論文ID: 10932
67 歳女性.X年X月X日,突然発症の左上下肢麻痺を来し当院に救急搬送された.右中大脳動脈閉塞による超急性期脳梗塞と診断し,rt-PA静注療法および機械的血栓回収療法を行った.白色血栓が回収され,1passでTICI 3の再開通を得た.術後神経学的所見は著明に改善し,後遺症なく経過した.回収された塞栓子の病理学的診断でグラム陽性球菌が検出され,血液培養検査で原因菌を Gemella haemolysans と同定した.臨床的に感染性心内膜炎を疑い,抗生剤加療を開始した.Gemella haemolysansの感染源検索として上下部消化管内視鏡を施行,早期大腸癌の発見に至り,内視鏡的切除術により根治を得た.Gemella属を含む腸管常在菌による感染性心内膜炎では,消化管悪性腫瘍が細菌の侵入門戸となっている可能性が報告されており,消化管精査を施行することが望ましいと考えられる.