脳卒中
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高張溶液 (glycerol) の実験的脳虚血に及ぼす効果
Part3, 投与方法に関する検討
柏木 史彦片山 泰朗神谷 達司赫 彰郎
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1992 年 14 巻 6 号 p. 583-590

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抄録

Glycerolの投与方法の差異が, 生存率, 脳浮腫, 脳エネルギー代謝 (ATP, lactate, pyruvate) に及ぼす効果を高血圧自然発症ラット (SHR) を用いた脳虚血モデルにて検討した.10%91ycerol溶液は5群に分けて投与した.すなわちA : 20ml/kgの虚血直後1回投与群, B : 20ml/kgの虚血3時間後の一回投与, C : 6.6ml/kgの間歇的3回投与, D : 6.6ml/kgの虚血直後1回投与, E : 総投与量20ml/kgの持続的投与の5群にて検討した.また対照群として2群 (F : 20ml/kgの虚血直後, G : 20ml/kgの持続投与) に生理食塩水を投与した.両側総頸動脈結紮12時間後の生存率は間歇投与群次いで持続投与群が高値を示した.脳含水量は間歇投与群のみが対照群に比し有意に低値を示した。脳代謝諸量の検討ではATPは間歇投与群が対照群に比し有意に高値を示した.Lactateおよびpyruvateは各群間に有意な差異はなかった.虚血性脳傷害に対するglycerolの投与は, 間歇的な投与, 次いで持続的な投与がより有効であることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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