論文ID: 10725
要旨:症例は77 歳の女性で,特発性血小板減少性紫斑病による血小板減少や出血傾向に対し,入院時に,心房細動に対して内服していた直接経口抗凝固薬を休薬していた.入院中に突然発症の意識障害,左片麻痺,および右上肢の血色不良と橈骨動脈触知困難を認め,精査の結果,心原性脳塞栓症による右内頸動脈閉塞および右腋窩動脈急性閉塞,腎梗塞を認め,多発血栓塞栓症と診断した.rt-PA 静注療法に加え,血管内治療にて頸部および上肢血管の血栓除去術を行った.経過および症候は大動脈解離と共通点が多く,鑑別に注意を要すると考えられた.