抄録
要旨:高齢化が進むわが国において,慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)を合併した脳梗塞患者は今後も増加することが見込まれる.登録研究(Fukuoka Stroke Registry)を用いた解析では,CKDを合併した脳梗塞患者では,高齢,貧血,凝固亢進,炎症などの特徴が見られ,臨床病型では心原性脳塞栓が多かった.また,CKD 合併患者では脳梗塞発症後の機能予後および生命予後は不良であった.CKD は種々の病態を介して脳梗塞後の予後に関連していると考えられる.我々が過去に行った検討では,CKD 患者における蛋白尿は脳梗塞後の予後予測因子の可能性が示唆されており,その機序について考察する.