論文ID: 10838
要旨:【目的および方法】腎機能障害(推定糸球体濾過量 <60 ml/min/1.73 m2)を有する非弁膜症性心房細動(NVAF)患者中,ワルファリン(Wa)投与166例(79±8歳)および直接阻害型経口抗凝固薬(DOAC)投与196例(80±10 歳)の有害臨床イベント発症率を後ろ向きに検討した.【結果】WaおよびDOAC投与群の虚血性脳卒中または全身性塞栓症率は各々 3.41,1.75/100人年,大出血発症率は各々 3.70,1.09/100人年,全死亡発症率は各々 7.39,5.02/100人年であった.多変量解析にて,Wa群と比較してDOAC群の虚血性脳卒中/全身性塞栓症,大出血発症率は有意に低率(ともに P<0.05),全死亡発症率に有意差はなかった.【結論】実臨床下での腎機能障害合併NVAF患者において,DOAC投与群の有害臨床イベント発症は,Wa群のそれより低率ないし同等であった.