脳卒中
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急性期脳卒中様の発症形式を示しrt-PA静注療法後に脳出血を来した硬膜動静脈瘻の1例
入江 亮 中條 敬人三鬼 侑真山口 巌史寺田 友昭
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: 11237

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抄録

74歳男性,突然の感覚性失語と構音障害で救急搬送.MRIでは左側頭葉に淡いDWI高信号あり,MRAでは大血管閉塞は認めなかった.脳灌流画像ではCBF低下領域が0 ml, Time to maximum(Tmax)はDWI高信号域と一致して延長していた.虚血性脳卒中の診断でrt-PA静注療法を施行したが,翌日同領域の皮質下出血を認めた.後日DSAでBorden type 3の横静脈洞-S状静脈洞部硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula: dAVF)と診断し,経動脈塞栓術で根治を得た.脳卒中様の発症形式を示す非出血性dAVFは稀であるが,rt-PA静注療法により出血を来す恐れがあり注意を要する.また,初回脳灌流画像で左側頭葉の低灌流と過灌流の混在が後方視的に確認され,静脈灌流障害による低灌流域に,非けいれん性てんかん重積状態による過灌流が重なった可能性が示唆された.

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