2020 年 42 巻 2 号 p. 94-99
要旨:症例は16 歳女性で,両側もやもや病の保存的加療中に過眠症発作を来した.過眠発作の形式と脳波所見はナルコレプシーに類似していたが,診断基準からはナルコレプシーの診断に至らず,中枢性過眠症と診断した.右大脳半球に血行再建術を行ったところ,過眠発作が消失したため,本症例はもやもや病による症候性過眠症と診断した.脳血管障害による過眠症は稀ではあるが,もやもや病と中枢性過眠症とでは血行動態に類似する点もあり,もやもや病による血行力学的脳虚血が中枢性過眠症を引き起こす可能性がある.