論文ID: 10599
SAH 発症の椎骨解離性動脈瘤(vertebral artery dissecting aneurysm: VADA)は,可及的早期に 治療を行うことがコンセンサスである.解離部を含む母動脈閉塞が原則である.低侵襲で,血管撮 影室で診断に続き治療できるメリットは大きく,方向は血管内治療にシフトしている.しかし,減 圧開頭やbypass を要するposterior inferior cerebellar artery(PICA) involved type には開頭術が必要で,穿 通枝温存も開頭術に分がある.開頭術減少の原因の一つは,体位が複雑で術野も深く,低位脳神経 に触れる可能性が高い側臥位による方法が,盲目的に踏襲されてきたことと考える.一方で,腹臥 位は体位が単純で術野が広く浅いためVA clip と同時にoccipital artery(OA)-PICA bypass がスムース に可能.減圧開頭が容易.というメリットがあり,広く一般化しやすい.VADA の治療は,発展し ていく血管内治療と開頭手術の技術を再考,伝承し,よりバランスのとれた治療をめざしていくこ とがこれからの方向性である.