脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
症例報告
血管内治療後止血デバイスで動脈閉塞を来し,外科的摘出を必要とした1例
三神 和幸上野 泰黒山 貴弘堀 晋也安田 貴哉坂東 鋭明下 大輔
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 42 巻 3 号 p. 181-185

詳細
抄録

要旨:Angio-Seal®(St. Jude Medical, St. Paul, MN)は,血管内治療後の大腿動脈穿刺部止血の際に用いる血管閉鎖装置である.使用方法が比較的簡便であり,止血時間や安静時間を短縮して早期の歩行開始を可能にする.一方,出血性合併症を来し,稀に下肢虚血を生じる.今回我々は,頸動脈ステント留置術後にAngio-Seal® を使用して止血を試みた後,下肢動脈閉塞を来した症例を経験した.大腿動脈の最小径は4.65 mm であり,適応に即した使用であったが,5 mm の軽度狭窄を再現したチューブモデルを作り検証作業を行ったところ,アンカーの一方が狭窄部に容易に引っかかり,コラーゲンスポンジが血管内に留置された.血管壁の状態によっては,大腿動脈の直径が約5 mm 程度であっても同様の状況が発生する可能性を考慮する必要がある.そして急性下肢虚血が疑われる場合は,迅速な診断と治療を考慮すべきである.

著者関連情報
© 2020 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top