論文ID: 10818
要旨:【目的】Percutaneous coronary intervention(PCI)周術期合併症の一つとして脳血管障害があることは知られているが,発生は稀である.今回我々は,PCI中に発症した中大脳動脈閉塞に対して機械的血栓回収術を行った症例を経験したので報告する.【症例】72歳男性.急性心筋梗塞の診断で近医より当院循環器内科に転送され,緊急PCIとなったが,PCI中に意識障害,全失語,右不全麻痺が出現し当科紹介となった.PCIを完遂した後,脳血管撮影を施行し,左中大脳動脈閉塞を認めた.機械的血栓回収術を施行し,発症から52分で再開通が得られた.術後,意識障害と麻痺は改善したが,高度な失語が残存し,第29病日に回復期病院へ転院した.【結語】PCI関連の脳塞栓症は稀な合併症であるが,重篤な転帰をとる場合が多い.迅速な対応が必要であり,循環器科と脳卒中関連科の連携が重要である.