脳卒中
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一過性脳虚血発作を契機に診断し得た 先天性プロテインC 欠損症の1 例
榊 佑介石束 光司上床 武史森下 英理子杉森 宏
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論文ID: 10578

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抄録

症例は心筋梗塞の既往がある61 歳男性.突然の言語障害,右上肢麻痺を主訴に搬送された.来院時は右中枢性顔面神経麻痺を認めたが,頭部CT,MRI で明らかな異常所見を指摘できず, 神経症状が24 時間以内に消失したため一過性脳虚血発作(transient ischemic attack: TIA)と診断した.入院時より感染徴候があり,造影CT を施行したところ左室内心尖部,上腸間膜静脈内に血栓を示唆する造影欠損像を認めた.経胸壁心エコーでも心腔内血栓を認め,心尖部の壁運動は低下していた.TIA の原因は心腔内血栓による塞栓症と考え抗凝固療法を開始した.上腸間膜静脈血栓症は稀な疾患であることから血液凝固線溶系異常を精査したところ,プロテインC の抗原量が59%,活性が49 % と低下し, 遺伝子解析でプロテインC 遺伝子にエクソン6g. 3418C>A, Leu168Met (CTG→ATG)というこれまで確認されていない点変異を認め先天性プロテインC 欠損症と診断した.

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© 2017 日本脳卒中学会
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