インフルエンザパンデミックは数十年に一度の割合で出現してきている.ここ数年高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)がパンデミックを起こる危険性が危惧されてきたが,実際に2009年に出現したパンデミックはブタインフルエンザ由来のA(H1N1)であった.このウイルスはこれまでヒトの間で流行を繰り返してきたAソ連型のA(H1N1)と亜型としては同じである,しかもこれまで想定されてきたA(H5N1)に比べると病原性も低いという特徴があった.このために今回のパンデミックA(H1N1)への対応はこれまで想定されてきたパンデミックと異なる側面を持っていた.このパンデミックを契機としてこれまでのパンデミック対策の考え方をもう一度再検討する必要がある.