脳卒中
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覚醒剤乱用後にみられた脳血管障害の2例
江島 泰志 稲石 佳子金子 陽一
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論文ID: 10992

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抄録

【目的】覚醒剤乱用後に発症した脳血管障害の2例を経験したので,文献的考察を加え報告する.【症例1】36歳男性.数年来の覚醒剤常用者.覚醒剤を加熱吸引後,しばらくして突然右上下肢脱力が出現した.来院時は昏睡状態で,頭部CTで左大脳半球に巨大出血を認めた.来院3時間後には心呼吸停止状態となり,入院69日目に死亡した.【症例2】57歳男性.20代から覚醒剤を常用.覚醒剤静注後から倦怠感と体動困難を訴え始めた.2日後,意識障害と発熱(38.7°C)で入院.尿トライエージ検査は,アンフェタミン陽性だった.頭部MRIでは,小脳と脳幹に多発性梗塞を認めた.敗血症および菌塊塞栓による脳梗塞と診断され,抗菌薬治療を行った.しかし,全身状態は徐々に悪化し,入院10日目に死亡した.【結論】年齢が若く,高血圧や糖尿病等の基礎疾患のない脳血管障害症例では,覚醒剤乱用が原因となった可能性を考慮する必要がある.

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