脳卒中
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側脳室体部側方-放射冠の小梗塞
長谷川 修八鍬 秀之宮本 一行
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1986 年 8 巻 3 号 p. 195-199

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抄録

側脳室体中央部側方-放射冠に小梗塞の見られた17例について検討した.CT上多くは直径2cm弱で被殻上部にまで達している.性質を纒めると, (1) 発症から症状完成までに時間を要する例が多い. (2) 危険因子として高血圧, 耐糖能異常を持つ例が多い. (3) 血圧が良好にコントロールされている状態での発症が少なくない. (4) ヘマトクリットは必ずしも上昇していない. (5) 臨床症状は上肢, 特に遠位部に強いpure motor hemiplegiaの形をとる. (6) 内頸動脈siphonから前・中大脳動脈主幹部にかけての硬化所見の目立つ例が多い, となる. (5) は, 大脳皮質の上肢運動野から内包に至る線維がこの部を通っていることに起因するのであろう.その他は, 境界域あるいは終末枝梗塞の性質に該当する.これは中大脳動脈皮質枝と穿通枝の境界域または同穿通枝の終末枝領域の梗塞に相当するため, と考えられる.逆に緩徐進行性の上肢遠位部に強いpure motorhemiplegiaを呈する例ではこの部位の梗塞を考える必要があり, 臨床診断上有用な知見と考える.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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