2024 年 22 巻 2 号 p. 47-53
本総説は,デジタル技術を活用した心的外傷後ストレス障害(PTSD)の有効性に関する系統レビューを概観した.ビデオ通話や電話を用いた遠隔心理療法は,PTSDの改善において対面療法と比較した非劣性性が頑健であることが明らかであった.集団療法を遠隔で実施した場合も,エビデンスの頑健性は個人形式には劣るものの,対面心理療法に有効性が劣らないことが示唆された.ウェブアプリやモバイルアプリを介したデジタルメンタルヘルス介入は,介入の内容が認知行動療法(CBT)に基づく場合に待機群や通常治療群と比較して,PTSD症状を有意に改善することが明確であった.対面治療とデジタル介入の併用は,PTSDに対する有効性について明確な結論は得られなかった.