脳卒中
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垂直方向に長大な病変を呈し発症早期に中枢性呼吸障害を伴った延髄外側梗塞の1例
神津 実咲佐藤 健朗 三森 雅広奥村 元博梅原 淳井口 保之
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: 11215

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抄録

症例は75歳男性.突然の回転性めまいと歩行障害で来院した.来院時より高CO2血症を認め,神経学的には構音障害,左右注視眼振,左顔面麻痺,嚥下障害,左カーテン徴候,左顔面と頸部以下右半身の表在感覚低下,左上下肢小脳性運動失調,左Horner徴候を認めた.頭部MRIでは,延髄左外側から橋下部左背側に及ぶ垂直方向の長大な梗塞を認め,MRAでは左椎骨動脈の閉塞を認めた.発症約9時間後に誤嚥性肺炎を生じ,発症約24時間後の夜間に突然の呼吸停止を来し人工呼吸器管理となった.延髄外側梗塞の中でも閂レベルよりも頭側に病変を含む場合,呼吸制御機構が障害され,かつ誤嚥を生じやすいとされる.本例は垂直方向に長大な病変を呈し,発症早期に重篤な中枢性呼吸障害と誤嚥性肺炎を伴った.延髄外側梗塞に伴う呼吸不全のメカニズムを考える上で貴重な1例と考え報告する.

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