抄録
急性脳梗塞と急性心筋梗塞をほぼ同時に発症し,t-PA(tissue plasminogen activator)静注療法が両者に奏功した症例を経験した.症例は66 歳の女性.突然の左不全麻痺にて,当院へ救急搬送された.来院時には構音障害,左不全片麻痺,左半身感覚鈍麻を認めており,画像検査にて急性脳梗塞であることが判明し,同時にうっ血性心不全を伴う急性心筋梗塞も来していた.t-PA 静注療法により,急性脳梗塞,急性心筋梗塞ともに軽快した.これまでにも急性脳梗塞と急性心筋梗塞の同時発症症例においてt-PA 静注療法が行われた報告はあり,必ずしも予後良好の報告ばかりではないが,同様の症例においてはt-PA 静注療法も有用であると考えられる.