論文ID: 10707
要旨:症例は68 歳男性.急性期脳梗塞で発症し,入院時精査でinternal carotid artery(ICA)終末部に狭窄や閉塞がなく,一側のmiddle cerebral artery(MCA)のM1 部にのみ閉塞を認め,網状側副血行路を有する点からaplastic or twig-like MCA(Ap/T-MCA)と診断した.MCA 領域で脳循環予備能低下を認めバイパス術を予定したが,手術待機中に右視床出血を発症した.初回入院時の脳血管撮影で側副血行路内に微小動脈瘤を認め,微小動脈瘤破裂もしくは側副血行路の破綻が原因と考えられた.また,脳梗塞後に導入した抗血小板剤も影響を及ぼしたと考えられた.本症例では,再出血予防には血行力学的脳虚血の改善が必要と考え,バイパス術を施行した.術後フォローアップでは微小動脈瘤は描出されず,側副血行路の著減を認め,以後26 カ月間脳血管障害の出現なく良好に経過した.