脳卒中
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脳血管障害の治療と予後に関する多施設共同研究
第2報 視床出血
後藤 文男福内 靖男
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1992 年 14 巻 1 号 p. 72-78

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抄録

昭和59年から昭和63年までの5年間に11施設 (慶應義塾大学神経内科およびその関連病院) に発症24時間以内に入院し, CTスキャンを施行し得た視床出血556例 (男334例, 女222例, 平均年齢63±10歳) を対象とした.これらの患者を内科治療群527例と外科治療群29例 (25例は脳室ドレナージのみ) に分け, 入院時神経学的重症度 (NG), CT分類, 血腫最大径, 血腫量と退院時予後との関係を検討した.NG, CT分類, 予後は, 日本脳卒中外科研究会の分類に準'じた.その結果は (1) 視床出血軽症例 (神経学的重症度で昏迷以下 (NG1, 2, 3), CT分類でIa, Ib, IIa, 血腫の最大径2cm以下, 血腫量で10ml以下) においては, 内科治i療により良好な結果が得られた. (2) 血腫最大径2.1~3.0cmの中等度の症例においては, 内科治療が外科治療より機能予後の点で優っていた. (3) 重症例 (CT分類IIIb, 血腫の最大径3.1~4.0cm, 血腫量31m1以上) おいては, 外科治療により死亡率は減少したが, 外科治療で生存した症例の機能予後は不良で自立生活は不可能であった.従って視床出血の外科治療 (脳室ドレナージ) の目的は重症例における救命のみにあると考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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