ウイルス
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特集2:ワクチンの現状と将来
麻疹ワクチン
中山 哲夫
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2009 年 59 巻 2 号 p. 257-266

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抄録

 麻疹ワクチンは1954年に分離されたEdmonston株を親株としてニワトリ胎児胚細胞をはじめとした本来の感受性宿主以外の細胞で継代することにより高度弱毒生ワクチンが樹立された.麻疹ワクチンの普及により麻疹患者報告例数は減少し南北アメリカは麻疹排除に成功し,我が国を含めた太平洋西部地域は2012年を麻疹排除の目標達成年度としている.近年の分子生物学的手法の進歩により麻疹ウイルスRNAをcDNAクローン化し感染性ウイルスを回収するreverse geneticsが確立され,弱毒の分子基盤が解明され麻疹ウイルスの性状が解析されてきた.また,こうした分子生物学的な手技を応用し既存の方法では有効なワクチンが開発されていない感染症に対して既に安全性と有効性が確立されている弱毒麻疹ワクチンを生ワクチンウイルスベクターのプラットフォームとする新規の組換え生ワクチンへの応用,ワクチン株をベースとするoncolytic measles virusへの展開を述べる.

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© 2009 日本ウイルス学会
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