論文ID: 10679
要旨:症例は60 歳女性,突然の意識障害で発症し,他院CT でくも膜下出血(SAH)が認められ当院へ搬送となった.脳血管造影検査により,破裂左椎骨動脈解離性動脈瘤(VADA)および右椎骨動脈解離性閉塞と診断した.左椎骨動脈のバルーン閉塞試験(BTO)を行い,右内頸動脈造影にて後交通動脈(Pcom)を介して右後下小脳動脈(PICA)まで造影されることを確認できたため,左PICA を温存した母血管閉塞を行った.術後小脳脳幹の血流低下は見られず,経過は良好でmRS 0 にて自宅退院となった.対側VA 閉塞を認める破裂VADA においても母血管閉塞による治療が考慮される場合があり,閉塞試験が側副血行路の評価に有用であった.