1997 年 19 巻 2 号 p. 98-102
急性期の脳出血のCTで, 高吸収域の血腫周囲に境界明瞭な強い低吸収域を認めることがある.従来, 高吸収域のみが血腫とされてきたが, 定位的血腫吸引術を行う際に流動性血腫が吸引された後, この強い低吸収域が消失, 又は減少する事, 更にその流動性血腫のフィブリン分解産物 (fibrin degradation products-以下FDP) が高値を示すことから, この部分は血腫形成に伴う血餅退縮によって生じた血清であり, 血腫の一部と考えるのが妥当と思われた.
高吸収域と低吸収域を同時に認める血腫をdouble density hematomaと命名した.出現頻度は83%と高く, 出血量, 脳室内穿破に影響された.