脳卒中
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総説
癌と脳卒中
髙橋 愼一大木 宏一鈴木 則宏
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2015 年 37 巻 6 号 p. 395-402

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抄録

要旨:潜在癌患者に発症する脳卒中,特に脳梗塞は血液凝固亢進を基盤とした傍腫瘍性神経症候群として診療する必要がある.Trousseau 症候群の名は1865 年Armand Trousseau が提示した遊走性静脈血栓症患者に癌が発見されたことに由来し脳に限った病態ではない.脳梗塞の病型としては非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE)による心原性脳塞栓症が最多で,複数の脳動脈領域に生じる多発性,再発性の梗塞を来す.弁破壊はないため心雑音は聴取されず,疣贅も小さく経胸壁心エコーでの診断は難しい.超急性期の経静脈的血栓溶解療法の除外項目ではないが,予期せぬ脳出血の危険性が報告されている.再発予防にはヘパリン,低分子量ヘパリンなどが使用されるが,原疾患の増悪に伴うDIC や原病の悪化などから継続に難渋することが多い.ワルファリン内服による再発抑制効果は乏しく,非ビタミンK 阻害経口抗凝固薬の有用性は確立されていない.

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© 2015 日本脳卒中学会
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