抄録
E型肝炎は疑いもなく人畜共通感染症である. ナマかナマに近い形での肉類摂取を好む日本人の間ではzoonotic food-borne transmissionがHEVの主たる感染経路として存在して來た. のみならず, 事態は更に悪化しつつある. イノシシやシカ等の野生動物が近年日本の森林で急速に増え, HEVのreservoirとしての存在感を益々強めつつあるし, BSEへの恐怖から人々の食材がウシからブタへとシフトしたこともその一因である. 有効なワクチンの出現を最も待望しているのは日本人かもしれない.