脳卒中
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血栓回収術中に再閉塞を繰り返し剖検時に医原性脳動脈解離が判明した中大脳動脈閉塞の1例
上田 凌大 今井 啓輔山田 丈弘山本 敦史猪奥 徹也樋野 陽子德田 直輝
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論文ID: 11010

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抄録

症例は87歳女性.意識障害と右片麻痺をみとめ,当院に搬送された.頭部CTおよびCT angiographyにて左中大脳動脈(MCA)閉塞による脳梗塞と診断し,rt-PA静注先行のもと,血栓回収術を実施した.左MCA水平部(M1)はステントリトリーバー(SR)と吸引カテーテルにて1passで再開通するも,島部(M2)は再閉塞を繰り返した.最終的にSRにて3passしたが,部分再開通にとどまった.左大脳半球は広範囲梗塞に陥り,第4病日に死亡した.病理解剖にて,複数の頭蓋内動脈での強い動脈硬化性変化とともに,左M1遠位部の粥腫と同部位の動脈解離をみとめた.後者は,動脈硬化の強い血管に対してSRを使用したことによる医原性脳動脈解離と考えられた.動脈硬化の強い高齢者の血栓回収術中に再閉塞を繰り返す場合は,術中の医原性脳動脈解離に留意すべきである.

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