脳卒中
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くも膜下出血で発症した後下小脳動脈解離に塞栓性脳底動脈閉塞を合併し,自然閉塞した動脈瘤が再開通した1例
玉利 洋介 嶋田 祥観永井 汰一平山 暄土羽生 健人片岡 弘匡加野 貴久
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: 11351

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抄録

53歳女性.排便後に後頭部痛を自覚し,他院に搬送された.意識はJCS I-1,左解離性後下小脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血と診断された.当院搬送中にJCS III-100に悪化した.脳血管撮影で動脈瘤の血栓化と脳底動脈の急性閉塞を認め,血栓回収療法により再開通した.初回治療時に動脈瘤は造影されず経過観察としたが,第3病日のCT血管造影で動脈瘤を再度描出し,母血管閉塞術を施行した.術後はT1 black-blood MRIおよび脳血管撮影にて動脈瘤の閉塞を確認した.意識は清明に改善したが小脳失調は残存し,第63病日にリハビリテーション目的で転院した.2カ月後に自宅退院し自立生活を送っている.破裂後下小脳動脈解離に伴う塞栓性脳底動脈閉塞に対し血栓回収と母血管閉塞術を施行した稀な症例であり,後下小脳動脈解離における治療戦略と画像評価の重要性が示唆された.

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