脳卒中
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ワルファリンとグリベンクラミドの併用により遷延する低血糖を生じた1例
薬物相互作用
永沼 雅基橋本 洋一郎松浦 豊寺崎 修司内野 誠
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2003 年 25 巻 3 号 p. 334-337

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抄録

症例は72歳女性.左第1,2指の脱力が出現し,当院入院.入院後の頭部MRIで右前頭葉深部白質に点状の梗塞巣を認めた.経食道心エコーでは卵円孔開存を認め,RIベノグラフィーにて下肢深部静脈血栓が疑われたため奇異性脳塞栓症と診断し,二次予防のためワルファリンを開始した.以前より糖尿病に対してグリベンクラミド,ボグリボースが投与されており,低血糖を認めたことはなかったが,ワルファリンが治療域に達した日の夕方から低血糖が出現した.ブドウ糖液などにより治療を行ったが,その晩低血糖が数回出現した.グリベンクラミドを中止したところ,その後低血糖は出現しなかった.ワルファリンによりグリベンクラミドの効果が増強されるという報告の少ない薬物相互作用により,本症例の低血糖が生じたと考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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