脳卒中
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原著
  • 金子 陽一, 稲石 佳子, 中司 貴大, 舟越 光彦, 岩元 太郎, 田村 俊一郎, 江島 紀代子, 江島 泰志
    2022 年 44 巻 3 号 p. 243-251
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/25
    [早期公開] 公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    【背景および目的】近年,経済格差が大きくなり,貧困世帯の割合が増加している.今回私たちは,経済的困難者における脳血管障害の特徴について解析した.【方法】2014年から2018年までの5年間,当院に入院した脳血管障害816例を対象とした.生活保護受給者および無料低額診療利用者の計280名を経済的困難者群とし,残りを対照群とした.これらの症例の病型別割合・発症時年齢・男女比・入院前生活場所・自宅退院率・退院時mRSスコアを,経済的困難者群と対照群間で比較した.【結果】経済的困難者における脳血管障害の特徴は,1.男性患者の比率が高い(特に65歳未満),2.入院前は高率に独居,3.虚血性脳血管障害の平均発症時年齢が男女とも有意に低い,4.脳出血の退院時mRSスコアが増悪傾向,というものであった.【結論】経済的に困難な状況下では,虚血性脳血管障害はより若年で発症し,脳出血の重症度が高くなる傾向がみられた.

  • 今井 健, 清水 高弘, 土橋 瑶子, 赤須 友香利, 秋山 久尚, 山内 淳司, 長谷川 泰弘, 山野 嘉久
    2022 年 44 巻 3 号 p. 252-258
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/25
    [早期公開] 公開日: 2021/12/10
    ジャーナル フリー

    【背景および目的】脳梗塞を発症した担癌患者の生存率に影響する因子として,複数の因子が報告されているが,深部静脈血栓症(DVT)については検討が不十分である.本研究では,活動性担癌患者の脳梗塞発症後の死亡に関連する因子について,DVT の影響を含め検討した.【方法】当院に入院した急性期脳梗塞患者のうち,癌を合併し,脳梗塞後の経過を 6 カ月間観察することのできた 94 例を対象とし,脳梗塞発症後の死亡イベントに対する各因子の関連性について,ロジスティック回帰分析にて多変量解析を行った.【結果】脳梗塞後の 6 カ月以内に死亡した症例は 40 例であり, D-dimer 高値,DVT ありが独立した死亡関連因子であることが示され,D-dimer≥4.1 mg/dl 群で死亡を多く認めた.【結論】D-dimer 高値あるいは DVT を合併した担癌脳梗塞患者は,死亡リスクが高い可能性が示唆された.

  • 豊田 章宏, 佐伯 覚, 木谷 宏, 八重田 淳, 大塚 文, 立道 昌幸
    2022 年 44 巻 3 号 p. 259-267
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/25
    [早期公開] 公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー

    【背景および目的】脳卒中患者の職場復帰に影響する因子について,両立支援コーディネーター支援事例を集積したデータベースを用いて検討した.【方法】2017年2月から2019年3月までに登録された脳疾患患者401例のうち,転帰不明と治療中と脳卒中以外を除外した337例を対象とした.データベースは患者・家族・経済・職場・医療・復職時状況の6因子69項目で構成され,各項目2~5段階評価を行う仕様とした.復職先の「元事業場の元職務」を復職と定義し,χ2検定にて各変数における「復職」と「非復職」とで差があるか単変量解析を行った.【結果】復職には業務遂行機能,心理的因子,自己管理,経済因子などが関与したが,性別や年齢の関与は認めなかった.復職率は67.7%と良好であった.【結論】復職支援には,機能改善と心理的支援が重要であり,就労を目指した継続的なリハビリテーションと相談支援体制の構築が望まれる.

