脳卒中
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原著
  • 出口 一郎, 長田 高志, 斎藤 尚子, 木村 浩晃, 神山 信也, 髙尾 昌樹
    2020 年 42 巻 3 号 p. 141-147
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/25
    [早期公開] 公開日: 2019/10/16
    ジャーナル フリー

    要旨:【目的】拡散強調MRI で広範な高信号を呈する症例での血栓回収療法の効果は確立されていない.DWI-ASPECTS 低値例に対する血栓回収療法の成績について検討した.【対象】血栓回収療法が行われた術前DWI-ASPECTS 5 点以下の21 例を対象とした.【結果】DWI-ASPECTS は,2 点2 例,3 点7 例,4 点5 例,5 点7 例,閉塞部位は内頸動脈14 例,中大脳動脈7 例であった.退院時mRSは,0 が2 例,1,2,3,4 がそれぞれ1 例,5 が11 例,6 が4 例であった.転帰別の比較では,良好群(mRS 0–2)でM5 領域の高信号率(25% vs. 94.1%,P=0.012)および内頸動脈閉塞率が低かった(0% vs. 82%,P=0.006).【結論】DWI-ASPECTS 5 点以下の多くは転帰不良であった.DWI-ASPECTS低値症例に対して血栓回収療法を行うには,治療適応となる指標を見出す必要がある.

  • 森 健次郎, 山田 麻和, 笹原 順哉, 中尾 洋子, 中野 治郎
    2020 年 42 巻 3 号 p. 148-155
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/25
    [早期公開] 公開日: 2019/10/16
    ジャーナル フリー

    要旨:脳卒中患者における麻痺側肩関節疼痛(以下,PHS)の発生要因,ならびに運動機能回復とPHS の経過との関連性について後方視的に調査した.対象は2016 年2 月~2017 年8 月の期間中に回復期病棟にてリハビリテーションを実施した脳卒中患者とした.回復期病棟入棟時および退棟時に評価を行い,PHS の有無,肩関節亜脱臼(以下,亜脱臼)の有無,麻痺側,上肢および手指の麻痺の程度,座位および歩行能力,ADL 能力を記録した.結果,ロジスティック回帰分析では,PHS の有無に対する関連因子として上肢の麻痺の程度のみが抽出された.また,入棟期間中にPHS が改善した患者に比べ,残存した患者の麻痺は重度であり,PHS の推移に運動機能は関連していなかった.今回の結果から,麻痺が重度の脳卒中患者においては亜脱臼の有無にかかわらずPHS が発生する可能性があり,また,麻痺が回復したとしてもPHS は残存しやすいと思われた.

  • 芝崎 謙作, 涌谷 陽介, 髙尾 芳樹
    2020 年 42 巻 3 号 p. 156-161
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/25
    [早期公開] 公開日: 2019/11/06
    ジャーナル フリー

    要旨:【背景と目的】急性期脳梗塞患者における低骨格筋量の頻度と関連因子を検討した.【方法】対象は,2017 年4 月~2018 年12 月に入院した発症48 時間以内の脳梗塞患者122 例で,生体電気インピーダンス法を用いて骨格筋量を評価した.低骨格筋量は,四肢骨格筋指数が男性7.0 kg/m2 未満,女性5.7 kg/m2 未満と定義した.【結果】低骨格筋量は82 例(67%)に認めた.多変量解析の結果,年齢>77 歳(オッズ比3.8,95%信頼区間1.271–11.081,p=0.017),脳卒中の既往(3.7,1.080–12.686,0.037),BMI <23.5 kg/m2(11.6,4.023–33.186,<0.001)が低骨格筋量の独立した関連因子であった.【結論】急性期脳梗塞患者の約70%が低骨格筋量を有し,高齢,脳卒中の既往,BMI <23.5 kg/m2 が関連因子である.

症例報告
  • 大村 一史, 竹中 俊介, 酒井 秀樹
    2020 年 42 巻 3 号 p. 162-165
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/25
    [早期公開] 公開日: 2019/10/16
    ジャーナル フリー

    要旨:我々はラムシルマブによる化学療法中にくも膜下出血(subaracnoid hemorrhage: SAH)を発症した症例を経験した.64 歳男性.嘔吐と意識障害のため搬送され,精査により脳動脈瘤破裂によるSAH と診断した.大腸がんに対してラムシルマブによる化学療法中であり,創傷治癒遅延や出血のリスクを考慮し,破裂脳動脈瘤に対して,直達手術ではなく血管内治療を選択した.しかし,術後に意識障害や右半身麻痺,失語を認めたためMRI を施行すると,多発性脳梗塞を認めた.神経症状は徐々に消失し,後遺症なく退院となった.抗VEGF(vascular endothelial growth factor)薬による化学療法中に発症したSAH の治療の際は,その副作用を念頭に置き,慎重な治療法選択と十分な合併症対策が必要である.

