論文ID: 11114
77歳女性で感染性心内膜炎の既往がある脳梗塞患者において,血栓回収療法後に頭部CTで閉塞部遠位側の末梢性動脈瘤周囲に高吸収域を認めた.脳梗塞発症時には,敗血症性塞栓が鑑別診断に挙がっており,感染性動脈瘤の破裂を疑いコイル塞栓術を行ったが,最終的に感染性心内膜炎に合併した既存の動脈瘤からの過去の敗血症性塞栓による,動脈瘤と癒着した周囲組織への造影剤漏出と判断した.血栓回収療法後に発生した,末梢性動脈瘤周囲の造影剤漏出には,閉塞部遠位側でのマイクロカテーテルからの造影剤の注入,脳虚血,脳血管内の造影剤停滞,動脈瘤壁の造影剤透過性が関与している可能性がある.造影剤使用により,末梢性動脈瘤周囲が頭部CTで高吸収域に描出される可能性があるため,臨床経過と過去の画像とdual energy CTの所見を基に,動脈瘤塞栓術の必要性について慎重に判断すべきであると考えられる.