脳卒中
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脳塞栓および血栓性脳動脈閉塞における脳血流量の比較検討
経時的変動とその意義
峰松 一夫熊谷 芳夫長木 淳一郎田代 幹雄山口 武典
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1985 年 7 巻 1 号 p. 29-36

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抄録

一定の臨床的診断基準により診断された脳塞栓 (塞栓群) 68例および血栓性脳動脈閉塞症 (血栓群) 63例を対象として133Xe吸入法による局所脳血流量測定を行った.塞栓群では急性期 (発症2週間以内) における病巣側の平均半球脳血流量 (mCBF) は非病巣側のそれと差がなく, 局所的にも非病巣側より高いrCBF値を示すチャンネルが多かった.亜急性期 (3~4週), 慢性期 (5週以降) と推移するにつれ, 病巣側のmCBFは非病巣側に比べ有意に低い値となった (それぞれp<0.02, p<0.001).血栓群では急性期より慢性期に至る全ての時期で, 病巣側のmCBFは非病巣側より有意に低値であり (いずれの時期もp<0.001), 時期による変動はみられなかった.塞栓群の急性期に観察された病巣側半球の比較的高灌流状態は閉塞血管の再開通とそれに続く局所性の血流増大を反映しているものと推定された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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