2024 年 22 巻 2 号 p. 54-64
東日本大震災から13年が経過したが,被災地の復興,とりわけ原子力災害に苦しんだ福島県の復興は,その進展とともに多くの課題に直面している.本稿では,現在までの福島災害の復興を振り返り,とくにメンタルへルス問題に対応する大規模支援組織であるふくしま心のケアセンターの活動に焦点を当て,現在の課題について考察した.避難地域では,避難住民の帰還が進まない一方で,被災を経験していない移住住民の数は急増し,新しいコミュニティ形成の動きが強くなっている.精神科医療機関をはじめとしてメンタルへルスを支えるリソースが今なお乏しい中,ふくしま心のケアセンターの役割は今後も大きい.とくに避難住民の支援と,被災コミュニティ再生という課題が乖離している現在,柔軟で長期的視点に立った,持続可能な支援をいかに行うかが問われている.