  • 植村 順一, 大山 直紀, 合田 敏章, 岩本 高典, 八木田 佳樹
    2020 年 42 巻 3 号 p. 166-170
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/25
    [早期公開] 公開日: 2019/10/16
    ジャーナル フリー

    要旨:73 歳男性,右前頭葉脳梗塞.右内頸動脈高位病変のため,CEUS では責任血管が確定できず,VISTA T1 高信号のプラークがあり,RCS と診断した.82 歳男性,TIA.左内頸動脈狭窄にCEUS で造影される潰瘍ありのプラークがあり,RCS と診断した.2 年後,左頭頂葉脳梗塞を再発した.VISTA で左内頸動脈狭窄部プラークは不安定と診断し,抗血小板薬を変更した.その後は再発なし.症候性RCS には,MRI VISTA とCEUS によるプラーク評価が診断に重要である.

  • 福尾 祐介, 川端 信司, 朴 陽太, 辻 優一郎, 二村 元, 矢木 亮吉, 藤城 高広, 黒岩 敏彦
    2020 年 42 巻 3 号 p. 171-175
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/25
    [早期公開] 公開日: 2019/10/16
    ジャーナル フリー

    要旨:血液凝固異常症の一つである先天性フィブリノゲン欠損症は非常に稀である.今回,先天性フィブリノゲン欠損症患者に合併した脳内出血の1 例を経験した.症例は46 歳男性.2 日前からの頭痛と全身しびれ感を主訴に近医へ救急搬送となり,右脳皮質下出血の診断にて当院転院となった.搬送後に意識レベル低下,瞳孔不同および左上下肢麻痺(MMT 2/5)が出現し,頭部CT 検査で血腫増大を認めたため手術適応と判断した.先天性フィブリノゲン欠損症の既往があり,術前検査で止血凝固異常を認めたため,術前より新鮮凍結血漿(fresh frozen plasma: FFP)を投与し,開頭血腫除去術を施行した,周術期はフィブリノゲン製剤を定期投与した.先天性フィブリノゲン欠損症に対してFFP やフィブリノゲン製剤を適切に投与することで再出血は認めず,良好な経過をたどった症例であった.

  • 片岡 優子, 田中 寛大, 園田 和隆, 山上 宏, 古賀 政利
    2020 年 42 巻 3 号 p. 176-180
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/25
    [早期公開] 公開日: 2019/11/06
    ジャーナル フリー

    要旨:リバーロキサバン15 mg/日を内服中の68 歳男性.入院2 日前から尿閉になり,クレアチニン1.25 mg/dl へと腎機能が低下していたがリバーロキサバンが継続された.当院搬送時,発熱,意識障害,左片麻痺があり,CT で脳室穿破を伴う右視床出血を認めた.クレアチニン2.88 mg/dl,推算クレアチニンクリアランス27.9 ml/min であった.CT で右尿管結石と右水腎症があり,左腎は萎縮していた.膿尿もあった.抗菌薬治療で解熱し,結石は自然排石した.クレアチニンは0.94 mg/dlまで改善した.入院16 日目にエドキサバン60 mg/日を開始し,再発なく経過した.本例では腎機能低下でリバーロキサバン血中濃度が上昇し,脳出血に至ったと考えられる.直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)内服中に腎機能低下を疑う症候があれば腎機能を頻回に評価し,必要に応じたDOAC の減量や休薬等が非常に重要である.

