脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726

この記事には本公開記事があります。本公開記事を参照してください。
引用する場合も本公開記事を引用してください。

腫瘍内出血との鑑別を要した小脳出血で発症した硬膜動静脈瘻の1例
吉田 陽一樋口 佳則野村 亮太池上 史郎辛 寿全原 彩佳瀬戸口 大毅小林 英一野本 和宏岩立 康男
著者情報
ジャーナル フリー 早期公開

論文ID: 10584

この記事には本公開記事があります。
詳細
抄録

症例は75 歳男性.既往歴として,5 年前に足趾の悪性黒色腫摘出を受けているが,再発転移なく経過していた.ふらつきと歩行障害が出現したため近医を受診し,小脳失調を指摘され当院に紹介された.MRI ではT2 強調画像で出血を伴う高信号域を認めた.拡散強調画像では急性期の虚血を疑う所見はなく,同部位は造影MRI で不均一に造影された.悪性黒色腫の脳転移も鑑別に挙げ,まずステロイド治療を開始した.1 週間の経過で症状が改善しMRI 上の病変の縮小を認めた.脳血管造影検査を実施した結果,椎骨動脈後硬膜枝を流入動脈とし,下小脳虫部静脈へ皮質静脈逆流を呈する,小脳テント部硬膜動静脈瘻と診断された.病変は約3 カ月の経過観察中に自然閉塞した.びまん性の造影効果を呈する小脳半球の浮腫や小出血病変では,硬膜動静脈瘻を鑑別疾患に挙げ診療に当たる必要がある.

著者関連情報
© 2018 日本脳卒中学会
feedback
Top