ウイルス
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特集1 ウイルスとインターフェロン
2. ウイルスによるインターフェロン情報伝達系抑制の分子機構
藤井 暢弘横田 伸一横沢 紀子岡林 環樹
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2004 年 54 巻 2 号 p. 169-178

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抄録
ウイルスに対する細胞や生体の防御機構の中で、インターフェロン (IFN) の示す抗ウイルス活性は大変重要であり、またIFNの多面的作用は獲得免疫発動にとっても欠かせないものでもある。ウイルスはIFNの情報伝達系を抑制することによってほぼ全IFNシステムを抑制する機能を獲得してきたと思われる。これまで判明しているIFN情報伝達系の抑制機構は、(1) IFN結合性蛋白の産生、(2) JAK/STAT系に関わる蛋白の分解、(3) JAK/STAT系に関わる蛋白の活性化阻止、(4) 活性化転写因子の核内移行の阻害、(5) JAK/STAT系のネガテブ制御因子の誘導、に整理される。我々の検討しているHSV1ではネガテブ制御因子であるSOCS3の誘導が、ムンプスウイルスはV蛋白によるSTAT-1, STAT-3の分解が、麻疹ウイルスではV蛋白、C蛋白がIFNレセプターと複合体を形成しJak-1のリン酸化が阻止されていることが、IFN情報伝達系抑制に関わっている。
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© 2004 日本ウイルス学会
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