2024 年 46 巻 5 号 p. 348-354
【目的】虚血性脳卒中患者の脂質異常症管理にスタチンが推奨されるが,超高齢者における有効性と安全性は不明であり,後ろ向き研究を企図した.【方法】2017年1月~2021年12月にアテローム血栓性脳梗塞もしくはラクナ梗塞で入院した80歳以上で,発症1年間の経過がわかる例を調査した.退院時転帰,入院日数,LDL-Cおよびスタチン開始48週間の有害事象を収集した.【結果】全102例中,スタチン投与群は33例,非投与群は69例だった.スタチン投与群は退院時mRS 2.5で退院時死亡はなく,非投与群より入院期間が有意に短かった.入院時のLDL-Cは115 mg/dl程度で,スタチン投与群は12週後に84 mg/dlまで低下した.スタチン投与後48週間で主な有害事象はなかった.【結論】スタチン治療を開始できた高齢患者は,退院時の脳血管障害による運動機能等の障害は軽度で,有効性について検証を継続する価値がある.