ウイルス
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特集2 [第51回ウイルス学会学術集会シンポジウム
「ウイルス学から臨床医学へ」]
2. 抗ウイルス薬研究最近の進歩 : 抗エイズ薬を中心として
馬場 昌範
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2004 年 54 巻 1 号 p. 59-66

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抄録

Highly active antiretroviral therapy (HAART) の確立により, HIV-1感染症の予後は劇的に改善した. しかし, 一方でHAARTの問題点も明らかになってきている. その中の1つである薬剤耐性ウイルスの出現を克服する手段として, 既存の薬剤とは異なる特性を有する新しい逆転写酵素阻害薬やプロテアーゼ阻害薬, そして, これ以外の分子を標的とする抗エイズ薬について, 今もなお世界中で活発な研究が続けられている. 最近開発された新しい逆転写酵素阻害薬とプロテアーゼ阻害薬は既存の耐性ウイルス株に対しても有効であり, さらに通常1日1回投与で十分である. さらに, 初めてのウイルス侵入 (膜融合) 阻害薬も認可された. 本薬剤はこれまでの薬剤とは標的が異なるため, 逆転写酵素阻害薬やプロテアーゼ阻害薬に高度耐性を示すHIV-1にも同様な効果を発揮する. また, HIV-1のコレセプターであるCCR5を標的とした抗HIV-1薬の臨床試験が行われており, さらにインテグレースやウイルスの遺伝子発現, そしてウイルス粒子のアセンブリーを阻害する薬剤も同定されている.

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© 2004 日本ウイルス学会
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