ウイルス
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特集2 日本の周辺国で問題となっているウイルス感染症
3. リフトバレー熱ウイルス
池上 徹郎牧野 伸治
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2004 年 54 巻 2 号 p. 229-235

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抄録

リフトバレー熱ウイルスはブニヤウイルス科, フレボウイルス属に属するネガティブ鎖RNAウイルスである. このウイルスは蚊によって媒介され, 家畜, 人に感染, 疾病を引き起こす. 本ウイルスは3つの分節ゲノム (S, M, L) からなり, S分節はNおよびNSs遺伝子がそれぞれアンチウイルスセンス鎖, ウイルスセンス鎖にコードされたアンビセンス鎖である. 感染するとウイルス蛋白の合成, ウイルス粒子放出とともに, 宿主細胞の蛋白合成が停止する. NSsが宿主RNAポリメラーゼIIの転写因子TFIIHの機能を阻害することによってmRNAの合成を抑制することが宿主蛋白合成の停止の原因であると思われる. 本ウイルスのReverse genetics systemの確立はウイルスの病原性, ウイルスの複製及びウイルスと細胞の相互作用の解析のみならず, 今後のワクチン開発にも重要であると考えられる.

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© 2004 日本ウイルス学会
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