脳卒中
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初診時に甲状腺クリーゼを合併していたくも膜下出血の1 例
藤本 健二大塚 忠弘篠島 直樹矢野 茂敏
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論文ID: 10495

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抄録

症例は49 歳女性.頭痛後の不穏状態にて救急搬送された.来院時所見は,JCS 3-R,頻脈,頻呼吸,発熱,異常発汗,また眼球突出,甲状腺腫大を認めた.CT にてくも膜下出血,採血所見にてFT3・FT4 の高値とTSH の低値を認め,甲状腺クリーゼを合併したくも膜下出血と診断した.甲状腺クリーゼの治療をまず優先して行い,クリーゼ改善後に手術を行い,転帰は良好であった.甲状腺クリーゼは適切な治療を行われなければ生命予後は極めて不良である.症状はくも膜下出血と共通するものも多く,合併した場合の診断は容易ではない.今回,身体所見からBasedow 病を疑い諸検査で甲状腺クリーゼの診断に至ることができたが,もし甲状腺クリーゼを見落とし,くも膜下出血急性期に手術を行っていれば,クリーゼ増悪による致死的転帰をたどった可能性があった.甲状腺クリーゼの治療を最優先させ,待機手術としたことが功を奏したと考えられる.

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