症例報告
  • 中野 紘, 石川 達也, 船津 尭之, 山口 浩司, 江口 盛一郎, 松岡 剛, 森谷 圭佑, 石川 友美, 志波 智子, 堀 貴洋, 川俣 ...
    2022 年 44 巻 3 号 p. 268-272
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/25
    [早期公開] 公開日: 2021/11/12
    ジャーナル フリー

    【目的】孤立性の横-S状静脈洞部硬膜動静脈瘻(transverse-sigmoid sinus dural arteriovenous fistula: TSS-DAVF)に対し,さまざまな機器を利用し,低被曝でdirect sinus packingを行った1例を報告する.【症例】45歳女性.左側頭葉の出血で発症,DSAで孤立性の左TSS-DAVFと診断した.閉塞部のpenetrationには一定のリスクがあると判断し,ハイブリッド手術室でナビゲーションシステムとインドシアニングリーン蛍光造影を併用した直接穿刺を選択し,コイル20本を挿入して根治した.【結論】孤立性のDAVFに対するdirect sinus packingは古くから行われている手技だが,さまざまな医療機器を使用できる現在では,より低被曝で治療が可能であり,検討すべき選択肢の一つである.

  • 太田 浩嗣, 近藤 弘久, 梅村 武部, 二ッ矢 浩一郎, 真崎 弘美, 山本 淳考
    2022 年 44 巻 3 号 p. 273-278
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/25
    [早期公開] 公開日: 2021/11/12
    ジャーナル フリー

    【背景】神経線維腫1型に伴った類もやもや病に,前大脳動脈窓形成部囊状脳動脈瘤を含む多発性脳動脈瘤が合併し,副前大脳動脈と副中大脳動脈を有した極めて稀な症例を経験した.【症例】65歳男性.頭部打撲後,外傷性健忘が生じたため救急搬入.CTで異常を認め精査入院とした.脳血管撮影では,前大脳動脈窓形成部に囊状脳動脈瘤,副前大脳動脈と副中大脳動脈を有し,中大脳脈(M1)にはもやもや様血管網を認めた.他に脳底上小脳動脈瘤を有したこともあり,coil塞栓術を施行した.術後,脱落症状もなく経過良好である.【結語】本症例は,複数の破格が集結した窓形成部に脳動脈瘤を合併した症例で,過去に報告はなかった.また,複数の破格が集結していることで,脳動脈瘤の発生には後天的な血行力学的ストレスの他に,原始血管の発生異常の関与が加わったものと考え報告した.

  • 岡本 定久, 廣佐古 進, 末田 大輔, 辻󠄀田 賢一, 興梠 博次
    2022 年 44 巻 3 号 p. 279-284
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/25
    [早期公開] 公開日: 2021/11/12
    ジャーナル フリー

    58歳男性.肺腺癌術後補助化学療法目的で入院中に左半側空間無視を発症し,同時に低酸素血症も出現した.MRIで右前頭葉皮質に脳梗塞,造影CTで肺塞栓症および下肢静脈血栓症を認めた.凝固異常もあり,がん関連血栓塞栓症と診断し,DOACで再発予防を行ったが,第24病日に再梗塞を認めた.ワルファリンに変更したが,第45病日に肺塞栓症再発を認めた.高次医療機関に転院し,未分画ヘパリン皮下注を開始,血栓症のコントロールが可能となった.術後補助療法中止後の肺癌再発症例であったが,抗血栓療法で再発なく,状態が改善したため,免疫チェックポイント阻害薬での癌治療を開始した結果,長期生存が可能となった.癌治療の進歩によって,進行期癌においても生命予後は改善しているが,本症例の如く,がん関連血栓塞栓症は増加していくと考えられ,未分画ヘパリン皮下注を含めた2次再発予防の重要性が示唆された.

  • 細野 篤, 大川原 舞, 山口 裕之, 鈴木 隼, 越阪部 学, 上田 幹也, 前田 高宏
    2022 年 44 巻 3 号 p. 285-289
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/25
    [早期公開] 公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    【目的】頚動脈ステント留置後再狭窄評価における 3D variable refocusing flip angle turbo spin echo(3D VRFA TSE)法の有効性について検証した.【症例】当院で頚動脈ステント留置術を施行した23名について検討した.全例でステント留置後の3D VRFA TSE法による内腔観察は可能であった.ステント内再狭窄を認めた症例は5例で,いずれも再狭窄部位の描出は良好であった.代表3症例について,画像とともに症例を提示する.【結論】3D VRFA TSE法は頚動脈ステント留置後再狭窄のフォローアップとして有効である.

