論文ID: 11190
【背景および目的】近年,高齢化に伴う高齢者ドライバーの増加,および高齢者ドライバーが運転中に脳卒中に罹患することによる自動車事故の増加が社会的に懸念されている.今回,「慶應義塾大学脳動脈瘤共同研究」データベース解析により,運転中発症くも膜下出血(aneurysmal SAH: aSAH)の全体に占める比率および特徴を解析した.【結果】発症時行動様式が記録されていた623名中,発症時運転中だったのは10名(1.6%).623名を発症時運転群(n=10)と非運転群(n=613)とに分け,臨床因子を比較した.運転時発症群は有意に男性比率が高かったが,それ以外の臨床因子(来院時aSAH重症度,退院時予後等)では有意差を認めなかった.【結論】自動車運転とaSAH発症との因果関係については否定できず,また,運転時に発症した場合事故につながる確率は低くないため,研究継続されるべき課題である.