  • 三神 和幸, 上野 泰, 黒山 貴弘, 堀 晋也, 安田 貴哉, 坂東 鋭明, 下 大輔
    2020 年 42 巻 3 号 p. 181-185
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/25
    [早期公開] 公開日: 2019/11/06
    ジャーナル フリー

    要旨:Angio-Seal®(St. Jude Medical, St. Paul, MN)は,血管内治療後の大腿動脈穿刺部止血の際に用いる血管閉鎖装置である.使用方法が比較的簡便であり,止血時間や安静時間を短縮して早期の歩行開始を可能にする.一方,出血性合併症を来し,稀に下肢虚血を生じる.今回我々は,頸動脈ステント留置術後にAngio-Seal® を使用して止血を試みた後,下肢動脈閉塞を来した症例を経験した.大腿動脈の最小径は4.65 mm であり,適応に即した使用であったが,5 mm の軽度狭窄を再現したチューブモデルを作り検証作業を行ったところ,アンカーの一方が狭窄部に容易に引っかかり,コラーゲンスポンジが血管内に留置された.血管壁の状態によっては,大腿動脈の直径が約5 mm 程度であっても同様の状況が発生する可能性を考慮する必要がある.そして急性下肢虚血が疑われる場合は,迅速な診断と治療を考慮すべきである.

  • 野呂 昇平, 石橋 秀昭, 広島 覚, 鎌田 恭輔
    2020 年 42 巻 3 号 p. 186-189
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/25
    [早期公開] 公開日: 2019/11/06
    ジャーナル フリー

    要旨:顔面を首座とする視床痛は難治性で,内科的・外科的に有効な治療法の報告は極めて少ない.右視床に小梗塞を来した4 カ月後から左顔面(V1–3 領域,特にV2)に激しい灼熱痛を自覚し,内科的治療に反応がない症例で,患者の強い希望のため外科的治療を行った.まず三叉神経脊髄路核への刺激を狙って上位頸椎の脊椎硬膜外腔に電極を挿入し,試験刺激で下顎から頸部にかけてのパレステジアのみを認め,効果不十分であった.次いで視床破壊術を行う方針となったが,梗塞巣近傍を標的とした電気刺激では,somatotopy に応じた顔面の刺激反応を認めなかった.そこで神経回路再構築を目的として小梗塞巣に標的を変更し凝固術を施行したところ,術後症状は劇的に改善し,2 年半以上除痛効果を認めている.

  • 山田 大輔, 石橋 良太, 紀之定 昌則, 黒﨑 義隆, 半田 明, 沈 正樹, 山形 専
    2020 年 42 巻 3 号 p. 190-195
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/25
    [早期公開] 公開日: 2019/11/06
    ジャーナル フリー

    要旨:症例は68 歳男性.急性期脳梗塞で発症し,入院時精査でinternal carotid artery(ICA)終末部に狭窄や閉塞がなく,一側のmiddle cerebral artery(MCA)のM1 部にのみ閉塞を認め,網状側副血行路を有する点からaplastic or twig-like MCA(Ap/T-MCA)と診断した.MCA 領域で脳循環予備能低下を認めバイパス術を予定したが,手術待機中に右視床出血を発症した.初回入院時の脳血管撮影で側副血行路内に微小動脈瘤を認め,微小動脈瘤破裂もしくは側副血行路の破綻が原因と考えられた.また,脳梗塞後に導入した抗血小板剤も影響を及ぼしたと考えられた.本症例では,再出血予防には血行力学的脳虚血の改善が必要と考え,バイパス術を施行した.術後フォローアップでは微小動脈瘤は描出されず,側副血行路の著減を認め,以後26 カ月間脳血管障害の出現なく良好に経過した.

  • 中野 瑞生, 荒木 芳生, 金森 史哲, 宇田 憲司, 横山 欣也, 西堀 正洋, 泉 孝嗣, 吉本 真之
    2020 年 42 巻 3 号 p. 196-202
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/25
    [早期公開] 公開日: 2019/11/06
    ジャーナル フリー

    要旨:血液凝固第XIII 因子(F XIII)濃縮製剤使用後にGalen 静脈血栓症が疑われた1 例を報告する.76 歳女性で,意識障害により救急搬送された.前交通動脈破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血と診断し,basal interhemispheric approach によるクリッピング術を施行した.術後4 日目に髄液鼻漏が生じ,F XIII 活性の低下を認めたためF XIII 濃縮製剤を使用した.その後髄液鼻漏は消失し,意識障害も徐々に改善傾向となるも,再度意識障害の悪化を認めた.脳血管撮影検査でGalen 静脈に狭窄所見を認め,脳静脈血栓症による意識障害と診断し,低分子ヘパリンの持続点滴後,エドキサバンの内服を継続した.出血性合併症を認めず,Galen 静脈狭窄の改善と意識障害の改善を認めた.脳静脈血栓症発症とF XIII 濃縮製剤使用の関連性が疑われ,さらに低分子ヘパリンとエドキサバンが有用である可能性が示唆された.

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