脳卒中
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頭蓋内主幹動脈病変とアポリポ蛋白E
関山 西里立川 浩高橋 若生津田 道雄篠原 幸人
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2001 年 23 巻 4 号 p. 292-297

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抄録

アポリポ蛋白Eの各表現型,特にε4保有の有無と虚血性脳血管障害発生との関連を脳ドック受診例を中心に,既知の危険因子を含め検討した.対象は40歳以上70歳未満(平均60±7歳)の無症候性脳梗塞(ラクナ梗塞)31例,無症候でMRAにより診断された50%以上の頭蓋内主幹動脈狭窄25例(平均58±7歳),既往に脳梗塞がなくMRI,MRA上にも病変のない対照200例(平均59±6歳)である.頭蓋内主幹動脈狭窄郡ではε4保有率が高く,既知の危険因子を含め検討しても,特にε4と狭窄群には有意な相関(p<0.05)がみられた.無症候性脳梗塞群と高血圧との間には相関がみられたが,ε4との有意な関連は認められなかった.穿通枝領域のラクナ梗塞と頭蓋内主幹動脈狭窄では,通常病態発生機序や成因は異なるものである事を再確認すると共に,ε4が頭蓋内主幹動脈狭窄症例の原因となるアテローム血栓の発生に関与していると推察した.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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