  • 加藤 芳恵, 林 健太郎, 稲垣 諭史, 上田 真大, 朝山 康祐, 金井 由貴枝, 田原 奈生, 安部 哲史, 三瀧 真悟, 長井 篤
    2022 年 44 巻 3 号 p. 290-294
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/25
    [早期公開] 公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    脳底動脈のみの動脈解離は稀であり,治療方針などは定まったものがない.高分解能MRIを用いて脳底動脈解離を診断し,抗血栓薬にて治療した症例を報告する.症例は46歳男性.突然に眩暈,耳鳴り,頭痛および構音障害が出現し救急搬送された.MRI拡散強調像では右後頭葉に点状の高信号を散在性に認め,MRAでは脳底動脈中央部での高度狭窄を認めた.高分解能MRIでは,狭窄部はT1強調像で軽度高信号を呈しており,造影剤にて造影効果を認めた.脳底動脈解離と診断し,抗血栓療法にて治療し,症状は軽快した.6カ月後に耳鳴りを認め,MRI拡散強調像では橋右側に点状の高信号を認め,血管造影にて脳底動脈解離と確定診断した.脳底動脈解離の診断には高分解能MRIが有用であり,非侵襲的に診断することができる可能性がある.

  • 鈴木 郁, 大塚 喜久, 古谷 裕季子, 赤澤 明香, 竹内 由起, 米田 行宏, 影山 恭史
    2022 年 44 巻 3 号 p. 295-299
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/25
    [早期公開] 公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    症例は66歳男性.突然発症のめまいと嚥下・呂律困難を主訴に救急搬送された.収縮期血圧 264 mmHgと異常高値を認めた.頭部画像検査では,右椎骨動脈閉塞による右延髄の急性期脳梗塞に加え,両側の大脳皮質や視床に浮腫性変化が散在し,左円蓋部脳溝にくも膜下出血も認めたため,降圧療法を行った.入院翌日には全身痙攣も認めた.経時的に改善を認めた経過から,posterior reversible encephalopathy syndrome(PRES)の合併と診断した.孤束核を含む延髄の梗塞により,圧受容体反射の障害や,副交感神経障害による交感神経作用の増大が生じたため,異常な血圧上昇を来しPRESに至ったと考えた.

  • 木原 英雄, 内 孝文, 牧野 健治, 藤田 聡, 林 盛人, 原 英彦, 礒西 淳, 松嶋 茉莉, 紺野 晋吾, 神谷 知紀, 杉本 英樹 ...
    2022 年 44 巻 3 号 p. 300-305
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/25
    [早期公開] 公開日: 2021/12/10
    ジャーナル フリー

    卵円孔開存症は健常者の 25%に存在する.Embolic stroke of undetermined source(ESUS)は全脳卒中の 20%を占める.卵円孔開存症は潜因性脳梗塞の 50%に併存すると報告されており,卵円孔開存症の診断は重要である.特に,2019 年に経皮的卵円孔閉鎖術が承認され,卵円孔開存症の関与があり得る潜因性脳梗塞の診断の重要性はますます増している.当院では,経頭蓋ドプラ検査や経胸壁心エコー図検査による右左シャントの存在の確認を行った後に経食道心エコー図検査(TEE)を行っている.我々は,ベッドサイドにて右左シャントを証明した後に TEE を施行し,当初は卵円孔開存症が確認できなかったが,左側臥位で体位を変換した場合のみ卵円孔開存症が顕著になった 1 例を経験した.既存の報告は調べ得る限り存在せず,稀な病態と考えられるため,ESUS の評価および鑑別診断に際し重要と考え,報告する.

  • 徳田 直輝, 今井 啓輔, 五影 昌弘, 傳 和眞, 沢田 尚久, 高橋 章之, 内匠 千恵子, 浦田 洋二
    2022 年 44 巻 3 号 p. 306-310
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/25
    [早期公開] 公開日: 2021/12/10
    ジャーナル フリー

    70 歳男性.X-3 年に右下葉結節切除術を受け,肺多形癌と診断された.X-2 年の抗癌剤併用後もリンパ節や脳に転移し,X-1 年 10 月からニボルマブが開始された.同年 12 月に脳梗塞で入院したが,経胸壁心エコーで塞栓源はなかった.後遺症なく退院し,転移巣は著明に縮小したが,X 年 5 月にてんかん性発作で再入院し,脳梗塞巣の新規増加が確認された.経胸壁心エコーにて僧帽弁の可動性腫瘤が見つかり,腫瘤摘出術を実施した.腫瘤は非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE)と病理診断された.本例では,ニボルマブにて肺癌の進行をコントロールできている最中に,NBTE による脳梗塞を来した.同薬に NBTE の予防効果は期待できず,今後は同様の経過を呈する脳梗塞例の増加が危惧される.

