脳卒中
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攣縮血管の機能的可逆性とCa++拮抗薬の効果
京井 喜久男横山 和弘内海 庄三郎外賀 昭飯田 紀之
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1985 年 7 巻 1 号 p. 67-78

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抄録

SAHおよびSAH以外の原因で死亡した27例の剖検ヒト脳血管を用い, 血管平滑筋筋放電の出現状況と等尺性張力ならびに血管壁の組織学的変化との関連を検討した.非SAH群では7例に群発性放電, 4例に散発性放電を認め, 血管収縮も良好で, 筋壊死も認めなかった.SAH群では群発性放電を示すものはなく, 筋壊死も著明で, local narrowingの症例など5例で散発性放電を認めた.筋放電, 血管収縮は攣縮発生後1週間以内の死亡例かlocal narrowingの症例でみられ, 収縮一拡張という血管の生理的機能よりみて攣縮血管の機能的可逆性は攣縮発生後約1週間で消失する.脳動脈瘤症例26例を対象としたCa++拮抗薬 (diltiazem) の血管攣縮に対する臨床効果はSAH後血管攣縮8例中4例, 術後血管攣縮9例中7例にみられたが, これらは攣縮発生後5~6日以内に薬剤が投与されたもので, 基礎的検討の結果と一致している.Ca++拮抗薬の投与は攣縮発生早期から開始するか, 予防的に投与することが肝要である.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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