪化する場合があり,MRIで異常血管を認めない場合でもCTAで精査することが重要である.とくに4D-CTAは継時的に血行動態を評価できることからCCJDAVFの診断に有用である.

  • 古川 佑哉, 菊田 春彦, 飯島 綾子, 市川 剛, 鈴木 恭一, 渡部 洋一
    2021 年 43 巻 2 号 p. 137-141
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/25
    [早期公開] 公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー

    要旨:【目的】Right-sided aortic arch(RSAA)は成人の0.1%程度の割合で見られる稀な大動脈弓部の破格である.今回 RSAA を有する内頸動脈瘤に対しコイル塞栓術を施行した症例を経験したので,その発生解剖学的特徴と治療戦略について考察する.【症例】92歳女性.頭痛と両下肢脱力にて発症した.頭部 CT にてくも膜下出血を認めた.3D-computed tomography angiography(3DCTA)にて右内頸動脈後交通動脈分岐部に径 8 mm の動脈瘤を認めた.大動脈弓の 3DCTA にて本破格を有していることを確認し,コイル塞栓術を施行した.【結論】本破格では,ガイディングカテーテルの誘導に難渋することが予想される.また,心奇形や大動脈疾患をしばしば合併し,Kommerell’s diverticulum が認められる場合は,破裂に注意する必要がある.稀な破格ではあるが,術前に十分な治療戦略を練れるように,その解剖学的特徴について熟知しておく必要がある.

  • 瀬川 将史, 小野 秀明, 青野 峻也, 三谷 知広, 庄島 正明, 谷島 健生, 田村 晃, 齋藤 勇
    2021 年 43 巻 2 号 p. 142-147
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/25
    [早期公開] 公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー

    要旨:【緒言】硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula: dAVF)は硬膜内での異常な動静脈シャントであり,稀な疾患である.蝶形骨縁髄膜腫術後に対側海綿静脈洞部に発生した症候性のdAVFを経験したので文献的考察を加えて報告する.【症例】69歳,女性.ふらつき精査にて見つかった左蝶形骨縁髄膜腫が経過の中で増大傾向を認め,開頭腫瘍摘出術を施行した.周術期合併症なく経過したが,術半年後より右拍動性耳鳴を自覚,さらに半年後に複視が出現し,精査のDSAで海綿静脈洞部dAVFと診断した.経静脈的に塞栓術を施行し,シャントの完全閉塞が得られた.術後1年の段階で症状の再発なく,髄膜腫,dAVF共に再発なく良好に経過している.【結論・考察】髄膜腫摘出後に遠隔にdAVFが生じた症例を経験し,硬膜面動静脈血流や頭蓋内血行動態の変化など複合的な発生機序を考えた.文献的考察を加えて報告する.

  • 西脇 崇裕貴, 野中 裕康, 竹中 勝信
    2021 年 43 巻 2 号 p. 148-152
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/25
    [早期公開] 公開日: 2020/08/18
    ジャーナル フリー

    要旨:【目的】横・S 状静脈洞部硬膜動静脈瘻の血行動態の変化や臨床像への影響について,異なる経過をたどった2症例をもとに考察する.【症例 1】62歳男性.4カ月ほど前からのめまいの悪化と歩行障害のため受診.皮質静脈逆流および静脈うっ滞を伴う左横・S 状静脈洞部硬膜動静脈瘻と診断し入院となった.入院3日目に視野障害とともに皮質下出血を認めたため,翌日経静脈的塞栓術を施行した.【症例 2】71 歳女性.右同名半盲に対する精査で入院となり,皮質静脈逆流を伴う左横静脈洞部硬膜動静脈瘻と診断した.直接穿刺による sinus packing の準備を進めていたが,入院7日目に症状改善があり自然閉塞が確認された.【結論】Aggressive type 横・S 状静脈洞部硬膜動静脈瘻では,急激に症状の進行を示すこともあれば,自然治癒を認めることもある.

  • 平山 拓朗, 立石 洋平, 金本 正, 山下 魁理, 辻野 修平, 福嶋 かほり, 島 智秋, 太田 理絵, 長岡 篤志, 吉村 俊祐, 宮 ...
    2021 年 43 巻 2 号 p. 153-157
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/25
    [早期公開] 公開日: 2020/08/31
    ジャーナル フリー

    要旨:症例は79歳男性.8カ月前に C1-C2 後方固定術が施行された.突然の構音障害で発症し,昏睡となり,当院へ搬送された.頭部MRIで後方循環系の多発脳梗塞を認めたが,アルテプラーゼ静注療法後に症状は改善した.CT angiography で右椎骨動脈がV3レベルでスクリューと接していた.アスピリンとクロピドグレルによる抗血小板薬2剤併用療法を行っていたが,第24病日に脳底動脈閉塞で再発し,脳血栓回収術が施行された.術後はヘパリンとシロスタゾールに切り替えたが,無症候性に右椎骨動脈は閉塞し,その後自然再開通した.第52病日に再発予防のため右椎骨動脈における母血管閉塞術が行われた.頸椎手術による椎骨動脈損傷が原因の合併症は術後早期に起こることが多い.しかし,術後遠隔期でも,椎骨動脈とスクリューとの接触が原因で脳梗塞が起こることを考慮する必要がある.また,母血管閉塞術が再発予防に有効である可能性がある.

  • 大塚 寛朗, 日宇 健, 川原 一郎, 岩永 洋, 近松 元気, 松尾 彩香, 小野 智憲, 原口 渉, 牛島 隆二郎, 堤 圭介
    2021 年 43 巻 2 号 p. 158-166
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/25
    [早期公開] 公開日: 2020/08/31
    ジャーナル フリー

    要旨:頭蓋内主幹動脈閉塞に頸部内頸動脈狭窄もしくは閉塞を伴う tandem lesions を有する急性期脳梗塞に対し,早期再灌流最優先の方針で加療した rt-PA 非投与の自験5例をもとに,その治療戦略について検討した.頸動脈狭窄が高度で血栓回収とCASを一期的に併用した3症例については,血栓吸引カテーテルが近位部病変を通過困難な1例ではCASを先行し,通過可能な2例では血栓回収先行後,CASを追加した.全例で良好な再開通が得られたが,1例でステント内血栓症を合併した.ステント留置による過凝固傾向を惹起した可能性があった.頸動脈中等度狭窄で術中狭窄の進行がない2例では,CEAによる二期的血行再建術を選択したが,web状狭窄を伴った1例に脳梗塞の再発が生じた.中等度狭窄であっても可及的早期の CAS/CEA を検討すべきである.

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