  • 田伏 将尚, 林 拓郎, 中村 芳樹
    2022 年 44 巻 3 号 p. 311-316
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/25
    [早期公開] 公開日: 2021/12/10
    ジャーナル フリー

    後下小脳動脈 proximal type の破裂解離性椎骨動脈瘤に対して internal trapping を行うも脳梗塞を来し,その原因に脳底動脈窓形成の関与が示唆された 1 症例を報告する.症例は 53 歳女性. SAH を認め,解離性左椎骨動脈瘤破裂と診断.また,脳底動脈窓形成を有し,構成する長距離の leg と,その近位部に特徴的な血管が介在する非典型的な形態を示していた.Internal trapping 後,左小脳梗塞と左延髄外側梗塞を来した.特異な脳底動脈窓形成の関与に伴う灌流低下の結果と推測された.脳底動脈窓形成を持つ椎骨動脈塞栓術では,その解剖学的特徴に留意する必要がある.

  • 角田 慶一郎, 涌谷 陽介, 芝崎 謙作, 小川 敏英, 髙尾 芳樹
    2022 年 44 巻 3 号 p. 317-323
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/25
    [早期公開] 公開日: 2021/12/13
    ジャーナル フリー

    当院で 2011 年から 2019 年までの間に特異な頭部 MRI 画像所見から脳アミロイドアンギオパチー関連炎症と診断した 4 例の臨床・画像所見を検討した.症例は,82 歳,96 歳,78 歳,78 歳の女性 4 例である.主症状は,意識障害 2 例,認知機能低下の急性増悪 1 例,体動困難 1 例であり,慢性進行のものを含めると認知機能低下は 3 例で認められた.急性期の痙攣発作は 3 例で認め,経過中全例で抗てんかん薬を使用した.頭部 MRI では全例でおびただしい数の皮質性多発微小出血を認め,FLAIR 像で炎症を疑わせる散在性の白質の高信号変化も呈していた.脳アミロイドアンギオパチー関連炎症には免疫治療が有効とされるが,ステロイドによる治療を行ったのは 1 例のみであり,他 3 例はてんかんに対する初期治療のみで状態改善を認めた.また,1 例では白質病変は自然軽快していた.脳アミロイドアンギオパチー関連炎症は稀な病態で,今後も症例の蓄積が必要であり,文献的考察を含め報告する.

  • 大塚 俊宏, 熊井 潤一郎
    2022 年 44 巻 3 号 p. 324-328
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/25
    [早期公開] 公開日: 2021/12/13
    ジャーナル フリー

    60 歳,女性.失語症および右半身麻痺が出現し,近医より脳梗塞の診断にて当院紹介となった.当院搬入時 NIHSS スコア 30 点.前医撮影の頭部 magnetic resonance angiography(MRA)にて左内頸動脈が閉塞しており,MRI の DWI にて左基底核および左放線冠に高信号病変を認めた.Alberta stroke programme early CT score(ASPECT)-DWI 7 点.rt-PA 静注療法および血管内治療により再開通が得られ,治療 18 日後に mRS 1 にて自宅退院となった.治療 1 カ月後に右半身の違和感を自覚し当院を再受診した.頭部 MRI の DWI および fluid attenuated inversion recovery(FLAIR)にて治療側の左大脳白質に新たな高信号病変を認めた.症状の悪化がないため経過観察をしたところ,一部病変は残存したが,半年後には白質病変の改善傾向を認めた.急性期再開通療法後に遅発性白質病変が出現した症例の報告は非常に少ない.原因として遅発性低酸素白質脳症および親水性コーティングによる肉芽腫性病変が指摘されているが,原因の解明には症例の蓄積が必要である.

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